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2010年代マイベストトラック30

2020年に入って1/6を過ぎようとしている所で、2010年代ベストトラックをまとめたい。月の人さんのエントリを踏まえて、いっちょやってみっか、という勢いでのやつで。

2010年代は俺が高三の18歳~現在の27歳までの間で、能動的にそして積極的に音源を聴くように、そしてライブに行くようになった10年だった。また、音楽のアクセス方法はレンタルCDを利用することが長く、ストリーミング配信を利用するようになるのは'18年からで、リアルタイムに海外の音楽に触れられてきてないのがラインナップに現れている。
また、「2020年入って間もないたった今の好みだとこのアーティストならこっちの曲だな」的な選び方を今回は採用している。思い入れにセレクトが左右されすぎる嫌いがあったので。
というわけで、アーティスト名アルファベット順で以下に30曲+αを。

1.Base Ball Bear「「それって、for 誰?」part.1」2015

「見!参!!」という感じのインパクトある高中正義めいたギターイントロから、歯切れ良くSNSの諸々を切るファンキーな一曲。発表当時からファンキーなリズム感やカッティングギターだったり、「虎視眈々の鬼の首ハンター」「手作り名札貼り逃げ係」というキャッチーかつ独特の言い回しが好き。こういったリズム感重視した歌い回しや、生々しいバンドサウンド、キャンセルカルチャーにも通ずる世界を切り取った歌詞は今でもフレッシュに感じる。

2.cali≠gari「暗中浪漫」2011

石井秀仁による艶やかかつ華やかな一曲。歌詞は基本いつものように語感重視だが「君に咲く」などと入ってるところがキラリと光っている。再結集後、この曲含めコンスタントに10年代に入っても優れた楽曲を出し続けていて、目が離せない。

3.cero「Waters」2018

何度聴いても咀嚼できない、噛み応えを感じてるのかどうかもわからない、たゆたいながら確かに興奮する音楽。確かに目の前に起こっていることを写実的に表す楽曲が世の中に多くある一方、見えないながらも確かに感じる「同じ場所にいながら 異相に生きるものたち」を表すこの曲の異形の存在感。今いるこの場所に「たなびくぼくやきみの足元」と不確実さを投げかける詞も超クール。

4.Creature Creature「楽園へ」2012

激烈にソリッドでタイトなバンド演奏。演奏の火花散る熾烈な鍔迫り合いの中、どこかたおやかにMORRIEの歌声が差し込まれていくのがたまらない。演奏の好みもさることながら、MORRIEの唯一無二の声にヤラれているところがある。そういった「誰によるものか」という点が大きな評価点として機能している所は否めない。

5.DAOKO × 岡村靖幸「ステップアップLOVE」2017

復活後岡村靖幸は意欲的にコラボレーションを通して作品を世に放ってきた。その中でも出色の一曲。DAOKOと「いろはも まだ勉強中」「異論反論また燃え出す」とかけ合う噛み合い具合よ。ライムスターとのコラボ作「マクガフィン」でも顕著だったが、この曲における「まだ15の子くらいの大切な心」「頑張ってる姿 同様」におけるデリバリーの良さ。たまらん。

6.DEAD END「Conception」2011

オリエンタルな音から、スラッシーなギターリフに滑り込んでいくイントロ、超絶カッコいい。ハードかつヘヴィめな音像ながらも疾走感と、サビで開けていくキャッチーさと観念・哲学的かつ原罪に触れた歌詞が溶けあって、DEAD ENDでしか聞けないものとなっている。

7.Enjoy Music Club「100%未来 feat.三浦直之(ロロ)」2016

ブログ『青春ゾンビ』のこのエントリに挙げられているような全てのポップカルチャーを嗜んできたわけではないけど、いい歳になった今でもこれからも「何聴いてる?何見てる?」的な話をしていきたい。こんなキツめな諸々が日々メディアから伝えられる日日でも「未来はいつも100パー楽しいから」と言える自分でいたい。

8.L'Arc~en~Ciel「XXX」2011

現行のバンドでこの雰囲気纏えるのってラルクだけなのではないか…2020年代に出て来るのか?この煌びやかな円熟した色気と、様々な音楽性を受け止めることができる懐の大きさと、これをメインストリームで行う規模感…。2020年代にラルクがどのような音楽を出すのか期待せずにはいられない。

