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『池袋モンパルナス』を読み解く13

池袋西口通信社は、「池袋モンパルナス」について情報を集めています。先日購入した書籍『池袋モンパルナス』(集英社)を読み進めてきましたが、そろそろ佳境に入ろうとしています。
今回ご紹介するのは、いよいよ第三部「落花」の第一話「個と群れ」です。池袋モンパルナスの周辺ではきな臭い戦争の香りが漂い始めます。戦争に翻弄される前衛画家に緊張が走ります。彼らはどうなっていくのでしょうか。

話は日米開戦の年、昭和十六年からスタートします。当時の日本の前衛絵画を牽引した福沢一郎が逮捕されます。福沢はアンドレ・ブルトンによる「シュルレアリスム宣言」がものされた1924年に渡欧し、ヨーロッパの前衛を提げ、日本へやってきました。彼の立ち上げた「美術文化協会」は池袋モンパルナスの画家達も所属する前衛の総本山でしたが、釈放後、「シュールじみた仕事はいっさいやめる」と彼らの前で宣言します。

なぜシュールは弾圧されたのでしょうか。当時の特高警察による言い掛かりに過ぎないというのが一つの事実です。彼らは反体制思想とのつながりを疑いましたが全く確証はありませんでした。福沢は無実の罪で捕まったのです。弾圧がなければ日本の美術シーンはもっと異なっていたでしょう。若き日本のシュルレアリストたちの一部は転向せざるをなくなり、戦争賛美の絵画を描きながら心に傷を負うのでした。

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