入社してから3年も経っていたので、note社のインハウスエディターとして何をしたのかまとめてみました
noteに入社して記事を量産していたら、うっかり3年が経過していました。
だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。
これをミッションにしている会社で文章をつかさどる仕事をしているのに、いままでプロフィール以外、ひとつもnoteを書いていません。うっかり。
これではインハウスエディターとしての説得力がないので、腹をくくってnoteを書くことにしました。どうぞよろしくお願いいたします。
私の経歴についてはプロフィールをご覧ください。
このnoteでは、私が業務で何をやっているかを書き出していきます。
1年目 カオス期
やったこと
アカウントの役割整理
表記ルールの制作
初心者向けコンテンツの制作
図版作り用ツールと運用ルールの整備
依頼を受けた記事の制作
外部のライターさんの協力を得る
私がnoteの社員になったのは2020年10月ですが、実はその前の半年ほど、バイトで法人向け高機能プラン「note pro」のライターをしていました。そのときに感じた「noteのここは改善できるかもな」というポイントを、PRやディレクター(*)などの他チームに提案しながら仕事を進めていきました。
*noteでいう「ディレクター」とは、いわば出版社における編集者のような役割をする職種で、クリエイターの発掘やサクセスへのサポートなどを担っています。
1.アカウントの役割整理
note社が自社の情報発信のために使っているアカウントはいくつあると思いますか? 主なもので、note株式会社、note公式、note編集部、noteイベント情報、note pro公式など6つ。そのほか、届けたい相手によって別途LP(読者が最初に訪問するページ)を用意しています。
2020年当時はアカウントそれぞれの役割とが明確に決まっていなかったので、役割の整理を提案しました。
2.表記ルールの制作
後回しにしがちなもの、それは表記ルールの策定。最初から校正・校閲さんが入ってきっちり表記ルールを作り上げている媒体もありますが、ほかにやることが多くて、なんとなくのルールで運用しているオウンドメディアもあるのでは……?
ガチガチに決めてしまうのもnoteらしくないので、最低限のルールと推奨する表現を提案しました。
3.初心者向けコンテンツの制作
私が入社した頃のnoteは、初心者向けのコンテンツが手薄でした。そこで社内横断プロジェクトが発足。「noteを学ぶ」コーナーを作り、コンテンツ整理と初心者向け記事の制作などを行いました(リリース時の記事)。現在、コーナーの姿は変わりましたが、「note活用術」に制作した記事がいくつか残っています。
4.図版作り用ツールと運用ルールの整備
操作手順を説明するときなど、スクリーンショットを入れたくなりますよね。それも、丸囲みや矢印を入れて、よりわかりやすくお伝えしたい。
紙媒体の編集者をやっていたときは、私が描いたポンチ絵をデザイナーさんがいい感じに仕上げてくれました。しかしWeb媒体の場合、簡単な図版は執筆者や編集担当が作成するケースが多いようです。noteもそうです。
なので、誰が作っても統一感が出るように、デザイナーさんに図版作成用ツールの策定とルールを決めてもらいました。
5.依頼を受けた記事の制作
社内のあらゆるチームからイベントレポートや法人向けインタビュー記事などの制作依頼をいただくので、最初は私が執筆と編集をひとりで担当していました。が、それも半年で限界を迎え……(6に続く)
6.外部のライターさんの協力を得る
仕事量の増加により、派遣社員のライターさん2名に常駐していただくことに。それとは別に、単発で執筆をお願いできる業務委託の外部ライターさん確保を始めます。私の業務の比重を編集に置くことで、記事の量産体制を構築していきました。
2年目 量産期
やったこと
AI文字起こしツールの導入
依頼シートの作成
法人向け資料の作成協力
ヘルプ作成
2年目にしてインハウスエディターチームへの記事作成依頼が一気に増加しました。法人向け資料など、記事以外のドキュメント制作も行なっています。
年間記事制作数は、169本(+ヘルプ制作など)でした。
1.AI文字起こしツールの導入
インタビュー記事などの制作で一番ウンザリする作業が、録音・録画データからの「文字起こし」。これは多くのライター・編集者さんにご賛同をいただけると思います。
私たちは、いまのようにAIに注目が集まる前から、AIを使った文字起こしツールサービスを導入していました。もう手放せません。
2.依頼シートの作成
「記事作ってください」「はーい」で依頼者と心が通じればいいんですが、残念ながらそうはなりません。そこで記事の精度を上げるために、依頼者に記事のオーナー、執筆者、やり取りするSlackのチャンネル、スケジュール、記事の目的・盛り込んでほしい要素などを1枚のシートにまとめていただくフローを取り入れました。
しかし最近、このフローが一部の依頼者の負担になっているようなので、見直しを考えています。
3.法人向けダウンロード資料の作成協力
noteの導入を考えている法人に向けた資料作成のお手伝いもしています。
4.ヘルプ作成
ヘルプページは2023年現在、CSチームが管轄していますが、以前はインハウスエディターチームがヘルプを作成、メンテナンスもしていました。ヘルプの文章って、いかにストレスを感じさせずにユーザーに理解してもらえるかが大切なので、ものすごく書き手のスキルを要求されるんです。とても鍛えられました。
3年目 安定期
やったこと
記事の制作
社内資料の制作やドキュメントの校正
効果測定
AI校正ツールの導入
2023年12月現在、インハウスエディターチームには私を含め社員2名が在籍しています。編集業務が中心ですが、内容により執筆を担当することも。依頼される内容は、記事の制作のほか、メルマガやドキュメントの校正も含まれるようになりました。
大きな変化は、常駐の派遣社員ライターさんとの契約が終了し、執筆をほぼ業務委託の外部ライターさんに依頼するようになったこと。ですので、いかに効率的に業務を回すかが重要な1年となりました。その一環として、校正・校閲支援ツールや生成AIの導入も進めています。
案件の種類や本数が増えてもチームを安定運用できたのは幸いでした。年間記事制作数は163本で、2年目よりも多くの案件を捌くことができました。
下記に3年分の仕事の一部を紹介します。
1 .記事の制作
イベントレポート記事
noteで開催したイベントのレポート記事は多い時で月2〜4本ほどのペースで公開しています。クリエイター向けから法人向けまで、幅広い分野に対応して記事を制作しています。
インタビュー記事
PRやB2Bなどを担うチームと協業してインタビュー記事を制作することも。
カイゼン記事
noteの新機能を紹介する記事も制作しています。
2.社内資料の制作やドキュメントの校正
メルマガやダウンロード資料をはじめとした、あらゆるドキュメントの校正・校閲などもしています。
3.効果測定
これまでにない取り組みとして、記事の効果測定を始めました。これまでも観測してはいましたが、改めてPVやスキ数や読了率などの数字に向き合うことで、改善点を炙り出し、制作物のクオリティを高めることが目的です。
4.AI校正ツールの導入
ドキュメントの校正・校閲依頼も増えてきたので、同じくインハウスエディターのスガさんの提案によりAI校正ツールを導入しました。
それとは別に、note社自体も生成AIでの業務生産性向上に力を入れていることもあり、AIを業務に活かすための検証も始めています。
インハウスエディターって、なにをやっているの?
実は私、「インハウスエディター」というポジションの定義はいまだ定まっていないのではと考えています。というのも、私がそれまで勤務していたような、出版社で社員として働いている編集者も「インハウスのエディター(編集者)」ですから。
しかし、主に紙媒体を主戦場とする出版社勤めの「編集者」とウェブ界隈でいう「インハウスエディター」では、どうやら意味合いが違うぞ、と認識したのは2018年のこの記事でした。
この記事をざっくりとまとめると、インハウスエディターの役割は「編集というスキルを駆使して、あらゆるステークホルダーと良好な関係性を構築する」でしょうか。PR(Public Relations)の役割に近しいという解釈ですね。
ただnote社の場合、PRやコミュニケーションの担当部署はほかにあります。さらに冒頭で紹介したとおり、note社には出版社の編集者的な役割を受け持つ「ディレクター」という職があり、インハウスエディターが直接クリエイターの成長や成功をうながすような活動をしているわけではありません。現状、note社内でのインハウスエディターチームは、“編集プロダクション”的な立ち位置になります。
会社によってインハウスエディターの役割と立場はさまざま。記事だけ制作していればいいの?PRとの違いは?と悩んでいる方も多いと聞きます。
ただ「編集者」(あえて“編集者”と書きます)を生業にしている以上は、基本的に好奇心旺盛で“おもしろがり”であるはず。そこを軸に仕事の幅を広げることはできるのではないでしょうか。自分の手で、これからの“インハウスエディター像”をつくり上げていけばいいと思います。
で、4年目はどうする?
インハウスエディターチームとしての4年目の具体的な野望は、同僚のスガさんのnoteでぬくぬく話しているので、そちらを参照してみてください。
なにはともあれ、何事もスピーディに物事が進む会社なので、振り落とされないよう頑張りますと、アラフィフのワーママは思うのであります。
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