コメンテーター津良野房美#36
房美は、ポンタがモーニングタイムをやめた後、他局のコメンテーターの仕事もすべて断り、夢だったうどん屋になる為にあの店で修行を始めた、という話を百合絵から聞かされた。
「黙っていてごめんなさい!
実はポンタさんがこの店にいる事知ってて来たの」
百合絵が言った。
百合絵はLINEでポンタと連絡取り合っていたのだ。
◇
うどん屋を出ると五重塔が見える。四国八十八ヶ所霊場の75番札所『善通寺』だ。
房美と百合絵は歩いて善通寺に向かった。
善通寺は空海の誕生の地と言われている。寺の後方にポコポコと五つの山がそびえている。五岳山と呼ばれるその山々で空海は修行したと言われている。
「待たせてごめんねー!」
ポンタが小走りで来た。
「お仕事は大丈夫なの?」
百合絵がポンタに聞く。
「うちのうどん屋は午前中で終わりだよ、うどんが無くなったら営業終了なんだ」
"へー、そうなんだ"
房美は久しぶりに会ったポンタのオデコを愛おしげに見ていた。
「じゃあ、今日は僕が二人を案内するよ!」
「キャー!うれしいぃ!」
百合絵がはしゃいでいる。
「じゃ、次は『こんぴらさん』行ってみよー!」
ポンタはドリフのチョーさんみたいにおどけて指を差す。
絶世の美女二人を引き連れ意気揚々と歩き始めた。
つづく
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