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仏壇は収納棚である

海外旅行にでる楽しみのひとつに街の観察があります。旅に出るときはあまり予定を詰め込まずに、ひとつの街に数日間滞在してスーパーにいったり、裏路地の雑貨屋に入ってみたり、という自分がその街に住んでいるかのような時間を過ごすことが好きです。

もちろん生活習慣の違いや考え方の違いに直面しビックリすることもあります。いちどアメリカのアンティークショップでアジア系を中心にセレクトされている店で、仏壇が収納棚になっていて、扉をあけたらなかに見本として調味料が詰まっていました。たしかにモノを収納する道具としては間違ってないんだけど、妙な罰当たり感があって、なんだか不思議な気分になったものです。

この本はデザインシンキングで知られるアメリカのIDEO社でディレクターをつとめる著者が、街のあちこちの不思議な光景をスナップショットしたものを集めた一冊です。ただその写真は美しいデザインではなく、「建物のでっぱりを椅子にする」「新車だとちょっと離れたところに車を停める」「電話の声が聞こえづらくて指を耳にいれる」などのデザインの種といえるような、小さな日々の光景ばかり。それをみて何かに気がついた人はデザインの種を手に入れられる、っていうことの練習帳のような内容です。

この本でデザイン思考の目が開いてから街に出るとちょっとした違和感みたいなものを探す観察が楽しくなりますよ。

そういえばこの「考えなしの行動」というタイトルで思い出しましたが、イングリッシュスクールに通っていた頃、とある先生は授業しながら珈琲に砂糖とミルクをいれそのまま何事もなかったようにペンをマドラーにして珈琲をまぜ、ゴクりとの喉を潤し自分の話を続けていました。彼女にはきっと考えなしの行動だったのでしょうが。

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考えなしの行動?(2009年、太田出版、ジェーン・フルトン・スーリ、森博嗣)


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