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#19 初海外入国〜アメリカ・イリノイ州シカゴ滞在

人物、バンド名等説明
・ STAR STRANGLED BASTARDS
: 2000年前後に結成された、カリフォルニア州ロスアンゼルス近郊のサンクレメンテという街のHARD CORE PUNKバンド。鉄アレイのイギリスツアーで一緒だったという、今でも会えば仲の良い素晴らしい仲間。
・ マーク:PUNCH IN THE FACE、WOUND UPのドラムス。カナダのCAREER SUICIDEが初来日の時にヘルプドラマーとして来日経験あり。
・ ディープディッシュ・ピザ:シカゴ名物でクラスト(生地)が深皿で焼くために分厚いのが特徴。大量のチーズがとろけるパイに似たピザで、アメリカのピザの中でもかなり独特。

#19 初海外入国〜アメリカ・イリノイ州シカゴ滞在

 ここからのアメリカ体験は、当時、英語がほとんど話せなかった俺が個人的に感じた感覚と、俺なりに話した内容の解釈だ。英語が話せる人間は全く違った感じなのかもしれないが、俺が感じたアメリカを書いていくので、ご理解願いたい。

 ここまで海外ツアーができるようになった理由は、インターネットと電子メールの普及が大きいのではないかと思う。
 俺たちも経験したが、英語力が堪能だったとしても、金のないPUNKSが高額料金の発生する国際電話で交渉するなどとてもできるものではない。必然的に手紙による交渉が基本になり、時間も意思の疎通も限られた範囲になるため、どうしても大規模なツアーができなかったのではないだろうか。
 初の海外ツアーは、不安になるのが一般的であるとは思うが、そこはPUNKSとして気になる部分ではないので、やはり意思疎通と連絡の不便さ、金のなさが大きな原因だったと思う。
 金がないのは今も昔もたいして変わらないが、連絡手段の発達により、意思疎通が細部まで頻繁に行えることで、お互いの希望が理解しやすくなり、状況が変化した。
 事実このときのアメリカツアーでは、西海岸の南部、カリフォルニア周辺でのライブブッキングに苦労していた。するとそれを知ったCHAOS U.K.のGABBAが、友人である西海岸のロスアンジェルス近郊のバンドSTAR STRANGLED BASTARDSに連絡をしてくれて、西海岸でライブができるようになった。
 世界的に音楽やバンドの情報や状況などがインターネットで簡単に共有できる時代になったからこそ、俺たちのようなインディーズのバンドでも海外ツアーを行えるようになったのではないかと思う。
 このときのGABBAがいなければ、西海岸でライブはできなかったし、それまで築いて来た友人関係の大切さが身に沁みた出来事でもあった。
 しかし、それまでにアメリカに行った日本のバンドが、西海岸で多くのライブをやっているにもかかわらず、俺たちが西海岸のブッキングに困るというのも面白い話である。ケン・サンダーソンは、PAINTBOXの招聘で忙しく、俺たちまで手が回らなかったはずだ。そのためこのツアーは、今までの日本のバンドが築いたルートから外れた、かなりの独自ルートによるアメリカツアーになった。

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30年以上に渡るバンド活動とモヒカンの髪型も今年で35年目。音楽での表現以外に、日本や海外、様々な場所での演奏経験や、10代から社会をドロップアウトした視点の文章を雑誌やWEBで執筆中。興味があれば是非サポートを!