止揚しよう♪
タイトルからいきなりの「おやじギャグ」で申し訳ございませんが、止揚(しよう)の解説をここで少々しようかな♪(もういいですか?失礼いたしました)
止揚とは、西洋哲学の分野のことばで、事物の発展時において、「白か黒」というような一つの要素以外は”破棄”ではなく、双方保存し、より高い次元に引き上げ一新し、全体の中にうまく組み込んでいくこと。
ドイツの哲学者ヘーゲルが打ち出した弁証法の中で提唱した概念aufhebeenの訳。という意味なのですが、つまりは、AかBのどちらか選ぶんじゃなくて、どっちの要素も少しづつ組み込んだCって方法もあるよね♪ってことでしょうか。
私は哲学者ではありませんが、この「止揚しよう♪」って感覚が好きなのです。今回、なぜ!いきなり「止揚しよう♪」から始まったかと申しますと、マイホーム建設時における家族会議でも(こういう考え方は使えるかも)と、思ったからです。
よくありませんか?
「あぁしたい」「こぅしたい」の、両方を叶えようとすると、矛盾が生じてしまうことって……前回ご紹介させていただきました瀬戸内市民図書館の建設に向け行った「としょかん未来ミーティング」。子どもからご年配まで様々な方から、たくさんの夢や希望をお伺いしたとき、同じようなことがいろいろありました。
その中の一例をご紹介させていただきます。
小学生
「押入れとか土管(イメージは「ドラえもん」によくでてくる空き地にある土管)みたいな、ちょっと秘密基地っぽくって、隠れて本が読めるような場所が欲しい」
お母さん
「子どもの本を選びつつも自分の読みたい本とか探したいけど…でも、やっぱり子どもに目が行き届く方がいい」
ですよね~~
子どもは「時には親の目が届かないところに冒険したい」
親は「いつも子どもの様子を把握していたい」のです。どちらの思いもわかります。
押入れの中での読書って、なんて魅惑的なのでしょう。あれほど、どっぷりと本の世界に浸れるところはないと思うのは私だけでしょうか…私は小学生の頃、遠方に住んでいた祖母の家に泊まりに行ったときは、地元のいとこたちとなかなか馴染めず、こっそり2階にある一番奥にあった納戸のお客様布団がたくさん積んである押入れの中にこもり、本の世界に逃避していました。
私が私であるための大切な時間でした。ドラえもんの土管だって入りたかったクチです。でも、人の親になると、子どもがどこかにすっぽりはまりこんでどこにいるのかわからなくなる恐怖って味わいたくありません!!安心安全に越したことはない!
さて…
どうしましょう……
瀬戸内市民図書館の話に戻りますが、子ども意見と母意見、設計事務所の建築士さん(子育て中の女性)が、どちらの気持ちも組み込んでくださり、こんな素敵なアルコーブを設計してくれました。
アルコーブってもともと好きだったのですが、これには脱帽!これは前回ご紹介しました設計コンペで勝ち得た図面にはなかったものなのです。図面ができた段階でもいろんな意見をくみ取って止揚してくれたことに感謝しています。
ここは、子どもに大人気です♪自分だけの秘密基地気分も味わえますし、外部の観察もできる。でも座る位置によっては一人の世界に浸かりながら本の世界に飛び込んでいける。で、中の人が思うよりも、外から容易にチェックできる(ココ重要!)ので、ここなら安心。この近くに母親が手に取りたくなるような本を並べた棚があるのも、ニクイですね♪もみわ広場。ちなみに、子どもがあまり来ない時間帯には、大人もここにこもっていること多々見かけます。大人だって座りたいですよね~
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