西山 逸成(Itsunari Nishiyama)

ル・プチメック ファウンダー 2019年6月までル・プチメックというパン屋さんと、20…

西山 逸成(Itsunari Nishiyama)

ル・プチメック ファウンダー 2019年6月までル・プチメックというパン屋さんと、2020年6月までレフェクトワールというベーカリーカフェをやっていました。 現在は、リタイアした何者でもない人

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大本営発表

民間部門からは長年の金融緩和による副作用の指摘もあった。だが、デフレを脱却して物価安定を実現するための有効な代案はあっただろうか。 私なりに国益を追い、最善を尽くしてきたつもりだ。 これは、黒田・前日銀総裁が退任された後に述べられた言葉。 「有効な代案はあっただろうか」 これは、その通りだと思う。 目標を達成できなかったのは結果論だし、物価上昇率2%という目標は白川・日銀から引き継がれたものだった。それに、そもそもそれを日銀へ押し付けたのは当時の政府である。 ぼくは、

    • わしゃ、止まると死ぬんじゃ~

      日銀が国債を買い受けることで長期金利を低く抑えるイールドカーブ・コントロール(YCC)は、一見すると魔法の策ようで実は延命でしかなかったのだと思う。 量的緩和、マイナス金利、YCCと続いたあの手この手は、つぎはぎの回避策であって解決策にはなっていなかったんじゃないかな。 インフレを誘導しようとすると長期金利が上がる。それを抑えるために国債を買い続けると、今度は日銀の債務が増え続けることになる。 ETFと同じように「おい、おい、こんなにたくさん国債を買っちゃったけど、これど

      • 異端の救世主か 、 それとも破壊者か

        経済は複雑すぎるので、前半はこれまでを少し振り返りながら書いてみる。 アベノミクス時代、政府の大義は景気回復、デフレからの脱却で、実施した政策が異次元量的緩和、マイナス金利、イールドカーブ・コントロール(YCC)だった。 大量の国債を発行し、それを日銀が引き受けることで市中にお金を流通させ、個人は少ない負担でお金を借りやすく、企業も借入がしやすくなる。 それによって景気が刺激され、個人消費や企業の設備投資などが増えることでデフレからも脱却できるよね、ピーターパン。というお

        • 次の一手

          世の中のほとんどの経営者の方は、 ”良い借金” をされていると思う。 無論、良い借金であってもそうでなくても利子を付けて返済する義務があるし、それは日本最大の債務者・日本政府であっても同じこと(そうであると仮定して話を進める)。 日本政府のように約1300兆円も借金があると、その利払いだけで一体いくらになるんだろう・・・考えるだけで恐ろしい。 現在も、日銀が次回いつ利上げをするのかが焦点になっている。 短期金利を上げれば長期金利も上がるので、これほど元本が巨額だとわずかな

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        • お金や投資、経済やビジネスっぽい話(仮)
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        • 本とか本屋さん(仮)
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        • パン屋さんをして経営を想う
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        • 技術とかテクノロジー(仮)
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        記事

          光学迷彩

          次のグラフは、国の「一般会計税収の推移」になる。 パッと見ただけでも2009年からほぼ右肩上がりで増加傾向にあることがわかる。 2023年度の税収は72兆761億円、4年連続で過去最高を更新中。 ちなみに直近の2024年度分が下がっているのは、この時点での予算額のため。 いきなり余談だけれど、このニュースを報じた新聞などメディアの見出しは、おしなべて「4年連続で過去最高」「法人税が大幅増」「企業の好業績反映」「法人・所得税が堅調」といった言葉が並んでいた。 確かにその通り

          インフレ課税

          円安誘導・インフレの狙いは、米国からの圧(要請)もあっただろうし、日本政府としても失業率改善の成果を示せることができるようになる。と、ぼくのテキトーな憶測を述べてきたけれど、他にもう1つある。 そして、これこそが政府・日銀にとって本命の狙いだったと思っている。 インフレとは物価が上がること。それは相対的にお金の価値が下がることでもある。 例えば、これまで1個100円で買えていたパンが、同じものなのに値上げによって200円支払わないと買えなくなったとする。すると100円の価値

          思惑

          ジャイアン 「おい、のび太。オレ様はインフレ率を2%に決めたから、お前もわかってるだろうな」 のび太 「もちろんだよ、ジャイアン。そういうことだから、日銀のみんなもよろしくね」 日銀幹部 「えっ、え〜、そんな無茶な・・・ドラえもんからも、のび太くんが非現実的な政策を修正するように、なんとか言ってよ」 ド、ドラえもん? 黒田えもん 「いや、あの通りだと俺は思うが。いいじゃないか。俺もそう思うぞ。2年あればいい。2年と言って、実行する。そのぐらいの気合でやらないと駄目だ」

          パンドラの箱

          そろそろ、この辺りの伏線回収をしていこう。 ぼくの思う政府・日銀の本当の狙いとは、先述した ”円安誘導” だった。 じゃあ、なぜ、それが必要だったのか。 これにもいくつかの理由があり、またこれは利上げの話にもつながる。 まず一つには、2年2%という政策が決まる前年、米FRBがインフレ率の目標を2%に設定したことが挙げられる。宗主国であるジャイアンがそう決めたのだから、従属国のび太もそこに合わせる必要があった。そうでないと円高が進むことになる。 これまでも述べてきたよう

