身近で獲れる高級魚
ノドグロが食べられない僕たちへ
ノドグロ、というと超高級魚の代名詞のような魚で、「白身のトロ」「白身の王様」などと形容されるほどに脂ののりがよく、非常に人気の魚です。
ビシッとした白衣を着た板前さんと、はんなりとした女将さんがいるような料亭のコースで、7品目ぐらいのメイン焼き物として出てくるようなイメージで、なんとなく敬語で話しかけないといけないような威厳漂うお魚様です。
そんな選ばれし魚を食せるのは、やはり選ばれし人格者。唸るほど銭がありつつも、そのことを鼻にかけず、穏やかに微笑み、地域に貢献し、匿名で寄付をし、休日は書斎で歴史書物を読み耽るような人格者だけなのであって、道に落ちている100円玉を見つけるやいなや、背中を丸めてチャっと飛びつき卑屈に周辺を伺い、手持ちの40円と合わせて自販機でデカビタCを買ってゲップしながら「ラッキー」と思ってるような私のような底辺層アングラーは一生食べることができません。
・・・と、でもここだけの話、実は世の中には人格者よりも、拾った金でデカビタCを買う人間のほうが圧倒的に多く、一説によるとノドグロ人格者1人に対し、デカビタC人間が500人ぐらいの割合でいるとの噂もあります。
なので、大多数のデカビタC人間が、ノドグロを食べられないことで「やってらんねー」とヤケクソになり、海にポイ捨てをする、そこらで立ち小便をするなどの軽犯罪を重ねまくり、なんとなく世の中が殺伐とした腐った感じになるのを防ぐために、神仏は救済処置としてある魚を遣わしました。
それが「クロムツ」です。
ノドグロ(アカムツ)とクロムツの違い
「ノドグロ」の正式名称は「アカムツ」。そしてそのアカムツの近縁種の「クロムツ」が、陸っぱりからルアーで釣れて、しかもその食味はノドグロにも劣らぬというから、これは釣らない手はありません。
ノドグロ(アカムツ)とクロムツは近縁種ですが、僕には体が赤いか黒褐色かの違いにしか見えません。でも、正確には「科」が違う魚のようです。
ノドグロ(アカムツ)は日本海側、クロムツは太平洋側に生息するみたいです。三重県でクロムツが釣れるのは、太平洋に面した伊勢湾だからなのですね。
ムツという名前は「脂っこい」という意味の「むつっこい」「むつこい」「むっちり」に由来するそうです。ちなみに、クロムツの産卵前の卵(3月~5月頃)は「ムツコ」と呼ばれ、煮つけにするとたいそう美味だそう
ということで、7月に入ってから時間を見つけてはクロムツ釣りにいそしんでいる次第です。
ルアーで釣れるクロムツの幼魚
クロムツは、成魚になると水深300mほどの深海をエリアとする魚ですが、幼魚のうちは水深10m前後の沿岸にいて、ルアーにも貪欲に食いついてきます。
三重県のとある堤防からでも、アジサイズのクロムツが7月~8月にかけてよく釣れます。
成魚は深いところに棲むだけあり、釣れるのは朝4時~6時頃までの暗い時間帯。面白いもので、明るくなってカマスがかかりだすとぱったり釣れなくなります。海の中でも食事の順番が決まっているようです。
海の底にルアーが着いた時点でググン!と明確なアタリがあり、その引きはかなり強烈!竿をグイグイと曲げて引き込んできます。
釣り上げたばかりのクロムツはブロンズ色のとても美しい体色ですが、ウロコがはがれやすく、身も柔らくて水圧の変化にも弱いようで、クーラーに入れておくと氷の重さなどで割とすぐに残念な姿になります。
クロムツを釣ったそばから食す!
僕が7月~8月に釣るクロムツは、3月~5月に生まれた稚魚が育った幼魚だと思います。
そんな子どものクロムツを、ごめんなさい、食べます。なぜなら美味しいから。釣りの日は食費を浮かすためにも釣った魚と米だけを食すというルールに則って、釣ったそばからいただきます。
前回アカハタでやった炊き込みごはんにもしてみましたが、これは失敗。
まず見た目がなんだかマズそうです。。。(食べると美味しいんだけど)。
わざわざ炊き込む必要を感じませんでした。クロムツは焼くか煮つけにするか、天ぷらあたりにしたほうが断然美味しくいただけます。
炊き込みご飯は、色合い的にも真鯛やアカハタなど赤い魚でやるべきと、47歳にして新しく学びました。
一夜干しにして家で食す
家に持ち帰ったクロムツは、一夜干しにしてみました。
塩分10%の水(海水と一緒ぐらい、なめてちょっとしょっぱいと感じる程度)に30分~1時間程つけて、網をしいたバットの上に並べ、ラップはかけずに冷蔵庫へ。ひと晩置けば冷蔵庫で乾燥して、一夜干しの完成です。このまま焼いても、冷凍保存してもOK。お手軽です。
クロムツの幼魚は7月~9月にかけて、ポイントや時間によっては堤防から簡単に釣れます。かしこまったノドグロよりも、僕は断然ワシワシ食べられるクロムツ派です。
釣りポイント探しの途中で出会う景色たち
狙う魚が釣れるポイントを探して、地形図を見て回るうち、三重県の知らなかった素敵な景色に出会うことも多く、これも釣りの楽しみのひとつ。
手軽に釣れて、食べて美味しい魚を求めて、小魚釣りの日々は続きます。
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