西山 逸成(Itsunari Nishiyama)
「お知り合いで〇〇をやりたい人はおられませんか」 「どなたか〇〇をやってくれる人、いませんかね」 「〇〇をできる人、誰か、いませんかね」 もちろん、〇〇に入るのは闇バイトではない。 料理やパン、ケーキやコーヒーなどが入る。 今でもこういった連絡はちょくちょくあり、つい先日もいただいた。 丁度、そんな話題を書いているタイミングなので、これについても述べておきたいと思う。 こういった連絡をいただくのは、ぼくが長年食べもの業界にいたからだけれどこのご時世、きっと他の業界も
今、ぼくが取り上げている話(インフレや社会保険料、賃上げなど)は、自分が長年食べもの屋さんを経営してきた経験則を元に述べている。 この話題もそろそろ終盤の予定だけれど、その前に今日は、過去に綴ったものを中心にそこから抜粋し再掲載させていただく。 以下のものは、いずれも店のウェブサイトに掲載していたものなので、かれこれ10年近く昔に書いたものになる。それでも当時から懸念していたことや推測していたシナリオは、現在その方向へと進んでいるものが多いと思う。 また、この後に述べるつ
先日、厚生労働省が直近9月の「毎月勤労統計調査」を公表した(速報値)。 物価の変動を反映する実質賃金指数が「従業員30人以上の事業所」で0.6%増の2カ月ぶりのプラスになった一方、「従業員5人以上の事業所」では0.1%減の2カ月連続のマイナスとなっている。 ここからも零細企業(小規模企業)の賃上げに対する難しさが垣間見れる気がする。 最近、よく見聞きするこの ”実質賃金” は、名目賃金から物価変動の影響を差し引いた指数になる。 実質賃金 = 名目賃金 ÷ 物価指数 ×
社会保険加入義務の企業規模要件が拡大された(される)ことで、負担の増える小規模事業者は相当頭が痛いと思う。 ご存じない方もおられるかもしれないので一応述べておくと、「106万円の壁」を超える社会保険加入による手取り減少を避ける対策として、「社会保険適用促進手当」という助成金がある。 これは、従業員が ”新たに社会保険に加入した場合” 事業主が従業員に支給できる手当で、支給額は本人が負担する保険料相当額になる。 対象者は標準報酬月額が10.4万円以下の人で、最大2年間(既に
106万円と130万円は「社会保険料の壁」なので、現在の社会保険の企業規模要件から確認してみる(年収150万円以上にも配偶者特別控除に関する ”壁” があるけれど、今回こちらは割愛)。 51人以上の企業に勤めるパートさんの年収が約106万円(月額88000円)になると、社会保険に加入する義務が発生する。すると社会保険料の負担が年間約15.7万円だから手取りは約90万円に減ることになる。 また年収が130万円以上になると、企業の規模に関係なく社会保険加入の義務が発生する。この
何かと話題の「103万円の壁」だけれど、お店などをされている人なら昔からパート・アルバイトさんの確保に苦心された経験はあると思う。 ねぇ、50歳無職|職業訓練でWEBマーケティングを学ぶさん。 昔からある問題なのに今更これほど話題になるのは、これが現在急激に進む賃上げと不可分の関係にあるからに違いない。 時給1000円より1500円の方が「103万円の壁」にかかる時間が早くなるのは当然なのだから、ただでさえ人材不足なのに賃上げは、さらにそれを加速させることになる。だから
石破首相もこう述べられているので、賃上げについて労働分配率から考えてみる。 ”労働分配率” と見聞きすると「また小難しい面倒そうな指標が出てきた」と感じる人もおられるかもしれないけれど、なんてことはない。 計算式は、これ。 労働分配率(%) = 人件費 ÷ 付加価値 × 100 なぜか ”付加価値” なんて抽象的な言葉が使われるからわかりにくい印象を受けるけれど、これもなんてことはない ”粗利” のこと(付加価値 = 粗利)。 つまり、労働分配率は企業(事業所やお店)
ぼくは長年、食べもの屋さんに携わり経営もしてきた。だから今回の話も念頭に置いているのは食べもの屋さんになる(それしか知らないから)。 とはいっても、他の業種と多少の違いはあれど ”経営括り” の話なので、よほど規模に差でもなければ基本的なルールは同じだと思う。 お店など事業を始め、軌道に乗り、ちゃんと経営を続けていればそれなりの利益が出るようになる。そこで法人化している人であれば、大抵は役員報酬を使って節税をされることになる。 通常、役員報酬はサラリー(お給料)の感覚からす
