【連載小説】少年時代#19
奈々の家はポンタ達が五区が出来る前に野球場にしていた空き地の上に建っていた。周りも全て同じ形の家が並んでいる。
ポンタ、ようちゃん、のいねめ君、はざま君の四人は『斉藤』の表札を探しながら歩いた。手にはそれぞれが選んだプレゼントの袋を持っている。
ポンタは慣れない可愛らしい包装紙が少し照れ臭かった。
『ピンポーン』
四人は女の子の家に行くのは初めてだった。緊張気味に玄関の呼び鈴を押す。
「はーーい」
奈々の声と共にバタバタと玄関に走る足音が聞こえた。
玄関がガチャリと開き、奈々が顔を出した。
「お誕生日会来てくれてありがとう!みんな上がって!」
玄関は女の子の靴で埋め尽くされていた。四人は端の方に靴を置き、固い表情で女子の甲高い笑い声が聞こえる居間に入った。
二十人程の女子の中にポンタ達男子は四人だけ。学校では女子に威張り散らしてる四人なのに、借りて来た猫のように隅の方で小さくなっていた。
あみだくじでプレゼント交換をする、一番最初に奈々が選んだ。くじはのいねめ君のプレゼントに当たった。
「やったー!『がきデカ』だー!」
奈々が飛び上がって喜んだ、
「ママに言っても買ってもらえなかったの、これ誰のプレゼント?」
「ぼ、僕だけど、、」
のいねめ君が答えた。
「ありがとう!うれしー!」
奈々の隣でママは苦笑いしていた。
最初は硬かったポンタ達男子も次第に場に慣れ、ケーキを食べたりゲームをしたりと楽しい時間を過ごした。
「のいねめ君は漫画いっぱい持ってるんでしょ?」
奈々がのいねめ君に話しかけて来た。
「少年チャンピオン毎週買ってるんやで」
のいねめ君が答えるとようちゃんが、
「オレは少年ジャンプ買ってるで」
と言った。
「私埼玉にいた時、男の子の家でいつも読ませもらってたの。今度行っていい?」
「あー、いいよ、」
「やったー!これで『がきデカ』も『ドカベン』も『両さん』も続きが読めるー!」
"奈々ちゃんってこんな子だったのね"
喜ぶ奈々をポンタ達は苦笑しながら見ていた。
つづく
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