西山 逸成(Itsunari Nishiyama)

ル・プチメック ファウンダー 2019年6月までル・プチメックというパン屋さんと、20…

西山 逸成(Itsunari Nishiyama)

ル・プチメック ファウンダー 2019年6月までル・プチメックというパン屋さんと、2020年6月までレフェクトワールというベーカリーカフェをやっていました。 現在は、リタイアした何者でもない人

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経常収支が黒字なら良いのか、という疑問

ぼくが国の損益計算書だと思っている経常収支の「貿易・サービス収支」と「第一次所得収支」。 この貿易収支とは、お察しの通り自動車や服など有形のものを輸出入した収支のことで、よく見聞きする貿易黒字、貿易赤字というのが、これにあたる。 またサービス収支の項目は、以下のように財務省のサイトで説明されている。 輸送:国際貨物、旅客運賃の受取・支払 旅行:訪日外国人旅行者・日本人海外旅行者の宿泊費、飲食費等の受取・支払 金融:証券売買等に係る手数料等の受取・支払 知的財産権等使用料:

    • 国の損益計算書

      かつて「技術の日本」と世界から尊敬されていた時代、自動車を筆頭に家電製品など、日本は工業製品を輸出することで巨額の貿易黒字を生み出す経済に強い国だった。ところがバブル崩壊をきっかけにデフレが進み、これが30年間も続く。 30年って、やっぱり長いなぁ。 デフレが進行すると円高になる傾向があるので(現在の逆だと考えればわかりやすい)、当然それを忌避する輸出業の多くは、生産拠点を海外へと移転した。 リーマン・ショック以降さらに進んだ円高に加え、その後の東日本大震災による6重苦ま

      • そりゃ、そうなる

        円高時代は、1ドル 約75.5円をつけるまでにリーマン・ショックから3年以上、バブル崩壊からだと20年間も続いた。 またリーマン・ショック以降には東日本大震災、それによる原発事故まで起きたことで電気料金は上がり、他にも法人税や規制問題などもあって日本企業にとっては6重苦と呼ばれていたらしい。 「らしい」というのは、当時ぼくの会社がそこまでの規模でなかったため、電気料金くらいしか気になった記憶がないから。 それはさておき。 先月、輸出産業でもあるトヨタの営業利益が日本企業で

        • あの頃、どうだったかな

          世の中の空気は、すっかり円安、物価高になった。 耳にタコができるほどインフレという言葉も聞くようになったけれど、直近で物価指数が実質賃金を超えたのが2021年なので、実は意外とまだ最近のことだったりする。 それでも早く円安を止めてくれ、インフレを何とかしてくれ、といった悲痛な声があちらこちらから聞こえてくる。 こんな人たちが現れるくらいなので、もう世論は完全に悪しきインフレ、それを放置している憎き日銀や政府。といった雰囲気になっている。 じゃあ、デフレの方が良いのかといえ

        経常収支が黒字なら良いのか、という疑問

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        • 経済とかビジネスっぽい話(仮)
          48本
        • 本とか本屋さん(仮)
          39本
        • 日々是好日
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        • パン屋さんをして経営を想う
          50本
        • 技術とかテクノロジー(仮)
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        • お店の話とか(仮)
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        記事

          知識は荷物になりません 貴方を守る懐刀

          どうしても「経済の話」となると、やたら遠い世界のことに感じ、余所事に思えてしまう人も多いと思う。無論、ぼくもそうだ。 しかし今、多くの人を苦しめている深刻な問題といえば円安や物価高であり、これが経済と不可分な関係なのは既述の通り。実はそれほど日常生活に密接したものなのに、経済という言葉が出てきた途端、興味が失せてしまうのはなぜなのか。 自分でいろいろと読んだり調べてみてわかった。 いや、もちろん経済がわかったという意味でなく、どうして興味が失せるのかがわかった気がする。

          知識は荷物になりません 貴方を守る懐刀

          「理由」という余談

          こいつ、なんで経済の話なんて書いてるんだ。 それも昔のアベノミクス、さらに大昔のレーガノミクスまで持ち出して。 という向きもあると思うので、今日はその理由を述べておきたい。 ぼく自身が興味を持ち、おもしろいと感じていることもあるけれど、それ以上に思っていることがある。 こういった経済の話には特段興味のない人も含め、現在多くの人たちがとても気にかけ話題にしているのは、円安、それに伴うインフレといった、まさに経済の話だったりする。物価高は商売や日常生活に直撃するので、これも当

          魔物

          さて、レーガノミクスの話の続きである。 なので、 経済とか、興味ねぇわ という人は、ぼくの駄文で貴重な時間を奪うのも心苦しいので、別の方のnoteへ移動していただくことをオススメする。 結果的にレーガノミクスは成功と失敗の両面があったようだけれど、双子の赤字が解消せず大きく増加してしまったのは、明らかな失敗だった。 だからレーガノミクスを真似たアベノミクスはダメだ、という声もあるけれど、これは少し短絡的な気がする。 そもそもアベノミクスは、経済政策の呼称を模しただけで

          Buy my Abenomics ! 

