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季節を味わう、七十二候のしらべ。「鴻雁来る(こうがんきたる)」

note投稿55回目である。

すっかり夕方の冷え込みも厳しくなってきて、気がつくとあっという間に日が沈んでしまうことが多くなった。

秋の夕日はなんだか物悲しい雰囲気を纏っていて、少し切ない気持ちになる。

今回は七十二候紹介、第10回目である。

二十四節気 寒露(かんろ)

二十四節気の17番目 10月8日〜10月22日

露が冷たく感じられてくる頃のこと。
空気が澄んでいるため、月が綺麗に見える時期。

もともと「寒露」とは、晩秋から初冬にかけての露のことで、
秋分の前の二十四節気「白露」(9月7日〜22日)が、大気が冷えて草木に露が落ちる頃の意味だったのに対し、
「寒露」は、その大気が更に冷えて、露が降りるだけでなく、露が冷たくなることまでを意味している。

月や星が綺麗な寒露の時期のイベントとしては、旧暦の9月13日に行うお月見「十三夜」が挙げられる。
(ちなみに今年は10月18日)

由来に関しては諸説あるが、旧暦8月15日の「中秋の名月」の時期は、台風などにより月が見えにくい日が多かったことから、
秋晴れの多い寒露の季節に2回目のお月見を設定した、と言うのが有力な説なんだとか。

十三夜は新月から数えて13日目の日なので、満月ではなく、微妙に欠けているのも特徴。
まんまると完璧な満月ではなく、少し欠けた月を愛でる習慣があったと言うのもなんとも風流に感じる。

鴻雁来る(こうがんきたる)

新暦では10月8日〜12日 二十四節気「寒露」の初候

ツバメと入れ違いに雁が北から渡ってくる頃。

「雁(ガン、カリ)」は、鴨に似ているカモ目カモ科に属する水鳥の総称。

雁は日本で冬を過ごし、暖かい春になるとシベリアの方へ帰っていく渡り鳥でもある。

私も生で雁を見たことは無いし、あまり馴染みのない鳥かもしれない。
雁と言えば、森鴎外の『雁』や『枕草子』の冒頭が有名だが、
個人的に印象深いのが、小学生の頃に国語の授業で読んだ椋鳩十の『大造じいさんとガン』だ。

ガンの群れを統率する残雪とよばれるガンと、猟師の大造じいさんの物語だが、
自分の命を顧みずに仲間を助けようとした残雪の姿を見て、「見たことないけれど、ガンってカッコいいんだな」と子供心に思ったことを今でも覚えている。
そんな残雪を助ける大造じいさんも中々カッコいいのだが。

「大造じいさんとガン」に見られるように、
雁は明治以降の狩猟解禁に伴い数が激減し、また生息環境の消滅に伴い、日本ではほぼ絶滅に近い状態にあると聞く。
地道な雁の保護活動も続けられていると聞くので、
中々雁の為に活動できることは少ないかもしれないが、
またごく身近に雁の群れを見られることを願うばかりである。

補足事項
・季節の言葉 雁渡し
・季節の野菜 しめじ (旬は9月~10月) 
・季節の魚介 ししゃも (旬は10月)
・季節の草花 ななかまど 

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