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エッセイ | 絵画の写真

久しぶりに美術館へ行ってきた。美術館に行くのは昨年以来だ。

以前に行ったのは『クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"』であり、21_21 DESIGN SIGHTにて開催されていた展示会だ。展示品自体は多くないが映像の展示もあったため、濃い展示内容になっていた。

主な作品はもちろん『包まれた凱旋門』なのだが、この作品が実行されるまでの過程について展示されている。どのように包めば凱旋門を傷つけずにすむかを考え、さまざまな人と協力し合いながら完成させる。

コロナ禍の厳しい状況であっても計画をやりとげ、公開日にシャルル・ド・ゴール広場に集まった人々が『包まれた凱旋門』を見上げ喜んでいる姿には感動した。


先日に行ってきたのは『テート美術館展 光 — ターナー、印象派から現代へ』だ。10月2日まで国立新美術館にて開催され、今後は大阪中之島美術館にて開催される。

私は近代美術があまり得意ではなく、どちらかといえば現代美術の方が好きだった。ただ、好きといっても詳しいわけではなく、見た時におもしろいと感じられるから好きなだけだった。

そもそも芸術自体が全然詳しくない。今回の展覧会で主役級の扱いを受けているターナーについても知らなかったのだ。

「最近、国立新美術館でやっている展覧会が話題だな」というだけで見に行った。


国立新美術館へ行ってみると、入場チケットを買うのも、会場に入場するのも、グッズを購入するのにも行列ができていた。ここまで混雑するとは予想していなかったために驚いてしまった。

こんなにも人がいる中で十分に展示物を見られるのだろうかと心配してしまったが、中に入れば意外にも順調に見て回れた。画像で見たことのある作品を生で見られるのはやっぱりうれしいものだ。

そして驚いたことに写真撮影可能な作品がたくさんあることだ。私は写真撮影が可能な展覧会にあまり行ったことがないため、周りの人が写真を撮る姿を見てびっくりしてしまった。

「その写真を今後どうするの?」と思ってしまった。


絵画は生で見られるのがいいのであって、写真に撮るのであればプロが撮影したものの方が良いではないかと思ってしまう。

額装を含めた絵画の写真を撮りたいのであれば何となく理由は分かる。今回の展示物でも素晴らしい額装が施された作品はいくつもあった。

それとも、ただ純粋に「テート美術館展に来ました!」という記録として撮影しているのだろうか。

そんなことを考えてモヤモヤしていた私だが、大好きなジェームズ・タレルの作品を見た時に「写真を撮りたい!」と思ってしまった。

なるほど、何となく分かったかもしれない。ファン精神でみんな写真を撮っていたのかもしれない。撮った写真を見返してはニヤニヤし、友達に見せては布教活動を行うのだ。さすが "オタクの国" 日本。

しかし、残念なことにタレルの作品は撮影禁止であったため、私は肩を落として展示室をあとにしたのだった。



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