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アルデンテでバリカタ

アメリカ留学してた頃、パスタはわりと日常にあるメニューでしたが茹で加減の塩梅についてはどうにも理解できないことばかり。なにしろ麺が柔らかく、フニャフニャというよりもフワフワ。たしかに向こうではパスタの横にはフォーク、スプーン、ナイフ?があってお皿が届いたらまず麺を刻んでソースにまぜて食べる人をよく見かけました。そういえば袋ラーメンもまずは袋を叩いてバラバラにし、それから食べてますもんね。パッケージにもスープヌードルって書いてるからそれが正解なんでしょうけど。

漫画家で文筆家でもあるヤマザキマリさんが長くくらしたイタリアを中心に世界の食を比較したこちらのエッセイ。貧乏時代にほぼ麺だけのパスタを食べてたからペペロンチーノの価値がわからない、って話など好き嫌いを軸に各国の食の話がフルコースで出てきます。世界のあちこちで生活されているだけあって、コロナで旅にいけない今読むと気分だけは海外旅行を味わえます。

そういえばミラノにいってパスタ食べた時も、乾麺ベースのパスタでもどちらかといえばアルデンテというより、モチッとした仕上がりでした。日本のアルデンテ信仰は僕も大好きな伊丹十三さんの名作エッセイからはじまったという説もありますが・・実はあそこまで「パスタ=アルデンテ=美味しい」という図式は日本固有の文化なのかもしれません。

ちなみに、僕が住む福岡ではラーメンの麺は固めを好む人が結構いますが、長浜ラーメンだとバリカタの上のハリガネ、その上の粉おとしというほぼ生麺みたいなスタイルもあります。でも注文する人は地元民よりも、観光客。ある種突出した食べ方はどこかで「自分はちょっと通なんだよね」という人間の自尊心をくすぐるのかもしれません。

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ちなみに僕は自分でパスタをつくる時は、最近は麺とスープを一緒のフライパンで茹でながら麺にスープの旨みを吸わせていく手法が好きです。写真はある日の明太パスタにディルとアスパラをそえて。

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パスタぎらい(2019年・新潮社・ヤマザキマリ)



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