9.lyrical school「消える惑星」2018

「空から消えてくプラネット 街から徐々に消える電灯 もう始発がホーム出ると そう、いつも通りの喧騒」の所は何度聴いても胸がキュッと締め付けられる切なさと、リアルさがある。夢見的な所からジワジワと生活の息づきが起こりだして、日々に帰っていくのを切り取ったこのフレーズは珠玉。2020年頭にアニメ「映像研には手を出すな」のOPとしてchelmico「Easy Breezy」がバズっていて、Lizzoを聴いてもいたなと思ったりと、2020年は女性ラッパーがよりメインストリームに進出するようになるやも?

10.The Mirraz「NEW WORLD」2013

マシンガン的に言葉を並べる時期のミイラズの楽曲。今、一番のサビで歌われている事を担っているのがロックバンドかどうか。そうなるか否かは、

「LadyでもGagaでも、MGMTでも
The StrokesでもM.I.Aでも
ArcticMonkeys、TheStreets,
The Libertines,誰からでも吸収しようぜ
Dragon AshやTHE BLUE HEARTSが
起こした革命が無意味になる前に
誰かが何かを始めるべきだ」

という姿勢にかかっているのかもしれない。7年経ってこの曲の歌詞がますます面白みを帯びてきた。巻けないで、ミイラズ!

11.MIYAVI vs KREVA「STRONG」2011

MIYAVIのスラップ演奏と、KREVAのラップが鍔競りあって火花散らしてる。今思えば、こういうコラボの姿勢を打ち出すの、MIYAVIは早かったなあ。セルフボースト的な内容も今聞いてもムッチャカッコいい。こういったギターとドラムを基調とした贅肉無しのトラックメイクも改めてイイなあ。

12.Mr.Children「himawari」2017

6分近くあるのに、メロディの強さゆえか、ストリングスの勢いに引っ張られてるのか、全然その長さを感じない。ストリングスは入っているけど、全体としてバンドサウンドを基調としていてその骨太さも好き。歌詞も「思い出の角砂糖」というフレーズや、「諦めること~」を受けて最後のサビが「だから」って始まるところ…!コバタケプロデュースを離れて活動を進めてきているけど、2020年代、「国民的バンド」としてどういった活動を見せてくれるのだろう。

13.THE NOVEMBERS「DOWN TO HEAVEN」2019

シャウトの、爆発するサビの演奏の、破壊力もそうだし、舞台上の見栄えのカッコ良さよね。自らの思う「美しさ」(それはある面でこれまでラルクがメインストリームにおいても提示し続けてきた)というものを追い求め、鍛え上げてきた境地としてのこの凄まじさがあるのだと思うし、「面白くなってきやがった」と思うばかりで。

14.the pillows「エネルギヤ」2011

俺はそんなにピロウズの熱心なリスナーではないけれども、この曲には聞き返すにつけ揺さぶられてきた。もう離れてしまった君との日々が今の自分のエネルギーになってる、という何とも女々しさのある、しかし一定の疾走感のある曲。最後の叫びが、悔恨の大きさを物語っているようで、それに合わせて演奏もアグレッシブになってるのが情感あって良い。

15.THE ラブ人間「クリームソーダ」2015

『2010年代の「恋とマシンガン」』とでも評したいポップど真ん中のローリングサンダーに射抜かれた。「今までの恋は全部まぼろし」だとかこれまでの全てがスポイルされる程の衝撃を描写してるのもいいけれど、「誰かのために死ねないけど きっと誰かのために生きれちゃうかもよ」と生のエネルギーに満ち満ちたフレーズ。このご時世に「君のために死ねる」的なエモさは合わない。「生きれちゃうかもよ」くらいの軽さときらめくマジックが必要。

16.YUKI「2人のストーリー」2010

ささやかながら代えがたいラブソング。YUKIの可愛いさで気付きにくくなってるけど、「君の古着のスカートをたくし上げたら 愛をじれったいような愛を 渡し合った夜は薔薇色」という非常に直接的な性描写を盛り込んでいる。性描写が表されるのも当然だ。それも含め「2人のストーリー」は作られていくんだから。今のメインストリームにはうまく性的な描写(フィジカルな)を歌詞に表す人が少ないように感じる。それをサザン(桑田ソロ)が担ってきた気もするけれど。星野源もそこに食い込んできてるような。

