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COVID-19の事。

首都圏近郊で小児科医をやっています。コロナ禍について、個人的に今思ってる事を話します。

まず、日本はじめアジアの若者、60歳以下は罹ったときのダメージ確率が極端に低いです。若年・子供で発症例、重症例が少ないのはACE2受容体発現が少ないから。日本の子どもはこの一年半で糖尿病も免疫不全も染色体異常も代謝疾患も重症心身障害児も含めて1人もコロナ感染で死んでない。

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小児癌等で化学療法中の子に医療スタッフがコロナうつして大事になったという事件も聞かない。特有の重症合併症考慮はMIS-C例くらいですがそれも治る。何より急性脳症などの神経系の重大な合併症も報告が一例もない。むしろ驚異的です。

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真のコロナ禍の被害者は、情報の読み間違いに基づいた過剰自粛による多大な経済ダメージのあらゆるツケを、将来払わされる今の子供です。
将来まで待たなくても、すでに子供の不登校、自殺は増え、去年10月の時点で母親世代に当たる30代40代を中心に女性自殺が例年の1.8倍に増えています。

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それらの事のほうが小児科医的にはよっぽど重要でなかろうか、それを、小児科医こそが今もう叫ばなくて本当にいいのか、という思いが日に日に強くなりました。
病気から救っても親や本人に自殺されたんでは切なすぎます。
小児科学会は、声は小さいですが、真っ当で冷静なことをずっとHPで言っています。

感染拡大の大部分は飲食店でなく高齢者施設などで高齢者同士で広がっていて、ワクチンで収束した成功例とされるイギリスやイスラエルなどは、医療者でなく高齢者施設から最優先した対応で収束しています。2国以外、ドイツ、フランス、カナダ、スウェーデンも。アメリカのみ高齢者・医療者同時。

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カンボジアやラオスの死者数はググるとすぐ出ます。凄い少なさです。WHO含め複数の機関が管理してるデータです。これらの国では日本のようなマスクの付け方などしていません。

インドの感染爆発は完全ノーガードかつ衛生状態悪い中で300万人以上がガンジス河に入る祭事をした事が原因として大きそうで、変異株のせいとは結論できません。

それでさえ人口あたりの被害状況はピーク時のイギリスの半分程度で、しかも既に感染者数ピークアウトしています。今ベトナムが騒がれてますが元々の被害自体が欧米に比べて「比較的低い」ではなく「雲泥の差」です。

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日本のコロナ死者の平均年齢は80歳です。
直接の身体的被害を縮小するなら、健康若年の医療者にではなく、うつされて重症化する高齢者施設のみからワクチン打っていく政策が合理的です。イギリスのように。言っても仕方ありませんが。

日本やアジアの被害の小ささがマスクと自粛のおかげ、とする説は、日本より強力なロックダウンしてる国々がずっと被害甚大なので、非科学的です。

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そういった国でさえ、人流と感染被害数の波に実は相関がなかったというデータを根拠に「ロックダウンには意味がなかった」とする意見が上がって来ているが、日本で報道されない。仮に相関があってさえ因果関係がある事と必ずしもイコールではないけれど。

緩和政策のスウェーデンと強力なロックダウンをしたイギリスで人口あたりの死者数の比較では、実はスウェーデンの方が少ない。テキサスとフロリダの比較でもこう。

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日本でコロナが流行ってないわけではなく、流行っててこの現状。現にPCRで無症候感染ととれる例が大量に検出され、感染と暴露は別物だにせよ流行ってること自体は間違いない。なので、去年と今年でインフルが流行ってないのはコロナ流行に押されてウィルス干渉を起こしているからと考える妥当性が高く、このインフル抑制も自粛のおかげではない。

日本では例年、報道されないだけでインフルで小児含め1万人が死んでいた。直接死が3千人。超過死亡、間接死、つまりインフルに罹りさえしなければ死ななかったのを含めた年間死者数が1万人。誰も気にしないで生活してた。その数の増減を人間がコントロールできた年などない。コロナと同じように関連死まで最大限に含めて数えればさらに多くなる。

そんな凶暴なインフルがこんな中途半端なロックダウンやマスクだけでこんなに減らせたと考える方が非論理的だが感染症専門家はそう言う。厚生省発表でインフル脳症は小児中心に毎年100人弱。300人超える年もある。(インフルだけではないが、アジア人の子供に急性脳症は多い。それがコロナは日本でゼロ)

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インフルの再生産数は1〜3で、長野オリンピックのあった年は35000人死んで冬は1週間だけで40万人以上も患者が出てた。当然脳症の子もいた。けど誰も騒がないし自粛言い出さなかったしオリンピックも開催。