          白川・元総裁の慧眼

          結論から述べれば、異次元緩和の本当の目的は、やはり ”円安誘導” だったと思う。そして、それは日銀の意思というよりも当時の政府主導だった。 白川・元総裁時代、2年2%の物価上昇率を強く求める政府に対し、日銀は当然その非現実的でリスクの大きな政策を拒み、抵抗した。 その中で白川・元総裁は、こう指摘されている。 長期の金融緩和は債務の肥大化を招き、バブル破裂を通じて実体経済にダメージを与える。仮にそうした不安が出てきた場合は、2%達成前であっても金融緩和を修正すべきだ。 と

          ほほぅ

          「物価上昇率 2%」について述べているけれど、そもそも物価上昇は必要なのか。 そして、なぜ 2%なのか。 ぼくは 2%はさておき、物価上昇は必要だと思っている。その理由もあるけれど、素人の見解を述べても文字数の無駄と思うので、これについて黒田・前総裁が講演で述べられた記録があるので、それを紹介したい。 またぼくの解釈で申し訳ないけれど、噛み砕いて要約すると次の3つになる。 消費者物価指数の特性として、上昇率が高めに出る傾向がある。要は計測誤差があるので「物価安定の目標」を

          大切なことは・・・

          何としても あらゆる手法を講じて できることは何でもやる 前倒しであろうと何であろうと 必要なことは何でも 全力を挙げて達成しなければならない 早期に2%の物価目標を達成する 日本銀行として達成しなければならない 日本銀行の責務 可能であると確信 長い金融政策の歴史を見ても可能 俺は俺の責務を全うする!! ここにいる者は誰も死なせない!! あっ、最後のセリフは人違い・・・ 物価上昇率に対する確信や自信にあふれ、もう鬼気迫る覚悟すら感じち

          駆り立てるものは、 何?

          黒田・前総裁が就任前からこだわり続けていたのは、「2年で2%」だった。 だから 2% = 目的 と述べたけれど、これも日銀的には「あくまでも手段である」とされている(総裁・副総裁就任会見での岩田・前副総裁の発言)。 では、なぜ 2%で、その先の目的はどこにあったのか。 岩田・前副総裁の言葉を額面通りに受け取り、要約するとこうなる。 現在では、物価水準をデフレになる前にただ戻すだけでなく、経済はある程度の物価上昇がある方がむしろ安定することが経験的にわかってきた。 2%く

          駆り立てるものは、 何?

          本丸は 「2%」

          先に述べた3つの「2」の話に戻る。 黒田・前総裁が会見で「2」を並べられたのは、メディアや国民に伝わりやすいように、インパクトがあって印象が残るように、といった意図があったと思う。 ぼくなんかは、それを ”演出” だったのだろう、とさえ思っていたりする。 こう書くと多くの人は、んなアホな。国の中央銀行がとても大切な金融政策で、そんなテキトーに数値を出すはずがないだろ。と思われるに違いない。 日銀政策会議に参加される人たちというのは、総裁をはじめ天才や秀才といったエリートの

          2倍 2年 2%

          タイトルにした3つの「2」は、黒田・前総裁が日銀総裁に就任されて間もない頃、会見で大きなフリップまで使い宣言されたもの。 マネタリーベースを2倍にして、2年間で、物価上昇率2%を実現する マネタリーベースというのは日銀が供給しているお金の量のことで、正確には発行したお金と流通しているお金、それに日銀の当座預金を足した合計。 つまり、世の中にある日本円の量を2倍に増やすことで、物価上昇率2%を2年間を目処に実現してみせますよ、と。 結果的に増やした流通量は2倍どころじゃな

          策士だなぁ、と感心している

          経済成長を最優先に掲げたアベノミクスは、株価を上げることはできたけれど実体経済の上昇や景気拡大を実感することはなかった。 また期待された経済成長による税収増での財政赤字解消もままならなかった。 そして副作用もあれこれあるけれど、その中の一つはこれだったと思う。 おい、おい、こんなにたくさん株を買っちゃったけど、これどうするんだよ? ETFの爆買いを続けてきた日銀は日本株最大の保有者であり、多くの企業の筆頭株主という異常な状態だった。無論こんなことは世界でも異例で、これほど

          策士だなぁ、と感心している

          犯人は、誰だ

          政府と日銀が ”株価つり上げ策” をしたことで、買いが買いを呼ぶことになった。 それも ”呼ばれた買い” は日本人でなく、金融緩和でジャブジャブになった過剰なお金が投機として日本の株式市場に流れ込む。 これに加え、年金資金を運用する独立行政法人GPIFが株式での運用を巨額なものに拡大したのだから、そりゃ日本の株価は実態を伴わず上昇する。また、追加緩和までやったのだから、さらに円安だって加速する。 要するに、あの株価上昇を演じさせたのは日銀とほぼ海外投資家だけで、それは日本