17.w-inds.「We Don't Need To Talk Anymore」2017

同時代のグローバルなポップスに対する鋭敏な反応がこの作品に昇華されてると思う。公開当時ムッチャクチャ驚いた。チョップされ並べられたボーカルの音階の揺れ幅がそのまま歌詞の心情を表してる見事さよ。三浦大知もさることながら、w-inds.にもしっかり注目していきたい。

18.ゲスの極み乙女。「もう切ないとは言わせない」2018

センチメンタル過剰な疾走感に満ち満ちた一曲。二番のサビから滑り込んでくるストリングスと、「もう切ないと言わせない」で用いているファルセットがそのセンチメントを生んでいるのではと睨んでるんやけども。川谷絵音という巨大な才能に徐々に徐々にやられたのがこの10年代だった気もする。自身のバンド・プロジェクトの曲だけでなく、提供曲もクオリティ高いしリリースペースも高いってんだからまいっちゃうね。

19.ももいろクローバーZ「マホロバケーション」2016

もう思い入れや歌詞の胸キュン具合で言ったら完全に「走れ!」がここに来るのだけど、曲調もさることながら、今はショーマンシップの高い彼女達の曲に惹かれる俺がいる。仏教的用語とかガンガン出て難解ぽいけど、詰まるところ「ももクロのコンサートで盛り上がろう!/ももクロの音楽を届けるよ!」的なことを歌ってて。ピエール中野とハマオカモトのリズム隊だけでなく、ギターもハンパない!!ラストサビはキマりまくり。

20.岡村靖幸 w 小出祐介「愛はおしゃれじゃない」2014

俺にとっては最高の師弟によるコラボレーション作品。自身の(その時の)強いフレーズを持ってきつつ、「岡村ちゃんにこんなことを歌わせたい」という思いがパンパンに詰まった歌詞を小出祐介は書き上げ、岡村靖幸はその歌詞を120%に表現する。ステージでは踊りも用いて全身で。まさに共働が生み出すスパーク。そして改めて、「愛はおしゃれじゃない」というダブルミーニングのフレーズを生み出した小出祐介は素晴らしいし、このフレーズが生み出された裏には彼が多感な時期に聴いていた岡村靖幸の曲の存在があるのだと思うと、泣けてきちゃうよね。曲単体の良さのみならず、そういうコンテキストを楽しめるのも魅力。

21.吉澤嘉代子「ものがたりは今日はじまるの Feat. サンボマスター」2016

詞も曲も編曲もサンボマスターが手掛けているのだけど、サンボマスターの各曲からは想像ができないナイアガラ風味のポップス。でも、山口は大滝詠一と対談も行ってるし、この楽曲提供は大滝詠一で言う所の「夢で逢えたら」的なことか、と思うと何とも腑に落ちる。こういったアレンジの曲、あまりにも好きすぎる。。。吉澤嘉代子自身も大滝詠一「おもい」オマージュの一人コーラスによる「野暮」という曲を作っており、それがこの曲のコーラスを重ねて厚みを持たせている点に繋がっているのだろうか、とも思ったり。

22.筋肉少女帯「混ぜるな危険」2015

アニメ「うしおととら」のOPとして聴いていたのだけど、その噛み合いっぷりったらなかった。「うしおととら」の二人についてのコピーとして「混ぜるな危険」って2億点でしょ。曲としても、ドキャッチーなメタル的楽曲に語りを挟んだり、「検索各々で それだ」とメタな歌詞挟んだりと面白すぎる。やっぱりアニメは日本が外国へ発信する大きなカルチャーの一つだろうし、アニメの曲として使われることで海外で評価されるミュージシャンもこれからどんどん出て来るだろうな。

23.銀杏BOYZ「ぽあだむ」2014

ロマンティックで、少なからず人の匂いみたいなものもして、いかがわしく街に溢れるノイズが取り込まれてて、ダサくもあって、キラめいて。でも、そんなキラメキの裏には「僕の部屋は僕を守るけど、僕を一人ぼっちにもするよね?」という孤独も確実に存在する。そういった叙情的な点だけでなく、この曲の歌詞は「80円マックのコーヒー!反政府主義デモ行進!」「6時から計画停電!さみしーから手つないで!」と震災の頃の社会をポップに跳ねるようなリズムに乗せてキャプチャーしてるという点でも優れている。

