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エッセイ | シワを伸ばす

気温が低くなってきたため秋冬に着ているシャツを出すことにした。前回着てから半年ほどがたっており、その間は引き出しの中で眠っていたのだが、キレイに仕舞っていたおかげですぐに着られた。

シャツは私個人の好き嫌いが激しく、あれは嫌だ、これは嫌いだ、色は白がいいなどと選別していった結果、着ることができるシャツはほんのわずかしかない。

そのわずかなシャツをさまざまなショップから探すのが面倒で、今ではずっと同じブランドのシャツを着ている。

引き出しから取り出したシャツが2着と、全く同じ新品のシャツが2着ある。


このシャツは洗濯するとシワが残ってしまうため、アイロンがけをしなければ着られない。かといって必ずアイロンがけをしているかと言われるとそうでもない。ちょっとそこまで出かけるくらいであれば、シワシワのシャツで出かけることもある。

ただ、出かける用事が連続してあったため「どうせなら2着まとめてアイロンがけしてしまおう」と思った。

シャツはハンガーに掛けたままでハンディスチームアイロンを使ってシワを伸ばしていく。しっかりとしたアイロンがあればもっとキレイにできるのだが、1人暮らしの部屋にそれを置くスペースはないために難しい。そのためハンディスチームアイロンで丁寧にシワを伸ばす。


アイロンがけをするのも半年ぶりくらいかと思いながら作業を進める。ハンガーに掛かったままのシャツに対してアイロンがけをするのは、なかなか難しい。シワを伸ばすために袖や裾を引っ張りながらアイロンをかけるのだが、そのせいで新しいシワができてしまうこともある。

何度も何度もアイロンをかけ直してシワをなくしていく。シャツを引っ張ったり、ボタンを避けたりしながらシワを伸ばす。

1着目のシャツをアイロンがけし終えたところで全体を眺める。やはりハンディスチームアイロンでは完全にシワを無くすことは難しいのか、若干シワが残っている。

「これって本当にアイロンがけができているのか?」と思い、まだアイロンをかけていないもう1着と見比べる。

比べてみると違いは歴然で、先ほどアイロンがけをしたシャツはピシッとキレイに見えた。


続けて残りの1着もアイロンがけをしていく。先ほどと同じように、同じことを注意しながら作業を進めるため、少し作業時間も短くなっていた。

アイロンがけの終わったシャツを並べて眺める。1着目が終わった時点で見比べた際に感じられたピシッと感は薄れているが、確実にシワは伸びてキレイになっている、はずだ。

少しの間シャツを眺めていた私は、アイロンを片付けるために違う場所へ行った。行った先でもやり残していた作業をしたり、手を洗ったりしているうちにシャツのことは頭から出ていった。

そろそろ出かける時間となった頃に準備を始め、持っていくものを頭の中で確認し「問題なし」とつぶやく。

着替える際に先ほどまでいた場所へ戻り、ハンガーに掛かった白を眺める。今日はこのシャツを着て出かける。シワがないとなんだかうれしい。



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