伊藤三九|かんさつ日記。

脚本家。エッセイスト。

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最近の記事

ぶるぶるすこぶる荒ぶる魂

先日、夢を見た。 知らない爺さんが2人(以下、爺A、爺B)、それぞれのベッドで寝ていた。 爺Aの見舞いだろうか。見知らぬ少年が爺Aのベッドのリクライニングボタンを操作している。 少年がボタンを押しているにも関わらず、爺Aは「足りない!もっと!もっと!」と言っている。 それに応えようと少年はボタンを連打する。 しかし、爺Aは満足せず、要求はどんどんエスカレートしてゆく。 ふと、爺Bに目をやると、爺Bのベッドがぶるんぶるん乱高下している。上へ下への激しいリクライニング。

    • 「知らんがな」について

      知らんがな、と口ずさんでみる。 最近出会ったこの言葉。便利だ。 便利な一方、破壊力もある。 「石ころの中身はなんですか?」 「知らんがな」 そうだろう。 「ご出身はどちらですか?」 「知らんがな」 果たしてそうだろうか。そうなら、この随筆を読んでいる場合ではない。 突き放すような、それでいて完全に遠ざける訳でもない。絶妙な距離感。 あらゆる響きを含んでいる。 文法的には、 願望を表す終助詞としての「が」。 〜だなという詠嘆を表す終助詞「な」。 文法などはどうでも良

      • 虎穴に入らずんば虎子を得ず

        私事で恐縮ではあるが、1年前、大切な便が流れて行ってしまったことがある。その結果、便潜血検査に引っかかり大腸検査をする羽目になった。 食事中でない方は、このまま続きを読んで頂きたい。 食事中の方は、気をつけながら続きを読んで頂きたい。  その日、便潜血検査の為、私は病院のトイレに座っていた。前日までに必要な2セットのうち、1セットが足りず、健診当日に病院で採取しようとしていた。   (※便潜血検査では、検査用の棒を用いて便の表面を拭き取り提出する必要がある。) 受付時間

        • 働かぬ友人は17世紀のパスカルを超えてゆく。

          私の友人に働いていない者がいる。世間的にはニート等と呼ばれる類だ。 然れども、私の目からすれば彼には好感が持てる。 社会的な規範から外れ、世間体を気にする常識人であれば、就職活動を始めるだろう。 しかし、彼は一向に就職しようとしない。 常に己の価値観に従うその姿勢に関しては、好感が持てる。 そんな彼に、ある時働かない理由を聞いたことがある。 その際、彼は「意外と暇じゃない」と答えた。 意外と暇ではない。 パスカルの思想を実生活に落とし込んだような一言ではあるまいか。

        ぶるぶるすこぶる荒ぶる魂