見出し画像

ファジアーノ岡山が指定管理者になった件を深堀して考えてみる

2020年12月22日にファジアーノ岡山からこんなリリースがあった

岡山市社会体育施設(25施設) 指定管理者 受託のお知らせ

お?なんだこれは?
そう思った人は多いだろう

リリースの内容を簡単に説明すると「岡山市の持っているスポーツ施設を代理で管理することになったよ」というもの
なにやら面白そうな内容だ
その内容について詳しく見てみると共に今後のクラブの方向性について考えてみた

指定管理者とは?

そもそもリリースにある指定管理者とはなんなのかを知っておく必要がある

指定管理者制度とは、地方公共団体やその外郭団体が行っていた公の施設の管理・運営を、株式会社をはじめとした営利企業・財団法人・NPO法人・市民グループなど法人その他の団体に包括的に代行させることができる制度である(詳しくは地方自治法 第244条の2第3項から第11項に記載)

つまり今回の場合は、岡山市が管理・運営していた社会体育施設(スポーツ施設)をファジアーノ岡山が管理・運営していきます
ということだ

Jリーグクラブでは自分たちのホームスタジアムの指定管理者になることは多く見られる
そのメリットととして、自分たちが管理することにより、優先的に施設の使用を行ったり細かい指定を行いやすくする(芝の調整や備品の管理など)ことが出来る
今回のファジアーノ岡山のような事例は珍しい

ファジアーノ岡山は現在練習場として使用している政田サッカー場の指定管理者となっている(令和3年3月31日まで)
これは非公募による選定だった

詳細

ここからはリリースの詳細について見ていく
今回指定管理者として指定された施設は下記の25施設

ファジアーノ岡山指定管理者施設一覧-20201225-2240

25施設を見てみると様々な競技施設が含まれていることが分かる
これらは令和3年4月1日から令和8年3月31日まで指定管理となっている
そして今回の公募では競合がおらず、ファジアーノ岡山のみの応募だったようだ


前述の通りファジアーノ岡山が指定管理者となるのは令和3年4月1日から令和8年3月31日の5年間
では今現在、令和3年3月31日までの指定管理者は誰なのか?
調べてみると両備ホールディングスが指定管理者となっているようだ


こちらも期間は5年間で平成28年4月1日からで、簡単に調べられるだけでもその前の5年間も指定管理者となっていた
これだけ長期間指定管理者となっていたにも関わらず今回両備ホールディングスが公募に参加していない理由は気になるがそれは分からなかった

現在施設の利用をする手順は
①空き状況の確認
(各窓口での来場・電話、岡山市施設予約システム)
②予約の申し込み
各受付窓口での利用申請書の記載
③利用料金の支払い
各利用窓口での事前支払い

このような流れ

受付窓口は6箇所を覗いて両備ホールディングス株式会社会社 まちづくりカンパニーの大供販売センターとなっている(岡山市北区大供2-8-18)
今後はこの形が変わってくるのかが注目するところ
ファジアーノ岡山の事務所は現在政田サッカー場のクラブハウス内に位置している
もし既存の形での運用となれば、受付窓口が岡山市中心部から離れているというデメリットが生まれる
もしかしたら形ごと変える、新たに岡山市中心部に拠点を設けるということも考えられるだろう

なぜ指定管理者となったのか?

ここまで指定管理者についてとその詳細について見てきたが、ではなぜ指定管理者になったのだろうか?
答えは公式リリースに書いている通りだ

画像1

『あなたの町に、緑の芝生におおわれた広場やスポーツ施設をつくること。』
『サッカーに限らず、あなたがやりたい競技を楽しめるスポーツクラブをつくること。』
『「観る」「する」「参加する」。スポーツを通して世代を超えた触れ合いの輪を広げること。』
Jリーグ百年構想ではサッカーだけでなく、スポーツ全体を念頭に書かれている
極論を言えばサッカーである必要は無いのだ

今回指定管理者となった施設を見てみると、
テニスコート、プール、弓道場、武道場、野球場、相撲場、カヌー艇庫、体育館、競技場(陸上)などがある
サッカー場は僅かに1施設のみ

