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他人をおとしめる人の心理

自己肯定感の話をまた続けます。

自己肯定感は、自尊心、自己効力感、などと言い表しても良いと思います。だいたい、同じようなものです。


心理カウンセリングにおいては

「クライアントの自己肯定感を引き上げ続けること」が、仕事のかなりの部分を占めます。
(これがいきなりわかってない素人カウンセラー、残念ながらいます)

それくらい、自己肯定感の向上ということが、人が幸せに生きる上で重要なことなんです。


以前の記事で、心理療法のネタばらし、っていうのを書きました。

こちらです→「心理療法とは何か(誰も書かないネタばらし)」

ここで言っている
「さらなる困難を引き受けられる自分になる」ということは、
つまり自己肯定感が引きあがった自分になる、ということに他なりません。


自己肯定感が高い、ということは

「私なら大丈夫」「なんとかできる!」
と思える、つまり困難に立ち向かえる、ということですから。



ところで、自己肯定感が高い、もしくは健全な自己肯定感を持っている、ということと、俗に言う
「プライドが高い」は違います。

プライド=自尊心、というふうに正しく日本語訳すると、本来プライド(自尊心)というのは高くていいはずのものなんですけどね、

日本語で日常的に使うところの「プライドが高い」ってやつは、だいたいダメですね。


こういうのは、

正しくは「ニセのプライドが高い」ということです。


ニセのプライドが高い人は

自己肯定感が本当は低く、自分に自信が無いのに、あるいはそんな自分を見透かされるのが怖くて、強がって、自分を大きく立派に見せようとする。

だから、自分を否定されたり、本当の自分の弱さを見抜かれたり、欠点を指摘されたりすると、偽物のプライドを守ろうとして激怒する。相手を徹底的に否定してやり返す。


こうした人、心理カウンセラーになりたい!っていう人の中にも紛れ込んでくるので、
すごくいやです。

偽のプライドが高く、自分の人生がうまくいかないのを認めず
「心理カウンセラー(自称)」とかになって
「自分よりダメな人」を見つけて
「上から目線で指導」して、自分に自信をつけようとする人。

これは歪んだプライドの維持であって、自己肯定感を上げる努力じゃありません…


たいていの場合こうした人はまず、自分自身がカウンセリングなりサイコセラピーなるものを、まともに受けたことがない。

あのぅ。
職業を選ぶ時に、自分の人生の中でまったく関わったことのない職を選ぶ、って
かなりレアじゃないですかね???
ちょっと私、想像つきません。

普通は、例えば素敵な先生に出会ったから教師になりたいとか、
あるいは憧れはなくても、動物が好きで、飼ってた犬が苦しんで死んだ経験が嫌だったから獣医になりたいとか、
なんらか原体験ってあるじゃないですか。

なんとなく、困ってる人を助けたくてカウンセラーになりたい…これ危ないと思う。


あなたが助けたいのは、

あなた自身ではありませんか?

と、まず問いたい。


まず自分自身がちゃんと治療者の力を借りて自分を治療してから、出直してください。
(愛の鞭です)


こうした自称カウンセラーに限らず
自己肯定感低くて偽のプライドが高い人は、
人間関係に害悪を撒き散らすことがあります。


よくあるパターンは

①自分を(相対的に)肯定するために、他人を貶める

例えば、自己肯定感の低い専業主婦の場合。
心の底で、自分が働いていないことを恥じたり、劣等感を感じているが、偽のプライドが高いため、そんな自分を見つめたくない。

そして
「母子家庭の母親とかって最低よね。子どもを学童クラブに預けて仕事して、子どもは愛情不足でまともに育たないでしょ?子育て中は、母親は家にいるべきよ」
と無理矢理考える。

これは一見、自分を肯定しているようで、実は違う。
「自分は最低じゃない。あいつらと比べれば、ずっと良い(はずだ)」

という、
相対的に「自分より下の存在」が無いと自己肯定感を保てないという、
偽のプライドの典型例です。


本物の自己肯定感は、他人と比べてどうこうっていう、
相対的なもんじゃないです。

自分の限界も他人の限界も、
また自分の長所も他人の長所も
認められるのが、健全な自己肯定感です。


例えば私の場合ね。
例えば、私は自分がシングルマザーだからって、
全ての女性たちに「夫を捨てなさい!」
とか言ってないでしょ。
当たり前だけど
自分の生き方を人に押し付けない。

私は私、人は人。

私は、夫婦関係を維持することには
失敗したと思うし、その時の私には、それが限界だったと思います。
(自分の限界を認める)

だから、愛し合う夫婦関係を維持できる人を尊敬しますし、
修復できるなら出来たほうが良いと
思います。

その一方で私は、
ひとりでも子育てができる人間関係に恵まれていることに感謝していますし、
お手伝いさんを雇うだけの稼ぎもある自分を誇れます。
(自分の長所を認める)


精神分析的な解説をしましょう。

人はいつでも、自分を守るために「防衛機制」
という心理的エネルギーを使っています。

防衛機制には、
病的なもの
未熟なもの
神経症的なもの
成熟したもの

の4つのレベルがあります。

私が自分の自己肯定感を保つために
よく用いる防衛機制は「愛他主義」だと思います。

「愛他主義」とは、
自分が断念せざるを得なかった欲求を、他人が満たすことを助けるという、
つまり自分がかつて欲しかったものを他者に与える事で満足を得るという、成熟した防衛機制の中でも高尚とされる防衛機制です。

これが出来ると、自分にますます自信がついて、自己肯定感が上がり、ますます成熟した防衛機制が使えるようになるという、好循環が生まれますよ。

まぁ、いつもいつも、理想的にいくわけではないですけどね。


もしも、誰かにあなたの存在そのものを貶められた時は、真に受けて傷つかないで
「この人は、自己肯定感低いんだなー」と
上から目線で
微笑んでおきましょう。


こちらは昨年出版しましたわたしの書籍です。







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