一方コロナは、この一年半でやっと死者一万人、そのほとんどは老人。子供は基礎疾患ありの何もかもを含めて死者ゼロ、脳症もゼロ。

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よく「インフルとコロナを比べるなら日本でも死者数/診断者数=致死率はコロナが桁違いに上、だからコロナの方がずっと強毒」と権威的専門家が言うが、これはトリック。医療従事者に限って結構真に受けてる人がいる。

インフルは毎年主に迅速検査で診断し定点観測で集計、コロナは感度の低いPCR陽性をもって無症状でも診断して全てを集計しており、実際の致死率などそもそも集計できた診断者数同士でなど比べられようはずもなく、結局毒性を表すのはあくまで死者数/国民総人口数。

と、たくさんの人が真っ当な事を言っているのに、報道されない。

あくまで日本人にとっては、ですが、コロナは5類のインフル以下の弱毒なのが客観的事実です。80代以上でコロナに罹ったら一貫の終わりというイメージで語られがちだが80代以上でも死ぬのは15%前後(前出の表参照)。インフルと違い拾えるだけ最大限拾ってこの死者数です。故に少なくともインフルよりも著しく強毒ということはない。日本ではですが。

日本に住む日本人にとっては弱毒のコロナがインフルに置き換わって流行っているから現に超過死亡は減っている。欧米人の国では強力ロックダウンにも関わらず彼らにはコロナは毒性が強いから超過死亡は当然増えている。

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いわゆるファクターXの正体は分からないがアジア、オセアニア(オセアニアは非アジア人の国でも被害が小さい)が新型コロナの前駆状態の変異株に数年前から晒されてたのでは、とか、遺伝子とか、BCG説の再注目など仮説は色々。Xと呼ぶかは別として結果的に欧米とアジアでデータに差があるのは事実。

「ファクターXは幻想」とずっと言われ続けてるが、データが目の前にあるのに幻想だと言うほうが幻想で、意図的に思考停止してるとしか思えない。アニオンギャップ(AG)があってpHがいい感じに保たれてる血ガスデータ見て「AGの内約が分からないのだからAGなど存在しない」と言ってるようなもの。一年半もずっと。

そもそも、日本で感染発覚する度に大騒ぎされたり、医療逼迫と言われるのはコロナを「新型インフルエンザ等感染症」として2類の結核、1類のエボラより上の厳重な扱いにしていて、対応できる医療機関を極端に絞っているからであって、システムの問題であり医学的な理由ではない。

日本には病床が先進国最大の170万、CT台数はOECD平均の4倍あるのに、全病床の3%しかコロナに使えないシステム。だから死ななくて済んだコロナ患者まで手遅れになってたまに死ぬ。インフル同様に5類に落として普通に対応できるようにしさえすれば問題の大部分は解決する。

そりゃその3%の病院で成人の重症に挿管したりECMO乗せたりしてる医者にとっては「こんな悪い肺炎見た事ない、現場は大変なんだ」になるのだろうが、それはミクロなそこに集まってるからであってもちろん頭は下がるが、マクロで見たらどうなんですかと。その現場も大変だろうが、子供の母親が失業して自殺してる場も現場は現場だ。

マクロで見て大人も欧米に比べれば被害はとても小さいが、子供は重症化率が更に極端に少ない。脳症も起こさない。実際データでそう出ていて、「論より証拠」なのであり、もういつまでも未知のウィルスではなく、大袈裟でなく日本の子供や若者にとってはどう見てもただの風邪です。今までの風邪だってたまに人は死なせてた。

今、12歳以上の小児にもコロナワクチン打つべきという意見も国内にあります。

感染症専門家がよく言う「集団免疫のために国民の60%が罹患かワクチンで抗体を持たないとコロナ収束しない。罹患のみで集団免疫を目指すと日本で国民100万人死ぬまで達成できない。だから皆のために自分にワクチン打とう」という論理は、

集団免疫閾値=(1−1/再生産数)×100%の算出で本当に正しいと仮定し、再生産数を2.5で固定、致死率を人種・地域や年齢無視で2%で固定し、かつ自然免疫を無視、さらにウィルス干渉を無視しなければ成り立ちません。実際の日本における実行再生産数は1前後です。毎日更新されてるデータがググればすぐ出ます。年齢帯毎の死亡率は前出の表の通り。

