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心の「回復」「治療」とは何か。誰も書かないネタばらし

9月23日(土)、学会発表をする予定を、私の師匠である精神科医の斎藤学先生に話したら、
映画「英国王のスピーチ」を見て参考にすると良い、とアドバイスされました。

吃音症だったジョージ6世(エリザベス現女王のお父さん)を治療する実話ですね。

以下、ネタバレを含みますので、
「英国王のスピーチ」を予備知識無しで観たい方は、観てから読んでください。

主役のジョージ6世(バーティ)は次男なので、王位継承権は長男のデヴィッドのほうにあったんだけど、
長男デヴィッドは英国王になるよりも、
バツ2のアメリカ人女性との恋愛結婚のほうを
自分の幸福・生き方として選びました。

それで、吃音症の次男に王位がまわってきてしまいます。

これだけでも、わりと意外なストーリーですよね。
ふつう、映画で「王位継承権」とかいうと、奪い合いじゃないですか。
俺が王だー!いやオレだー!暗殺だー!みたいな。

この映画では、
「王様なんてやだー!
責任重いでしょー!
国民の命守るんでしょー!
自由無いでしょー!
皆んなから批判されるんでしょー!
自信ない自分には無理〜〜!!!」

という展開です。

それでね。
間はどーんと省きまして(学会発表で触れます)、

ラスト、
ジョージ6世が英国王として、治療者の温かい眼差しに支えられながら、
どもらずに立派に「開戦のスピーチ」をした時、
私は久しぶりに映画で泣きました。

これが「回復」であり「治療の成功」なのですよね。

自分よりいろいろ出来が良いと思えた兄デヴィッドが、
引き受けなかった国王という重責を、
自分に自信無かった吃音症のジョージ6世が、完全に引き受けた瞬間でした。

「回復」ってね、楽になることじゃ、全然なかったりするんです。

「治療」って、「楽にしてあげること」じゃ、全然なかったりするんです、実は。

吃音症という病気が治ったら、次はもっと大きな困難、
「英国王という責任」「国民からの期待」「自分のことより国のこと優先しないといけない生活」などなど、
庶民の私にはまったく想像つきませんけど、
どう考えても、「たかが吃音症」なんかよりよっぽど大変な毎日が始まるんです。

このように

「回復」とは、

「次なる(よりハイレベルの)困難を引き受ける力を身につけること」

なのです。

良いですか。
「楽になれますよ〜」ばっかりいう、三流の治療者にひっかからないでくださいね。

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