今まではルソーの著作の読解を中心に記事を更新してきました。ありがたいことに、長文かつ抽象的な内容の記事が多いにもかかわらず、たくさんの方に読んでいただいております。
もう一つ、「1分で分かる」シリーズを、各著作の読解記事が完結したのちに更新していますが、こちらも好評です。
とはいえ、両者の記事は若干読者層に違いがあるようです。前者の硬派な記事はフォローをいただいている方々に、後者の記事はフォロー外の方々に、多く読まれています(あくまで傾向がある、というレベルですが)。
そこで、ちょうどついこの間、『新エロイーズ』の連載を始めたばかりですので、硬派な記事(前者)はカバーできていると信じて、ルソーをあまりご存知ない方々にもルソーを知っていただくきっかけになるようなものを書いてみようと思います。ご笑覧ください。
とはいえ、こうした名言集や格言集はネットで検索をかければそこら中に転がっています。ではなぜあえて二番煎じのようなことをするのか。主に、以下の二つの理由があります。
①ネット上に転がっている名言集の類は、出典が明記されていないことがほとんどです。せっかく感動的な文章を見ても、それがルソーの書いたことだということだけが分かって、どの著作の何ページなのかが分からないことがままあります。でも、出典が分からなければ自分でその文章にアクセスするのが困難になってしまいます。
②上記①と付随しますが、こうした名言集というものは、多くの場合、キャッチーなフレーズだけが独り歩きして、その文章の本来の意味(文脈や微細なニュアンスなど)が損なわれてしまっています。ひどいときはルソーが一言も発していない言葉が採録されているケースすら見受けられます(代表例は「自然に帰れ」でしょうか)。
今あげたような難点を補っていけるような名言集を作りたい、と思っています。ひいては誰もこれまで取り上げてこなかったようなルソーの名言を紡ぎたいところです。
なお、今回の『学問芸術論』についての引用はすべて『ルソー全集』(白水社)からです。頁数は白水社版『ルソー全集』の該当頁を示します。
ーーーーー
いかがでしたか?次回は『人間不平等起源論』の名言集をご紹介します。