感染症学のカリスマや発言力ある人達はずっと耳目を疑うようなことTwitterなどで発信し続けています。マスコミを批判するポーズをとりつつ実際には同調しています。

大学病院での医学部実習生(ポリクリ)へのワクチンについて、もしも「ポリクリが化学療法中の子たちに病棟で接するから」という理由で「ポリクリがワクチンを打たないと実習内容制限を」と善意で考えるのだとしたら、直感的にそう感じること自体はとてもよく理解できます。

しかし、前述の事、ワクチンがあくまで長期予後不明である事、コロナがこれだけ弱毒な事から理論的に考えれば、医学倫理的にやはり妥当性がないと結論されると思います。論理的でないので、単純にポリクリへの教育としても打たせるのはよくない。

化学療法中の子が風邪を引いていいわけはもちろんありませんが、それはこれまでも同じであって、冷静に考えればポリクリへのワクチンは無しで一昨年までのやり方で問題ない筈です。
もっと言えば他科での実習もそう。

ポリクリではなく高齢患者側が打ってさえあればいいし、それさえ自由意志で打ってなくても、日本人では老人にとってさえインフルと大差がない。それでも「いやコロナはまだ未知なとこ多いから怖い」と言うなら現時点でワクチンの方がもっとずっと臨床的に未知です。「でも現状システムが」と言うならシステムを変えようとするのが筋です。

私は陰謀論者ではないですし、MRなど他のワクチン打ってない患者がいれば、当然時間をとってSSPEの話とかしながら打つようにと親に説明します。

コロナワクチンについてもこの先絶対打たないと決めてるわけでもないし、仮に大変異等が起こり確かな統計データで欧米並みになり得る被害が日本人で証明される年がくれば自分も打つし、若者も死ぬならポリクリにワクチン打つべきと意見を変える時が来るかも知れません。

ですが、これまであらゆる不確定な予測を元に「数週間後に日本は欧米のようになる」と感染症専門家から1年以上煽られたにも関わらず今これで、現時点では、確たる基礎疾患のない60歳未満の日本に住む日本人が未知数なワクチンを打つ理由がないだろう、というだけです。

肥満の人はワクチンを打つより痩せた方がノーリスクで健康です。手帳持ってる知的障害や精神障害の若者が基礎疾患ありとしてワクチン優先群に入ってるのも意味が分からない。まさかマスクが出来ないからとでも言うんだろうか。

色々な意見がもちろんあっていいと思うのですが、大学病院内で他科がポリクリにワクチン打つべきと言っても、普段から若年の利益を追求している小児科として、立場的に言えば反対側の意見を大いにどんどん出していいのでは、と個人的には思います。

学生に「打つかは自由だ」と形だけ言っても同調圧力は感じるでしょう。
小学生の体育中のマスクと同じように。

ワクチンについて偏った情報源、意見だけ提示するのではなく、少なくとも両論併記での情報提供と丁寧な説明、ポリクリとその親がどこまで本当に理解してるかの確認は必要だろう、と思うのです。

話が散らかりましたが、とにかく日本の被害状況は全体で見ても文字通りさざなみです。

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変異株についてもこの状況です。

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一方で、自殺がこの状況で失業率との関係はこうです。

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小児科医は、「小児はコロナ被害少なくてよかった」ではなくて、全然対岸の火事なんかではなくて、ダイレクトに子供に多大な社会的ないし医原性の実害が掛かっている、掛かっていく事をもっとはっきり認識すべきではないでしょうか。

医療者界の方から「非科学的で過剰な怖がり方を辞めろ」と世間に向けて熱意を持って言うべきなのは、筋論で言って小児科医をおいて他に、居るでしょうか。言わなかったら、言っても世間に届かなかったら、小児科医の責任問題にならないでしょうか。

日頃から「個性を尊重」とか「皆違って皆いい」とか「ノーマライゼイション」とか宣っておいて、いざという時、つまり今、同調圧力に対して有効なアクションをしようともしない小児科医の背中を、子供達に見せてていいんでしょうか。

そう思って職場で色々言ってるのですが他科スタッフからは反ワクチンのヤバいやつと思われてるようです(笑)小児科は普段から風邪とワクチンについて他科より何倍も馴染みのある科だと思うんだけどな。。
接する患者さん1人1人に、上記のようなデータを紹介していますが。。

だいたい何でモビコールやメラトベルみたいなどう考えても安全性高い薬の処方を一回2週間縛りにされて付き合わされて(コロナ禍でビクついてる親に毎度取りに来させて)、今度は人類に使うの初の長期予後不明のワクチン若者に打ちましょうって大号令にも両方文句言っちゃいけないんだろう。

皆さんにも一緒に考えていただけたら幸いです。



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