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【第五章 JAPANESE HARD COREを世界へ】

「#66 再びオーストラリアへ」

人物、バンド名等説明
・CRIPPLE BASTARDS
:1988年にイタリアのアスティで結成されたHARD CORE/グラインドバンド。ボーカルのジウリオはF.O.A.D RECORDS主宰。
・LOUDNESS:1981年に、アイドルグループだったレイジーのメンバーが中心となり結成された、日本を代表するヘヴィメタルバンド。
・SADIST:2013年頃、アメリカのボストンで結成されたHARD CORE PUNKバンド。
・転売問題:世界各国で、客のためを思い安価で提供されるHARD CORE PUNKバンドのグッズやチケット、作品などを転売目的のために購入し高値で売り捌き利益を得る人間が増えすぎている。寄付用のベネフィット作品や、追悼ライブなどでも構わずに高値をつける。当事者たちにとって邪魔で迷惑でしかない存在。

#66 再びオーストラリアへ

 イギリスから帰って来た9月21日の翌日には、「OBSCENE EXTREME」の窓口として尽力してくれた、ジウリオのCRIPPLE BASTARDSが来日した一緒のライブがあり、他にも週末には広島と津山へ行くツアーなど、イギリスのライブでの失態に悩んでいる暇もないほどFORWARDは立て続けにライブを行う。
 これらのライブで全力を尽くした結果、何とか気持ちも上向きになっていった。

 そしてイギリスライブの翌年2017年には、ついにアメリカのM.D.C.が初来日を果たし、素晴らしいライブを見せてくれた。他にもイギリスのDOOMなど来日バンドが多数あり、FORWARDも出演する機会に恵まれたのだが、海外へ行き続けてきた賜物であると感じる。
 しかし、ロンドンのライブでの自分の不甲斐無さがフラッシュバックして、何度も眠れない夜を過ごした。悔やんだところでやり直せるわけではないし、事実を変えることはできない。いつまでも過去に囚われて前に進めなければ、メンバーや友人など信頼している人間に顔向けができない。失敗は取り戻すしかない。
 ようやくロンドンの呪縛が薄れてきたのは、2017年の春を迎える頃だった。

 FORWARDは相変わらず毎週のようにライブをやっていたが、DEATH SIDEも2017年3月の「KAPPUNK」に出演し、〝CHELSEAの日″以外にも日本でライブをやるようになっていた。
 DEATH SIDEヘライブ出演のオファーが多くなり、メンバーで「〝CHELSEAの日″以外でやる場合にはどうするか?」と相談していた。CHELSEAの意思や楽曲の素晴らしさを伝えるために、海外に行く。しかし今となっては、DEATH SIDEを観たことがない人間もかなり多い。
 再始動したDEATH SIDEが、「行ったことのない街でライブをするのもいいのではないか」と話してみた。色々話した結果、CHELSEAのお母さんのためにも、やったことのない街や国であればやってもいいのではないかという結論に至った。
 そして4月、DEATH SIDEはオーストラリアへ旅立った。

オーストラリアツアーポスター。ニューヨーク公演のポスターをヤップがアレンジ

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30年以上に渡るバンド活動とモヒカンの髪型も今年で35年目。音楽での表現以外に、日本や海外、様々な場所での演奏経験や、10代から社会をドロップアウトした視点の文章を雑誌やWEBで執筆中。興味があれば是非サポートを!