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僕が舞台集客のために考えていること

前提として、多くの人は「演劇に興味がない」
もっと細かく言うと「小劇場という存在なんて知らない」
さらに言うと観に来てくれる方は「最初から演劇が好きな人」

そして、その観に来てくれる「最初から演劇が好きな人」の人口は
とにかく少ない。

これが3年間演劇をやってみて感じたことです。
個人的な感想ではありますが、概ね間違ってないと思います。

なので、僕が最初から貫き通しているのは
演劇に興味が無い人をいかに集客し分母を増やすか?」です。

そのために自劇団である「劇団亜劇」で行っている施策をまとめました。


必要なのは「認知」と「認知物のクオリティ」

マーケティングの基礎の基礎に「AIDMA(アイドマ)の法則」というものがあります。
簡単に言うと、人間が何かしらの商品に対して消費行動を起こすまでの
段階要素を順番化した行動心理学です。

人は「知らないもの」「興味のないもの」を購入することはありません。

購入するまでにはかならず段階があり、それが

知る=Attention(注意)
興味を持つ=Interest(興味)
欲しいと感じる=Desire(欲求)
記憶する=Memory(記憶)
購入する=Action(行動)

となり、その頭文字を取って「AIDMA」と呼ばれています。
この中でも最初の段階である「Attention」と「Interest(興味)」は非常に大事と思っており、
ここにどれだけコストを割けるか、どれだけのクオリティの「Attenrion(認知)」と「Interest(興味)」を行うかを毎公演時間をかけて考えています。


チラシのクオリティ

最も露出する機会が多いのが「チラシ」でしょう。
映画で言えばポスター、本で言えば表紙。
演劇でも当然チラシは非常に重要なファクターとして働いており、チラシを作らない公演は無いと言ってもいいかと思います。

ですが、僕はこれまで世にある演劇のチラシを見て、「これは面白そうだから行ってみよう」と思ったことがほとんどありません。なぜならば

抽象的なイラストのチラシ
知らない役者の写真ばかりのチラシ
アートっぽくて内容が全くわからないチラシ

このようなチラシが大半を占めています。端的に言うと「惹かれない」。
上記は好きな劇団のチラシであればワクワクするでしょう。
ですが、僕がやっている「亜劇」のような新参者はそのような付加価値が無いので、「いかにチラシだけで認知させるか」が重要となっていきます。

そこでいくつかチラシに入れ込むファクターを絞りました。

どんな場所にあっても目に留まるクオリティ。
→チラシは様々な場所に置かれています。そうなると人が一劇団のチラシの「認知」に使う秒数はわずかコンマ何秒です。その中で、絶対に目に留まるようなクオリティは必須。
②役者の写真は絶対に使わない。
→狙いたいのは「演劇を見たことが無い層」まで。そこを狙うには、
申し訳ないですが役者さんの写真はセールスポイントではないと判断。
③内容や世界観を想像できるような、ワクワクするもの。
→当然のファクター。
チラシを見て「こういう物語なのかな」と想像させワクワクさせる。


このファクターを満たすために、
僕は人気イラストレーターのwatabokuさんにイラストを依頼しました。

watabokuさんに依頼した理由は、
ある時僕が本屋をぶらついていた時に、watabokuさんのイラスト集である「感0」が目に留まり、一発でそのイラストに恋をしてしまったからです。

まさに僕が「感0」を認知した秒数はコンマ数秒。
そのコンマ数秒で足を止め、手に取り、すぐ購入という「行動」を取らせる力がwatabokuさんのイラストにはありました。

運良くwatabokuさんとアポが取れ、依頼を快諾していただき、
初のオリジナル戯曲である「シャングリラ」のメインビジュアルを描き下ろし頂きました。
その後も本公演は全てメインビジュアルの担当をしていただいております。