          10年ほど前、安倍元首相はニューヨーク証券取引所で投資家を前に演説をし、こう言われた。 Buy my Abenomics !  アベノミクスは買いだ これは、「私の経済政策は買いだ」と海外投資家に日本への投資を呼びかけるものだった。 このアベノミクスという言葉自体は、1980年代に米国レーガン大統領による経済政策「レーガノミクス」を摸したものになる。 現在の日本にも通ずる話だと思うので、このレーガノミクスについて少し調べたことを述べておきたい。 レーガン大統領がこの

          リスクシナリオを考えてみた

          食べもの屋さんをされている人たちにとって、いま問屋さんから一番持ってきてほしくないものは、「価格改定のお知らせ」というペライチの紙だと思う。 昔から何かといえば「エルニーニョ現象が」とか「干ばつが」と理由はいろいろだけれど、営業の方が申し訳なさそうな表情でこれを持ってこられた。 ぼくが店をやっていた頃も「またかよ」と何度も思ったけれど、現在はもっと多いに違いない。そして、価格が上がることはあっても下がるお知らせは、ほぼない。 次は秋ごろかな、お店の人たちにとっては今から戦々

          リスクシナリオを考えてみた

          信じるか信じないかは、あなた次第です

          年初から新NISAがスタートし、投資をしていなかった多くの人たちも始められ界隈は大盛況の様相を呈している。 新NISAは、これまでのものより非課税期間を無期限にし非課税上限額も拡大したりと、ぜひやってください、やらないと損ですよ。と言わんばかりだ。 税金でも保険料でも取れるところから取れ、というのがこの国の方針だと思うと、そんな政府がこれだけ大盤振る舞いするのは、あれこれ思惑があってのことだろうと邪推したくもなる。 1つには、少し前まで騒ぎになっていた「老後2000万円問題

          信じるか信じないかは、あなた次第です

          斜陽

          最近はコロナ禍からも完全に明け、それ以前の生活へとすっかり戻った感がある。 お店をされている何人かの人たちとも久しぶりにお会いする機会があり、ついありきたりな言葉が口をついてでる。 最近どうですか? われながら、何か他に言うことないのかよ、とツッコミを入れたくなる常套句ではあるけれど、そこが気になっているのも本心である。 最近は、また外国人のお客さんが増えましたねぇ あぁ、確かに ぼくの訊いた相手が、京都と東京の人ということもある。けれど、東京から京都へ戻ったときな

          やっぱりAmazonだなぁ

          所用で出かけたついでに大型書店へ。 車で行って駐車場代まで使って、見つけたのはメモ帳に入れていたタイトル10冊中7冊。 それも一番目当てだった小説は見つからず。 つのる徒労感。 紙かデジタルかはさておき、そりゃ、Amazonで買うようになるわな、と。

          ゴールドラッシュ

          経営をしている人などが教訓として、18世紀に起きたゴールドラッシュの話をされることがあると思う。 金儲けを目当てに多くの人がカリフォルニアに集まり金を掘るけれど、本当に大儲けをしたのは鉱員でなく採掘に使用するツルハシなど道具を売った人、丈夫な作業着としてジーンズを売ったリーバイス、そして鉄道を建設した人だった、というお話。 Uber Eatsが流行り始めたとき、まさにこれだな、と思った。 配達員が金を掘る鉱員で、プラットホームであるUber Eats本体がツルハシやバケツ

          すべてがNになる

          ぼくらが普段、実物の半導体を目にすることはほぼないと思うけれど、昨今ニュースなどで「半導体」という活字や言葉を見聞きしない日がないほど世界中の話題になっている。 PCやスマホ、テレビ、ゲーム機、デジカメ、車はもちろんのこと、身近にある家電や電子機器のほとんどに半導体が使われているため、日常生活に必要不可欠なものになった。 2、3年前、車を買いたい人が買えない、新車が手に入らない、買えても納車がずっと先になる。そのため中古車価格が上昇する、といった状況になったことは記憶に新し

          「ネットは広大だわ」

          生成AIのすごさは、なんとなくわかった。 その際にぼくが抱いた疑問を要約すると、つまるところこうなる。 で、何ができるの? 以前にも似たようなことがあった気がするなぁ、と思いを巡らせていて、はたと気づいた。 まだメールもなく、AmazonやGoogleも日本へ上陸していなければ、SNSという言葉すら存在していなかったインターネット黎明期のこと(もちろんTwitterやFacebookも存在していない)。 世界とつながる なんでもできる とにかくすごい と、見聞きし

          「ネットは広大だわ」

          十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない

          人工知能(AI)のブームに始まり生成AIの時代へと前進したことで、これはブームで終わらず新しい産業革命になると確信する。 少し前、いろんなメディアで取り上げられ話題となった「Sora」はテキストから動画を生成するAIで、その本物と見まごうクオリティの映像は多くの人が衝撃を受けたに違いない。もちろん、ぼくもその1人である。 十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。 先日観たドキュメンタリー映画でも引用されていたこの言葉は、イギリスのSF作家 アーサー・C・クラー

          十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない