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そりゃ、そうなる

1991年のバブル崩壊から円高は進んでいたけれど、2008年の世界金融危機以降さらに円高は進行し、2011年10月には 1ドル 約75.5円をつけている。
現在 1ドル 約160円だから75.5円というのは、超円高どころでないほどの円高だったことになる。

知識は荷物になりません 貴方を守る懐刀

円高時代は、1ドル 約75.5円をつけるまでにリーマン・ショックから3年以上、バブル崩壊からだと20年間も続いた。

またリーマン・ショック以降には東日本大震災、それによる原発事故まで起きたことで電気料金は上がり、他にも法人税や規制問題などもあって日本企業にとっては6重苦と呼ばれていたらしい。
「らしい」というのは、当時ぼくの会社がそこまでの規模でなかったため、電気料金くらいしか気になった記憶がないから。
それはさておき。

先月、輸出産業でもあるトヨタの営業利益が日本企業で初めて5兆円を超えた(5兆3529億円)とニュースでやっていた。
現在、トヨタは円安(対米ドル)が1円進むと営業利益が450億円押し上げられるので、この5兆円超のうち6850億円は為替差益によるものになる。

額が大き過ぎてピンとこないけれど、いいなぁ、って感じはする。

また、現在のインバウンドの多さを思えば、ホテルをはじめ観光産業も景気が良いに違いない。みなさん、スマートな接客をされているだろうけれど、きっと内心は小躍りしたくなるほどだと思う。

そしてこれらは、いずれも円安が寄与したのは間違いない。

ということは、長く続いた円高、それも80〜70円台という超円高時代、輸出産業や観光産業がどれほど大変だったかは、逆を考えれば想像に容易いと思う。
それも6重苦だし。

だからアベノミクスの功罪はあるけれど、あのタイミングで政策を打ち出したことは、正解だったとぼくは思っている。「絶対」はないけれど、あれがなければ円高がさらに進行していた可能性もあったと考える(先日の画像の、その箇所を載せておきます)。

もちろん異次元金融緩和や、その後のマイナス金利導入の是非については問われるところだし、個人的にも思うことはある(後述するかもしれない)。
ただ、繰り返しになるけれど、あのタイミングで「言葉」にし、政策を打ち出すことが大切だったのだと思う。

ところが、ここで彼らにとっては誤算が生じたのだと思う。
円安に誘導することで期待された貿易収支は改善されるどころか、悪化することになった。

魔物

この時代、超円高の文字通り日本円は高く、めっちゃ強かった。
結果、輸出産業に限らず多くの企業が生産拠点を海外へと移転した。工場など海外移転するための費用も超円高で安く済むのだから、もう必然の成り行きといえる。
また、国内では企業にとって6重苦だったことが皮肉にも海外移転への後押しになったのだろう。

そして、これが上記の「貿易収支は改善されるどころか、悪化することになった」要因の1つである。

つづく



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