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Photo by
noranekopochi
虚蝉
お腹を空かせた盗っ人が
パイを盗んだとして
ある日 忽然と
君が消えたとして
藍色の燕が
僕の一部を持ち去ったとして
それは
在るべき
うつせみ
眠る迄、おとぎ話をしよう
幼い兄弟が
親切な老婆を窯で焼いたとして
君が残した
造花が枯れたとして
約束を破った僕が
たったひとり取り残されたとして
それは
在るべき
うつせみ
物語は時間をかけてゆっくりと
街から街へ
人から人へ
いつか君の元へも届くだろう
この世界が眠りにつく迄
ただ、おとぎ話を
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