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漫画がダメならエッセイだ

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漫画家・石田意志雄によるエッセイです。漫画より評判がいいです。
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#妄想

#10 『コミュ障』

#10 『コミュ障』

長月のオゼキ☆カナコ氏が「コミュ障はまずたくさんの人と話せ」というnoteを書いている。

何を隠そう、私もどちらかというとコミュニケーションが苦手である。人と話すのが苦手なのだ。もっと言うと、年上の男性と話すのが苦手だ。その理由は、実の父と会話をほぼしないまま育ったからなのだが(家庭は円満でした。父が仕事人間で朝早く夜遅く週末も仕事だったため会話がありませんでした。)、☆カナコ氏がおっしゃるよう

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#09 『プロ駐車場案内士②』

#09 『プロ駐車場案内士②』

私はプロ駐車場案内士。現在はフルーツたこ焼きで一世を風靡しているお店の駐車場を担当している。満車になったら「満車」と書かれたプラカードを持って立つので、お客様への案内は比較的ラクだ。

「大変申し訳ございません。ただいま満車でして…別のコインパーキングへ…」とお伝えすればすぐに理解していただけるし、「満車」の文字を見た瞬間に移動してくださるお客様も多々いらっしゃる。

よって私は満車の看板を持った

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#08 『占い』

#08 『占い』

突然だが、あなたは占いを信じるタイプだろうか?

私はまったく信じない。
テレビや雑誌に出てくる星座占いなどはとりあえず見て鼻で笑う罰当たりタイプの人間だ。そんな私でもそれっぽい占い師による本格的な占いに行ったことがある。

あれは妻と結婚する前。初夏だったでしょうか。(←ちょwww偶然のダジャレ!)妻の会社の同僚が占い好きで、良い占い師さんがいるよという話を聞いたそうで、なら1回行ってみようかと

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#07 『プロ駐車場案内士』

#07 『プロ駐車場案内士』

何を隠そう、私は日本でも珍しいプロ駐車場案内士である。全国の行列のできるお店からオファーが絶えないほどの人気プロ駐車場案内士なのだ。

現在はフルーツたこ焼きをはじめ、各種メディアをジャックするほど人気のたこ焼き屋の駐車場が職場だ。毎日開店前には長蛇の列で、たこ焼き屋にとっては多すぎるほどの10台の駐車場もすぐに満車になってしまう。路上駐停車や空き地への無断駐車などが問題になり、私の元に声がかかっ

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#05 『稲葉』

#05 『稲葉』

みんなは芸能人に会ったことはあるだろうか。

イベントやコンサート会場などではなく、
プライベートな感じで、という意味で。

おそらく1人や2人はあるのではないだろうか?
いつもテレビなどで見ている人が
自分の眼の前に現れるととてつもなく興奮するだろう。
私も興奮した、初めて島崎俊郎を見たときは。

あれは忘れもしない、サッカーの警備員のバイトをしていた時のこと。
私はスタジアム内の通路を警備して

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#04 『上から目線』

#04 『上から目線』

「お前の漫画はつまらない」と言われることが多々ある。
おっしゃる通りでぐうの音もでないが、
ちょいと上から目線すぎやしないだろうか。
確かに一般的な漫画に比べたら面白くないかもしれないし、
絵の下手さは決して「味」では片付けられない。

しかしである。
それはいささか言い過ぎではなかろうか。

例えば、初めて入ったラーメン屋のラーメンが不味かったら
お店の人に「不味い!」と言うだろうか。
さすがに

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#03 『田口』

#03 『田口』

古本屋で絵本を物色していたときのこと。
値札に「裏に印鑑あり」というメモが書いてあるのに気がついた。
いわゆる本の発行日などが書かれた最後のページに
持ち主と思われる方の印鑑が押してあり
それを前もってお知らせするための
いわば書店員の心遣いのメッセージであった。

本文に落書きがされているわけではないし
そもそも古本であるので
そういう前の持ち主の痕跡は仕方ない。
むしろ逆にこうした痕跡に価値を

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