元々ファジアーノ岡山は総合型スポーツクラブを目指している
しかし、現在はスクールでチアダンスを行っているだけで総合型スポーツクラブとは言い難いのが現状だ

今回の指定管理者への指定ははこの総合型スポーツクラブへの大きな足がかりとなるだろう

他競技団体との共存

現在岡山県には多くのスポーツ団体が存在する
中でも競技の枠を超えて地域貢献やスポーツ振興、普及の効果を高めることなどを目的に設立日された“おかやまトップスポーツ協議会(NeXTおかやま)”に参加する下記団体は活躍が期待されている
・岡山シーガルズ(女子バレーボール)
・岡山リベッツ(男子卓球)
・GROP SINCERITE WORLD-AC(パラスポーツ)
・シティライト岡山硬式野球部
・(一般社団法人)全日本フリースタイルBMX連盟
・天満屋女子陸上競技部
・トライフープ岡山(男子バスケットボール)
・平林金属ソフトボール部
・ファジアーノ岡山(男子サッカー)


ファジアーノ岡山は総合型スポーツクラブを目指しているものの、今現在活躍している団体があるスポーツに関しては参入する必要性はあまり感じられない
長らくプロスポーツ不毛の地と言われてきた岡山でわざわざ競合他者として参加するのはかえってそのスポーツの発展を邪魔する可能性がある
しかし、それはトップチームの場合だ
スポーツというのは限られた一部の人間がやるものでは無い
老若男女問わず、誰もが楽しむことが出来る
その土壌を整備していくことはむしろ他団体にとっても好都合である

今回25施設の指定管理者となったことはこうした老若男女がスポーツを楽しむ土壌整備の大きな一歩となるはずだ
そしてその先にはJリーグ百年構想にある、
『あなたの町に、緑の芝生におおわれた広場やスポーツ施設をつくること。』
『サッカーに限らず、あなたがやりたい競技を楽しめるスポーツクラブをつくること。』
『「観る」「する」「参加する」。スポーツを通して世代を超えた触れ合いの輪を広げること。』
こうした未来が待っているだろう

これまでJリーグクラブで見られた総合型スポーツクラブは複数競技のトップチームを所有する例が多かった
バスケ・野球・モータースポーツ・陸上などを持つアルビレックス新潟
フットサル・トライアスロン・ビーチバレー・7人制ラグビー・サイクルロードなどを持つ湘南ベルマーレ
そして最近何かと話題な東京ヴェルディなどが有名なだろう
これらのクラブは運営形式は違えどトップチームを多く持っている
最近ではこのような形態のクラブは増えてきてはいるが決して多いとは言い難い
特に親会社などを持たない所謂“市民クラブ”ではほぼ見かけない
しかし、こうした形態の総合型スポーツクラブが必ずしも正解とは思わない
岡山のように多くの団体が連携・共存している地域ではその状態を維持していく方が有益では無いだろうか?
多くの団体が地域を盛り上げていく
岡山という名のもとに多くのスポーツ団体が集まり連携していくことで岡山を盛り上げていく
形は違えどこれも総合型スポーツクラブと同じような役割を果たすのではないかと考えられる

ファジアーノ岡山には従来の総合型スポーツクラブとは一線を画す、他団体と連携して創りあげるスポーツクラブを目指して欲しい

まとめ

今後ファジアーノ岡山は総合型スポーツクラブへと舵を大きく取っていくだろう
今回の指定管理者への参入はその足がかりと考えられる
それをサポーターがどう捉えるかが今後重要になってくるように思う

サポーターがクラブ理念とJリーグ百年構想について改めて考えておかないと、クラブとサポーターの間で方向性が合わなくなる可能性もある
今回の発表を機に改めて改めてファジアーノ岡山の在り方を考えると共に、ピッチ外・サッカー外でのファジアーノ岡山に目を向けてみてはどうだろうか?



この記事が参加している募集

スキしてみて

もしよければサポートをお願いします