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#小説

流星の速度について考察

流星の速度について考察

流れ星を見た
都会のど真ん中です
その日はなんだか少しだけ空が広く見えてて
いつもより静かな夜でした

緑色の太い光が空を切り裂いて
僕の胸に飛び込んだ
その時なぜか涙があふれて
割と少し止まらなくなった
生きている、と

一瞬の時の流れに存在した価値も
先に帰っちゃった友達も
悲しいことを言うよ
僕たちは大人になっていっている

みんな、別々各々の正義に向かって、
交わった糸は綺麗に解けていく

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煙

肺一杯に吸い込む煙と生活によく似た物語
精一杯に生きれば生きるほど
なんだか笑えてくるような

一つ悲しみを覚えてから
やめられなくなった思考から抜け出せない
どうにかしたいと思い尽くして
ひとつ各駅停車を見送って想う

あと何回ぐらいつまらないと気づいたら
諦めきれるんだよ

何か悪いことをしたくなったり
誰かを愛してみたくなったり
醜い気持ちを美しいものに塗り替えては
それに背負ってもらうなん

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トマト缶が教えてくれること

トマト缶が教えてくれること

朝起きて顔を洗う
冷たさに目が覚める

ゴミ出して郵便
ハガキが一通と冬の匂い

トマト缶とひき肉を使って
カレーを作る

半分余ったトマト缶を見て
鼻の奥が痛くなる

同じような毎日に見えて
本当は違うと思い込む

どうにかして昨日を書き換えたいと思い続けて
ただひたすらに擦り減らし続けても
いつかなんてこないし
ただただこの世を恨むことしかできなくて
そんなことを人と呼んで
そんな言葉を詩と呼

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大事なことはいつも

大事なことはいつも

どうしても何とかならないことがあるし
どうしてもうまくいかないことがあるし
どうしてといつも思ってることがあるし
どうにかしてといつも願っているけれど
どうにかしようとしたことは一度もない

それが空とか海とか心とかって喩えられて
コーヒー飲む時にいつも思い出すんだけど
苦いか熱いかで言ったら苦しいが正解で、
好きか嫌いかで言ったら
嫌いになれないが正解

そういう毎日に振り回されるのは
僕が人だ

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