ギバーと燃え尽き症候群|人生はギバー時々マッチャーくらいが良い
燃え尽き症候群(バーンアウト)
対人援助の業界にいると、時に燃え尽きてしまう人を度々みてきた。
いつも一生懸命で目の前の仕事一筋で「めちゃくちゃ働く!」という印象だった。
そして、「誰かの役に立ちたい」「困っている人を助けたい」というような他者思考な考えが強く、責任感も強いため周りからもよく頼りにされるタイプだった。
しかし一方で、他者から頼られまくり、自分の時間などを犠牲にしてまで業務に没頭してしまう事がある。
そして終わりが見えなくなり、頑張っても頑張っても報われていないと感じた瞬間に燃え尽きてしまう。
という事が私の印象だったが、
『GIVE&TAKE「与える」人こそ成長する時代』にそのようになりやすいタイプと燃え尽き症候群(バーンアウト)に陥ってしまう原因が書いてあり、ギブアンドテイクの観点から新たな気づきがあったので今日はそのことについて書こうを思う。
▽3つのタイプ|ギバー、テイカー、マッチャー
ます、著者のアダム・グラント氏によれば、人間は3つのタイプに分けることができ、その割合は以下になるようだ。
半数はバランスを取るマッチャーだが3つのタイプの中で、人生で一番成功するのは惜しみなく与えるギバーだということが明らかになっている。
ところが、逆に最も成功しないタイプもギバーであることがわかった。
つまり、世のなかには2つの種類のギバーがいて「成功するギバー」と「成功しないギバー」が存在するということだ。
グラント氏は、成功しないギバーを「自己犠牲型ギバー」と言っていて、他者の利益を優先しすぎて”自分が我慢すれば”の精神で、ただただ人に与え続けてしまう人だ。
自己の利益よりも「目の前の人のため」が最優先事項になってしまっている状態で、チームにテイカー(受け取るだけの人)がいたときに搾取されてしまう。このタイプが「燃え尽き症候群(バーンアウト)」になりやすい。
一方で他者思考でありながら自己の利益も考え、自分が誰に与えるべきか、そして誰とは関わらない方がいいかを選択して立ち振る舞うのが「他者思考型ギバー」といっている。他者思考型のギバーは自分も受け取って良いという考えがあるため、結果的に与えることの方が多いだけで、自身の利益になることを受け取れているということだろう。
▽誰かのための行動は幸福感を得られる
人は、他者の利益のために行動すると幸福感を得られる事がわかっている。
これを経済の専門家は「倫理的満足感」と呼び、心理学者は「ヘルパーズハイ」と呼んでいるらしい。
寄付をすると幸福感が高まり、年収が上昇したと言う研究結果があったり、ボランティア活動をすると幸福度、人生への満足感が高まり、うつが軽減したという研究もあったようだ。
特にこの感覚を強く感じ、人の利益になる仕事をすることに強い関心を持ちやすいために、対人援助がベースにある「福祉」の業界にはギバータイプが多いのだと感じる。
▽燃え尽きる原因と防止
先にも記したように燃え尽き症候群(バーンアウト)になりやすいのは、「自己犠牲型ギバー」の人だ。
自己利益や見返りを一切求めず、ただただ与えるだけのタイプは、自分の仕事より、他者の仕事をすることを優先にしてしまうために、自分の仕事は進まなくなっていたりする。
頑張っているのだけど、成果や評価に繋がらない事が多く、他者の成果のために労力を費やしてしまっていたりする。
他者へ自分の能力と時間を費やし続けた結果、効果が表れなかったり、頑張りが報われていると感じなかった時に、「自分の努力は本当に価値があったのだろうか、何も貢献できず時間だけが無駄だったのではないだろうか」と悩んでしまうのだ。
本では下記のように書かれていた。
また、
自己犠牲型ギバーは他者思考型ギバーより助けを受けることがはるかに少ないということがわかっている。
与えつづけるギバーの中には、自分が受け取ることへの罪悪感を感じてしまう人もいるようだ。
本には周囲からサポートを受けることこそ、燃え尽き防止の強力な特効薬であると書かれている。
燃え尽きの防止として、与える相手を見極めて、自身が時にマッチャータイプになったりテイカータイプになることが必要なのだ。
▽助け合う文化を組織に
罪悪感を感じチームの仲間に「助けて」と言えないギバーが燃え尽きないように守るためには”自然に助けあう文化をチームに作ること”ではないだろうか。
与えつづけることが、一人の目的になってしまっている場合は、チームの目的に変える事が必要だ。
そしてチームでの関わりを増やし、チームの関心ごとを共通にしていく必要がある。
チームの関心ごとを共通なものにしていくことで、協力が生まれ、助けあうという親切の輪が育まれ、全体のチームへの愛着が増していく。
チームへの愛着が増すと、疲弊している仲間に気が付きやすく、自然と声をかけたり助けることができるようになるだろう。
結果的にチームで取り組んだ方が成果を上げやすく、シナジーを生む。
皆んなにとってもそれが一番のハッピーにつながるのだ。
組織は一人一人の「自分さえ良ければいい」を「チーム皆んなが良くなるといい」に変えていきたい。
そして、そうさせるリーダーがチームには必要だ。
リーダーがテイカータイプだと自分の思い通りにチームを動かしたくなる。
そうなるとチームの皆の仲間意識が薄れていく。
リーダーもギバータイプの方が思いやりのあるチームが作れるだろう。
アメリカの組織コンサルタントのサイモン・シネックはこのように言っている。
皆の幸せのために、チームの関心ごと(ミッションやバリューのような)を一つに自然と助け合う文化を組織で作っていきたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?