節税対策で法人税を逃れようと考えると、利益を圧縮する必要がある。 どうするのかといえば、まず「経費、経費」「領収書ちょうだい」といってお金を使う。設備投資をしたり車や道具を買ったり、たいして必要なさそうなものまで購入したりする。 みんながそうだとは思わないけれど、意図的に赤字にする会社にはこういった カラクリがある。 もちろん本当に必要なものであれば購入すべきだし、その多くは経費として認められると思う。 けれど、消耗品レベルの小物をいくら買ったところで節税と呼ぶほどにも
先日述べた、この箇所が引っかかった人もおられるんじゃないかな。 特に最後の一行、「それが可能な事業所が、実は結構あるのではないかとぼくは思っている」の部分。 「いや、いや、無理でしょ」と思う人もいれば、「む・む・む」と思った人もおられるだろうし、中にはほくそ笑んだ人もおられたのではないかと想像する(「そこらへんの経営者」さんは、このタイプだと勝手に思っているけれど)。 ぼくがそう考える理由を順を追って述べていくけれど、これはあくまでも自分が経営をしていた経験則によるものな
10月3日、4日と2日間続けて『日本の最低賃金「十分ではない」審議会長、外国人材の獲得激化念頭』という内容の記事が日本経済新聞に出ていた。 この審議会が採っている基準は、平均賃金でなく ”賃金中央値” 。 労働者の中で真ん中に位置する人の賃金に対し、最低賃金の比率はどうなのか。 世の中には、めちゃくちゃ稼いでいる人もおられるので平均賃金ではおかしなことになる。だからこれには納得。 この中央値がフランスと韓国で60%台、英国やドイツでも50%台なのに日本は46%しかない。そ
コストコやTSMCのまわりでは「そんな高い時給は出せない」と嘆く人たちがいる一方で、TSMC周辺のコンビニでは売上が5倍になったなんて話もある。 すっかり北海道ニセコ状態だな でもこれなら工場と同等とまでは言わないけれど賃金も上げられるだろうし、やはり卵が先か鶏が先か、ってことなんだろう。 それにしても特にTSMCの経済効果、その波及は凄まじい。新たに駅や高速道路もつくるそうで、これだと当然人口も増え、地価も爆上がりする。 工場のある熊本県菊陽町は地価の上昇率が全国で2
いきなりだけど、次の画像は厚生労働省が出している令和4年度〜6年度の地域別最低賃金改定状況。直近3年間の全国の最低賃金になる。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html 今年の改定前、すでに最低賃金が1000円を超えていたのは、東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、大阪、京都、兵庫。 ここに10月から北海道、茨城、栃木、岐
ドゥドゥーン ということで、また Netflix作品 「機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム」 なんと、「機動戦士ガンダム」を完全新作シリーズとして世界独占配信。 それも3Dアニメーション なんだか嫌な予感がする・・・ それもそれも監督、脚本とも外国人 もう嫌な予感しかしてこない・・・ これは外国人監督に限った話じゃないけれど、これまで日本の名作漫画やアニメが実写化によってどれほど台無しにされ、失望のどん底へと突き落とされてきたことか。少なからずそんなトラウマ
円安は国内のインフレ要因で、その円安を押し上げる要因の一つには外貨との金利差がある。だから金利差が注視されるけれど、円安は日本円そのものの購買力が落ちているということでもある。 日本で暮らしているから気づきにくいし気づくまでに時差があるけれど、「海外ではラーメン1杯が3000円」と聞くと「うわっ、マジか。高ぇ〜!」と思ってしまうのは、ラーメンが高いのではなく日本円が安いから(日本円の購買力が低いから)。 そんな日本は資源がほぼないので、エネルギーや食糧などほとんどのものを
閑話休題。 現在の物価高騰は、ロシア・ウクライナ戦争、中東情勢といった地政学リスクや円安によるコストプッシュ型のインフレとされている。 石油をはじめエネルギー資源、食糧などほとんどのものを輸入に頼るしかない日本にとって、国際的な原材料価格の上昇や円安による輸入物価の上昇が国内のインフレを押し上げているのは間違いない。 本来であれば、景気が良くなることで企業が儲かり → 株価と賃金が上昇 → 需要の増加 → 物価上昇 → 金利上昇というサイクルが理想で、日銀もこういった形で