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これから映画はどうなるのか?【#90】

今日のトピックは「第77回ヴェネツィア国際映画祭公式のVR作品セレクション『Venice VR Expanded』」について。

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VR/ARの会社を設立した大学院生(@iwhododo)です。
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1.ヴェネツィアVRエクスパンデッド

現在開催中の第77回ヴェネツィア国際映画祭では今年、公式のVR作品セレクションをVenice VR Expandedとしてオンラインで実現。映画祭の認定を受けた審査員やメディアが体験できます。認定の申請はこちら

ヴェネツィア国際映画祭におけるVR作品は数年の歴史がありますが、今年はオフラインでの開催が難しく、HTC Viveport、FacebookのOculus、VRChatを用いたバーチャル展示に移行しています。

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2.コンペティション部門の注目作品

華形となるコンペティション部門には多くの作品がノミネートされ、ここではいくつかの注目作品をピックアップします。

2-1.BEAT

ひとつめは日本人・伊東ケイスケ氏が監督を務める『BEAT』です。
本作は、株式会社WOWOWと株式会社CinemaLeapが共同製作したVRアニメーションで、Haptics(触覚)技術を用いた「心臓ボックス」を利用し、ユーザーの心臓の鼓動を、作品に登場するロボットのハートと連動させて物語が展開される模様。

※ただし、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響でヴェネチア国際映画祭のVR部門はVR空間で開催される運びとなっています。そのため、ノミネートされた作品はHapticsデバイスを利用せず、コントローラーを通じてインタラクティブに作用するバージョンです。
関連記事:ヴェネチア映画祭に日本のVR作品がノミネート、観客の鼓動に呼応するインタラクティブな体験【#55】

2-2.AJAX ALL POWERFUL

『Ajax All Powerful』は、Ajaxという名の野蛮な精霊の登場する短編アニメーションVRコメディです。人間の願いを叶えて魂を集めるため、とある少女と契約の交渉をすることになるが、様子はいつもと違うようで・・・といったあらすじのインタラクティブな作品。

作品としておもしろいだけでなく、スケール感の変化などで実験的にVRを使っているものの、VRを十分に活かしきれていないとの指摘もあります。

2-3.KINSHASA NOW

VR作品には当然ながらアニメーション作品だけでなく、実写作品も多くノミネートされています。

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コンゴ民主共和国キンシャサの路上で生き延びようとするストリートチルドレンを追った物語。14歳のミカはストリートのルールを学び、生き残るためにストリートギャングに参加するほか自分の身を守る術がない過酷な環境。視聴者には選択肢が提示されてインタラクティブな物語が展開されます。

百聞は一見に如かずはおろか、百見は一回の体験に如かずと言われる時代が来るかもしれません。

審査員には小島秀夫監督の名前も

今年のVR部門の審査員には、Celine Tricart氏、映画監督のAsif Kapadia氏、小島秀夫氏の3名。

Celine Tricart氏は昨年VR最高賞を受賞した『The Key』を製作したLucid Dreams Productions代表。

小島秀夫氏はメタルギアシリーズや『DEATH STRANDING』で知られるゲームディレクター・プロデューサーで、新しい生活様式や人間の関係性についてゲームを通じて表現しています。
関連:SNS疲れに効く『DEATH STRANDING』のオンライン要素

映画とはもはや見るものでないのか

ヴェネツィア映画祭のひとつとしてVR作品群は取り扱われていますが、ゲームのようなVR作品と映画にはギャップが有るようにも思われます。
しかしながら、現に映画とはもはや単なるスクリーンに投影される映像作品ではなく、4DXや3D映像は一般的になりました。音についても仮想サラウンド音声を採用して、前後左右から音が聞こえるような臨場感を楽しむことができます。

大きなスクリーンの優位性はありつつも、公開されるはずの映画がNetflixで配信されたり、来場者数が減少したりと経営的にも厳しいなか、映画館はアトラクションのような機能を持ち始めています。

VR体験施設として独立した施設はコロナ禍の影響もあり、多くが閉鎖してしまいますが、映画館がこの代わりとしてVRの接点となることも期待されています。
関連記事:ウィル・スミス、ケイティ・ペリーも出資したSandbox VRが破産保護を申請【#69】

とはいえ本が未だに出版されるように、映画の定義は3D映像や体験を含むものに変わるかもしれませんが、これまでの形式と同じく平面的な映画もVRが普及したとしても残っていく文化に違いありません。

もひとりの映画好きとして、個人的にもその未来を期待しています。直近だとクリストファー・ノーラン監督の『TENET』が楽しみです。

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出典:Upload VR "Best Of Venice VR 2020: Oculus Quest Impressions"

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