24.黒夢「アロン」2011

この時の清春のビジュアル含め最高に好き。どこか冷やかなエレクトロを基調にタイトなバンドサウンドに乗せ、切実な歌い回しで清春は「人間は一人であるけれども、誰かを思う事で、思う人・思われる人それぞれがどかで救いを感じることができるのではないか」と歌っている。あくまで直接的でなく、示唆や暗喩に留める手腕も素晴らしい。

25.私立恵比寿中学「熟女になっても Feat. SUSHIBOYS」2018

そりゃ「誘惑したいや」はウルトラ最高だけども、今聞きたくなるのはこっちなんですよ。あと、『エビクラシー』の楽曲はスゴいけどもストーリーがありすぎる。この曲は卒業式風語りパートあるコミカルサイドの曲ではあるけど、SUSHIBOYSのラップは勢いあるし、「文句ありますか~」のサビは鬼キャッチーだしで一瞬でハマった。「熟女」とは少し違うけれど、30歳という年齢を超えたり、結婚したりしても続ける女性アイドルが出てきたりして面白くなってきてるなーと思いつつ。

26.小沢健二「流動体について」2017

サビのドレミファ…と進むメロディに驚いたし、ストリングスに勢いがあるからか、言葉数が多いからか時間が短く感じる…ので何度も聞いてしまう。最初聴いた時は『LIFE』的なポップ曲だなと思ったけど、音の位相だったりタブラ的な音が現れていたりするところや、小沢健二自身のコメンタリ含めると『Eclectic』等、彼のそれまでの活動全体を踏まえた一曲となっていることに気付いた。また、歌詞については並行世界についての言及がリリース時に多かった(映画『ラ・ラ・ランド』やceroの歌詞とのつながりのため)ものの、「Woke Song」であることが本人から述べられており、その重層的なテーマ・メッセージを一曲にまとめる手腕に、やっぱり超一流の言葉の使い手だと震えた。

27.星野源「Week End」2015

「すべての人に捧」げられた、2010年代屈指のダンスチューン。「身体を交わそう」というのは、ダンス的なものと性的なもののダブルミーニングであり、こういうハッキリ言わずにセクシャルな表現を挟むのは好きな所。「君だけのダンスを 世間のフロアに出て叫べ」という多様性の肯定をダンスに準えているのは、お源さんだったり以後の彼の活動にも通ずるポイントであると思うし、2020年代にはそれは当然の態度となっていかないといけないよな。後奏のラララが、ハンドクラップが、陽気なホーンが、体を揺さぶってくる、この曲で踊らない人いるのか?

28.清春「LAW'S」2010

清春の黒夢、Sadsで磨かれたハードな側面と、ソロ活動の中で磨いてきた叙情的な側面が高次元で溶け合った曲となっているのではないか。こういう大きな山になっているメロディアスな曲好きでしょうがない。こういうカリスマ的な人、というのはこれからどれだけ出て来るのだろうか。

29.大滝詠一「Tシャツに口紅」2016

正直反則なのだけど、これは挙げざるをえない。タワレコの試聴機でこの曲を聞いた時、店内で泣きかけて何とか我慢して盤を買ったっけ。原曲はラッツ&スターの83年の曲で、それの大滝詠一版なのだけど。こういうクルーナー歌唱的なのは全然テレビとかじゃ聞けないよね…。ハイトーン伸ばしまくれたり、カラオケ100点的なものも「歌が上手い」ってことなんだろうけども、こういう歌唱も「歌が上手い」ってものだと思ってる。これからこういう歌唱の曲でヒットする人や曲がでたり、そういう潮流が生まれたりしないかなあ。

30.東京女子流「深海(Hi-ra Mix)」2016

彼女らといえば初期のグルーヴィーな曲に評価が集中する気がするが、10年代後半のEDM、トロピカルハウスなテイストの楽曲も非常に高クオリティ。俺は特にその嚆矢となったこの曲には驚いた。感傷的な歌詞と音が非常にマッチしてる。2020年代、アイドルポップスも引き続き楽しみ。


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