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楽しかったことが楽しく感じられなくなった時に読む話。

3話連続の話になります。
今日も脳疲労からくる症状についてとその対策のお話になります。
先日から紹介している「精神科医の禅僧」が教える心と身体の正しい休め方
という本から色々学んでいるのでアウトプットしてきたいと思います。

初回では現代人はマルチタスクな状態が常に起きているので「脳疲労」になっているという記事を書きました。

2回目は現代人は外側に注意がいき過ぎていて、自分の内側の感情に気がつきにくくなっている。
それにより失感情症(失感情傾向)になっている人が多いという記事を書きました。

今日は脳疲労からなるもう一つの症状である「無快楽症(アンヘドニア)」について書いていきたいと思います。

▽無快楽症(アンヘドニア)とは

まず無快楽症(アンヘドニア)とは何か?

端的に言えば、「何をしていても楽しくなくなってしまう」「楽しくないから、何の意欲もわかなくなる」という状態です。
「ヘド」というのは、「楽しい」という意味のラテン語で、それに否定語の「アン」がついて「アンヘドニア」。「快楽の消失」ともいわれています。

「精神科医の禅僧」が教える心と身体の正しい休め方より

ヘドニアという言葉はポジティブ心理学の中で聞いたことがありました。
とくに言葉の意味までわかっていませんでしたが、ヘドニアっていうのはラテン語だった事がわかりました。

さて、ポジティブ心理学の中の話を少し。
ポジティブ心理学では、幸福は2つの種類があるとされています。

 ①快楽の幸せ(ヘドニア)

こちらは自分の好きな事をやった時に得られる快楽です。
例えば、
大好きなカフェに行って美味しいものを食べた。とか
大好きなアーティストのライブに行けた。
など、楽しいことや好きなことをやった時にポジティブ感情が高まり、ネガティブな感情がスッと消えてくれる快楽です。
こちらは日常の中で体感しやすく、五感を通して得られる幸せだが、幸福感は一時的といわれています。

 ②強みを活かして意義あることに打ち込む幸せ(ユーダイモニア)

こちらは、自分の強みを活かして何かを達成しようと打ち込んだ時に得られる幸せです。
例えば、
サッカーでシュートの成功率を上げるために練習でシュート練習に打ち込んだ。とか
資格を取得するために勉強に打ち込んだ。
などで、こちらの幸福はすぐに得られるものではなく、一定期間打ち込んだときに得られ、幸福感も比較的長く持続するといわれています。

わかりやすく例えると
「試合でシュートを決めた」⇒ヘドニア
「シュート決めるためにシュート練習に打ち込んだ」⇒ユーダイモニア
になります。

快楽(ヘドニア)を得るために、何かに打ち込む(ユーダイモニア)
というように全く別物ではないですよね。

しかし、無快楽症(アンヘドニア)になってしまうと幸福からは遠ざかってしまうことになります。

最近こんな傾向はありませんか?

・以前は、仕事帰りにときどき映画を観ていたのに、最近はそんな気になれない。
・かつては、同僚とよく飲みに行っていたのに、今はそれが面倒に感じる。
・休みの日にショッピングに行くのが楽しかったのに、ここのところ行く気にもならない。
・大好きなゲームをしていても、以前ほど楽しくない。

「精神科医の禅僧」が教える心と身体の正しい休め方より

このように以前は楽しみにしていた事が億劫になっている、こうした反応が続いている場合は脳疲労からくる「無快楽症」の兆候かもしれません。

無快楽症の場合、食欲、物欲、制欲などのあらゆる欲求が失われていき、お腹が空いても「食べたい」という気持ちになれなかったり、好きなパートナーに「会いたい」という感情も湧かなくなるといった状態に陥ってしまう事があるようです。

▽「脳疲労」を軽減していくという観点で回復していく

私は普段は精神障害のある方の自立や就労の支援をしています。
このような症状のある方の相談に乗ったり、精神科病院などと一緒に支援に取り組む事が多くあります。
今まではメンタル面の不調、無気力状態などに関しては、心の問題と捉え、「うつ病、うつ傾向」など精神疾患として認識して対応をおこなってきました。
しかし、この本で「脳疲労」という新たな視点を学ことができたのは、大きな気づきになりました。

まず、「病気じゃない、脳が疲れているんだ」と思えたらきっと本人も気持ちがやわらぐなぁ〜と。

「脳疲労の改善」もこれからは支援の視点に取り入れていきたいとこの本に出会えて思いました。

▽セイバリングという感情に向き合う方法

脳をシングルタスクにする方法として、セバリングという手法があります。

マインドフルネスによく似た手法ですが、セイバリングはどちらかというと、意識的にポジティブな体験(快楽の体験)をしてその感覚に集中するというやり方です。

例えば、
自分の好きな一杯のコーヒーを淹れて、五感をフル活用してコーヒーの味や香をじっくり味わう。

この本にも「食の瞑想」と紹介されていましたが、食事も一口一口時間をかけて食べ、食材の香りや食感や味の変化をじっくり味わって食べるとシングルタスクになれます。
普段は使わない「箸置き」などを使って時間をかけて食を味わうことも効果的です。

他にも以前に「レーズンワーク」という手法も学びました。
レーズン1粒を「これが最後の晩餐だ」と思ってよく見て、触って、口に入れ、ゆっくり噛んで、じっくり味わう。
レーズン1粒を5分くらいかけてうま味や酸味などをじっくり五感を使い意識を集中して食べる。
こんな食の瞑想もあるので試してみてはいかがでしょうか?


また、この本には「面白いこと」を探して散歩するという脳の休め方が書かれていました。
これを読んだ時にまさにコレだ!と以前のnoteを思い出し、この”楽しむ”視点って本当に大事だなと改めて感じました。

この本はまだまだたくさんの対処方法『41の休息法』が紹介されていて、日常に取り入れる事で脳疲労を軽減できると思うのでオススメです。

疲れている脳をしっかり休めましょう。

「精神科医の禅僧」が教える心と身体の正しい休め方


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