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季節を味わう、七十二候のしらべ。「玄鳥去る(つばめさる)」

note投稿34回目である。
もうすっかり秋の風情で、秋風にのって金木犀の華やかな香りを街中でも感じるようになった。

今年は少し涼しかった分、金木犀の開花も少し早いとのこと。最寄りの駅の近くにある大きな金木犀の木が満開になるのが楽しみで、暇があると花の様子を覗きに行くのが最近の習慣になってきた。

今回は七十二候紹介、第6回目である。

玄鳥去る(つばめさる)

新暦では9月17日〜21日 二十四節気「白露」の末候

ツバメが越冬のため、南に旅立つ頃。

家やお店の軒先に巣を作って子育てを行うツバメは、私たちにとても馴染みのある鳥だ。
しかしツバメの一年は、実はかなり忙しいことをご存知だろうか。

渡り鳥であるツバメは、子育てが終わる9,10月頃になると餌を求めて九州、沖縄と段々と南下して日本を離れる。

そしてそのまま海を越え、フィリピン、マレーシア、台湾などの温かい南国で冬を過ごし、春の桜が散る頃になるとまた日本に戻ってきて、産卵と子育てを行う。

主食である昆虫を安定的に食べるため、より競争相手の少ない地域を目指してそのような長距離の移動をするらしいが、
体重約20g、500円玉約3枚程度の重さしかない小さいツバメが、一年の内に往復6,000〜8,000kmも移動するというから驚きだ。

彼らはどれだけの困難を乗り越えて日本に帰ってくるのだろう。
もしツバメ語が話せたら旅の苦労話など聞いてみたいものだなと、ツバメを見るたびに思う。

しかもツバメは見た目に似合わず大食漢で、1日あたり親鳥で200〜300匹、ひな鳥でも100匹も虫を食べるらしい。そのため親鳥は、子供のエサ探しにほとんどの時間を当てるらしい。

餌のために海は超えるわ、子供のために一日中飛び回るわ、彼らは本当に働き者だ。

そんな働き者の姿にあやかって、昔からツバメは「幸せを運ぶ鳥」として扱われてきた。
例えば、子育て中頻繁に巣を出入りする姿になぞらえて「商売繁盛」の象徴としたり、
ツバメが子沢山で一生懸命子育てをする姿から「子宝に恵まれる」と言うご利益を願って、エサ棚を作ってあげたりしたらしい。

しかし、日本人の居住環境も変わり、最近段々とツバメの居場所が少なくなっていると聞く。
たしかに、私が小さい頃は探さなくてもあちらこちらにツバメの巣を見つけられたが、最近は少し探さないとツバメの巣を見つけられない。

生活スタイルが変わる中で、なかなか共存できない部分も出てくるが、
長旅を終えて帰ってきたツバメたちが、安心して子育てできる場所は残してあげたいなと強く思う。

補足事項
・季節の言葉 鶏頭
・季節の野菜 なす (旬は6月~9月) 
・季節の魚介 昆布 (旬は8月~10月)
・季節の日 空の日 (9月20日)

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