このチラシクオリティのおかげで、「チラシを見て気になってた」という声を毎回多く頂けます。

ですが、これだけでは「認知」はできても次の「興味」まではなかなかいけません。

演劇を見たいと思わせる為のハードル=「内容が不透明」

ここで少し話は戻りますが、演劇人口が増えない理由の一つに
「公演内容が不透明すぎる」というのがあると思います。

例えば友人から公演内容の連絡が来たとします。
多くはあらすじとキャスト名、チケット料金に公演場所、そしてチラシのデータがぽんと送られてくるかと思います。

しかしその連絡から「観たい」と思わせるレベルの情報はほとんどありません。

前述したように、有名なイラストレーターさんにビジュアルを描いていただいたとしても、完全には「面白さ」を伝えることはできません。

必要なのは「自分が来場して椅子に座って目にする内容は自分が興味あるものなのか?」を伝えるファクターです。


演劇こそ「予告編」が必要

全く知らない監督、全く知らない役者が出ていても観たくなる映画ってありますよね。それって、恐らく「予告編」を見て興味を持ちませんでしたか?

「予告編」には面白さを伝える前に、「ある程度の内容」を伝え消費者に「こういう内容は自分は興味あるな」と判断させるための材料となります。

ですが演劇はナマモノ、ライブ。本番まで板の上には存在しません。
だからなのかほとんどの公演では「予告編」は存在しません。
その為に「演劇に興味が無い人」からすればハードルがとにかく高いのです。内容もわからないものに何千円も払って何時間も拘束されるからです。

ですので僕は旗揚げからから毎回「予告編」を作り、公演前の集客に当てています。

僕が「予告編」に入れ込んでいるファクターは

①公演内容の全体的な雰囲気。
→チラシ、あらすじでは絶対に伝わりきらない「空気感」「世界観」を映像は伝えることができます。
②公演のクオリティ。
→舞台のクオリティはとにかくピンキリなので、「値段相応・値段以上のクオリティ」であるということの信憑性を伝えます。
③拡散力
→役者さん等が「こういう舞台だよ」と伝えるのに予告編が最も力があり楽なのです。

以下が僕がこれまでに作ってきた自分の公演の予告編の一部です。

↑こちらはティザー動画に近く、②と③に最も注力した内容にしました。

↑こちらはゲネを撮影し、その日に編集して公演に間に合わせたものです。
①②③をバランス良く行える内容にしています。


このように「予告編」を作ったことで、ようやく公演内容が見え、「興味」を引いていただくファクターが生まれました。

「予告編」は絶対条件として必要だと思います。


大事なのは「広告」に意識をどれだけ持てるか

このようにチラシ、予告編を作りますが、当然無料で作れるわけはありません。
あまり詳しくは言えませんが、チラシ、予告編などの「広告費」だけで数十万円の予算を掛けています。

そして演劇を作るのはとにかくお金がかかり、そして演劇を作る人達の殆どがとくにかくお金がありません。これが現状です。

これこそが低クオリティのチラシ、謎のチラシが作られ、予告編が存在しない理由の一つだと思います。

ですが、そもそも「認知」されず「興味」を持たれない限り集客はできません。

最初はほんの数万円捻出してクラウドソーシング系のサービスでチラシを作るだけでもいいと思います。
スマホで撮影してスマホで編集した予告編でもいいと思います。

僕の一つの夢はマックとかでだべってる女子高生が「○○って劇団の公演知ってる?」みたいな会話が起こる世界です。

そのためには、演劇の「ニッチさ」をある程度外す必要があると思います。

(さらにここまでやってもまだAIDMAでいう「Attention」と「Interest」の2つだけ。ここからさらにSNSや口コミ等様々な手段を考える必要があるわけです)

演劇だけでなく創作物を世に出すのは本当に大変です。
だからこそ、多くの人に目に触れて欲しいし、儲かってほしい、

だからこそ大事なのは必要最低限

「認知されるための意識」
「興味を持たせるための意識」

を持つことだと思います。

どんどん演劇界を盛り上げたいですね!


自劇団である「劇団亜劇」はこちら





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