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ホラー連載開始直後に「ぼぎわん」を読んだ話。

先日から考えていたホラー連載「シュレディンガーはたぶん猫。」の1話目を、小説大賞のホラー小説部門に参加しようとして、えいや!と更新したわけです。

それで投稿したところで、他の参加者様の作品リストが目に入り。題名と記事の写真のイメージだけしかまだ拝見できていない状況ですが、「アレ…私だけノリというか毛色が違うくない…?」と不安になってきまして。

私の思う恐怖と人様の恐怖のチャンネル、微妙に違うくない?などと。

ホラーってそもそもどんなやったっけか…?と不安に思ってきた結果、積んで放置してあったところから「ぼぎわんが、来る」を手に取って読んだのでした。

今回も異様なヒキの良さだった。先日の乱歩先生の「孤島の鬼」に引き続きタイムリーでした。今回は口モチーフが出てくるホラーな話被りでしたね。「ぼぎわん」も私の連載も。無意識の選択がドンピシャ過ぎて、ホラーの神に好かれてるのか何なのか。

以下ネタバレ有りますので気になる方は「ぼぎわんが、来る」読んだ後に読まれるよう、お願いします。


ザ・ホラー好きが愛して求める、そのもの。


自分が変化球的なことを考えて今自分の連載書いているのはそこそこ自覚していましたが、「ぼぎわん」は本当に直球勝負のイイ球で、誰が見ても惚れ惚れする正攻法の極みホラーでしたね。

ホラー好きみんなが好きなやつ、かつ超強力な即戦力だ~!定番かつ新しいやつだ~!

「そうそう、こういうのが欲しかったんよ!」と読者様が好むのも、出版社様が好むのも、めっちゃ分かる~。惚れ惚れする~!

と同時に、こういう創作の大賞に応募する立場でこの作品を思うと、「この方向性かつこれを越えるもの」を正攻法で出すのは確実に作者としては厳しい道だよね。あはは。分かる~。

だってこんな緻密に古文書の設定から詰めて、ってプロットの時点で私には無理やもんな…。

少なくとも自分の連載の今後の展開としては「ぼぎわん」的なルートは全部消えましたね。その同じ直球ルートで戦う能力自体の足りなさも自覚したし、賞レースと称された場で「ぼぎわん」の二番煎じが出てくることを審査員様側が望んでいるわけがないからです。そっち期待された方には申し訳ない。戦略的撤退です。言うほどそっちの方向はまだ考えてはなかったけども。

もう変化球しか選択肢ないねぇ。それが分かった分、確実にこのタイミングで読むべきものだったね。もう直球勝負は完全に捨てますわ。行き当たりばったり連載だからこそできる「あえて書かなず・戦わずに逃げる」戦略…。

そもそも私自身、変化球の方が書くの得意な可能性があるしなぁ。「ぼぎわん」が大手企業様としたら、私は隙間産業の中小企業的な…。ストライクゾーンにズバア!行く直球を投げる努力を厳しさに泣きながらするより、手持ちの変化球がどこまで曲がるか、一度伸び伸び投げて試してみたい気持ちが強い。


子供と教育の話。


私自身も、結婚はしてるけど子供はいない人なので、作中の真琴や野崎の子供への思いや親となった同級生あたりに対する気持ちはリアルだし、読んでて「うおああー…」ってなりますね。

自分に子供いないから人の子供しかいない、って言うのもまあ、そうで。

このあたりの記事を私が書いたのは、やっぱり真琴と同様、行き場がない「自分の中で積み上げたもの」を伝える対象を、自分には子供がいないから「他人の子に向けるしかない」からなんだと思うし。超絶に老婆心~。

結婚しない人が増えている昨今、そういう「子供いないけど教育や子供にもの申したい」という人間は今後も増えると思うし、怪物になりたくないなとつくづく思うわけです。

自分に子供がいなくても教育モンスターにはなれるんやな、人間って。子供いる人も当然のようにモンスターになりがちなんやけども。

モンスター因子は全人類に組み込まれていて、自分の子がいてもいなくても、子供がそこにいる限りはその子供に年長者として何かせねばと思ってしまうものだし(その子にとって有益かは置いておいて)、無垢な子供も未来にはモンスターとなる可能性は多大にあるわけで。

私はそこまで闇の思考には入ってないつもりだけど、文章書いてなかった約10年間の精神状態を思うと「心に滓が溜まる」みたいな感覚は本当そうで、それが「メンタルヤバいな、やっぱ書こうかな」と背中を押してくれた形で今NOTEをやって小説リハビリしている、って自覚もまぁ、あるんですね。ヤバさの自覚はそれなりにあった。

吐露に執着し過ぎてもヤバいし、全く吐露しないのもそれはそれでヤバいんですね、人の気持ちってもんは。

やっぱ感情を吐露する場というのは必要で。それがなかったから、香奈は母親としてどんどん追い詰められたのかなと。秀樹のパパ友とのやりとりも、香奈にとってはやりとりの内容とか言動自体がとても不愉快ではあったんだけど、秀樹にとってはひとりの男・夫なりのメンタルの逃げ場でもあり、だからこそ「おい、私は逃げられないのに何てめーだけのうのうと逃げられてんだよ、ふざけんな」感が強くなった気もするし。

人間怖いストーリーとして好きだなと思いながら読みました。人間のメンタルが産み出した怪物のお話だよね。たまにX(旧Twitter)とかで学級会引き起こしたり、公園に「子供は遊ぶな」とか貼り出したりしてるよね。ぼぎわん連中。Xに入れ込み過ぎるでない…X山に連れていかれるぞ…!今日もSNS界隈は「こだから」に恵まれた人外魔境…。


人の「感覚」というものの不確かさ。


あと章ごとに視点が変わると見えるものが違ってくる展開も私好みでした。実際、視点を大量に用意する手段でしか「物事をより正確に書き記す方法」ってないのかも、という諦念に近い感覚もあるわけですが。そもそも正確な感覚って、何だろな。両目さえ錯視みたいなあやふやな捉え方しかできんのに、「個人視点での正しい見え方」なんてそこにはないのに。

あーなんかそういう、「五感のあやふやさ」という恐怖は私が書こうとしている連載ホラーでやりたいことかもしれない。この感覚全てがあやふやで間違ってるかも、だったらこの世の何もかもが信用できないじゃん、みたいな恐怖。私が今書きたいホラーはそういうのかもしんない。

読書して私の方向性が見つかる、本当最近こういうの多くて、助かる~。ホラーの神様ありがとうございます、なむなむ。それこそホラーの神様のキャラデザは、ぼぎわんに近い可能性もあるけどな。口だけ異様にでかい。まぁ拝んでおこう。なむなむ。

というわけで、連載途中で読書とか、全然書くの集中してなくない?と思いきや、かえってめちゃくちゃ集中する事態になっている話でした。

人生、横路・寄り道こそが私の大通り。隙間産業民らしいやり方で茨道を行こうと思います。この世には王道をまともに歩こうとすると死ぬ確率上がる人間もいるんやで。ままならんな!


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