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韓国映画「ただ君だけ」&トルコ映画「Sadece Sen (Only You)」(リメイク)

【オリジナル韓国版】
主演:ソ・ジソプ、ハン・ヒョジュ
2011年 105分
【トルコ版リメイク】
主演:イブラヒム・セリッコル、ベルチム・ビルギン
2014年 105分
いしゃーしゃ的オススメ度:両作品とも★★★★★

100円に弱い日本人

アマプラで視聴中のドラマを観る前に、フッと目についた「レンタル100円コーナー」。サムネに惹かれて詳細をみたら、主演はハン・ヒョジュ、おお、しかも観たいと思っていた流星君の映画のオリジナルではないか!
ちょうど先日ハン・ヒョジュのファンであるnoterさんと色々とコメントやり取りさせていただき、気になっていた女優だったので思わずレンタル。

しかも、観終わってから日本だけでなく、トルコのリメイクもあると知ってしまった。トルコというと最近これも、noterさんとコメント欄でトイレシャワーまたはビデシャワーで話が盛り上がり、「もしかしたら映画に出てくるかも!」ととりあえず予告編を検索。そうしたらなんと、本編がYouTubeに英語字幕付きで公式配信されていた!

ちょうどnoterさんたちとコメントし合ったばかりで、私の頭がもうハン・ヒョジュとビデシャワーに染まっていたのである(ヒョジュちゃんはビデシャワーとは全く関係ありません!)

元ボクサーと目の見えない少女の純愛物語

すでにご覧になった方や日本版を観た方も多いと思うので、導入的なあらすじは公式サイトより。

ボクサーとしてチャンピオンになった経験もありながら暗い過去のために心を固く閉ざしていたチョルミン(ソ・ジソブ演)と、視力を失いつつもいつも明るくはつらつとしたジョンファ(ハン・ヒョジュ演)。駐車場のせまい部屋で独り寂しく夜を過ごしていたチョルミンのもとにある日、花のように愛くるしいジョンファが現れ、チョルミンは少しずつ心を開いていく――。
ポニーキャニオン公式サイトより

ジョンファが上司からのセクハラを受け、チョルミンが助けたのをきっかけに、二人の距離が縮まる。そしてジョンファの目が見えなくなった原因が、とある事故であることを知ったチョルミンは、彼女に角膜移植手術を受けさせることを決意するのであった。

キャスト、ストーリー、良かった!

ハン・ヒョジュの方は映画『監視者たち』でしか観たことがなかったが、ソ・ジソプは初めて。二人ともはや韓国を代表する俳優たちだが、10年前の作品とはいえ、やはり期待は裏切られなかった。

ソ・ジソプの心を開いていく様子がとても良かったし、ボクシング、格闘技のシーンは圧巻。結構彼はこういう役が多いようだが、確かにあっている。
設定は違うがメインの役ってまさに『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』の先輩たちで、ハン・ヒョジュの白杖ガールぶりも良かった。

レンタル期間が72時間だったので、しっかり2回も観てしまったが、2回目では最後のシーンでは思わず泣いてしまったくらい、二人の演技にはハマってしまった。

忠実なリメイクだったトルコ版

さてさてこちら、トルコ版。
まず、トルコ映画自体を観るのが多分初めてだと思う。なので、キャストは誰も知らない。
ボクサー役アリはイブラヒム・セリッコルという俳優。ギリシャからの移民の家系らしいが、父親はアラブ系らしい。うーん、複雑。元バスケの選手だそうで、背は高いが、ちょっとほっそりした感じ。しかしボクシングはなかなか迫力があった。

そして目の見えない女性ハザール役はベルチム・ビルギンという、クルド系の目鼻立ちがはっきりした美人。ただ、彼女の目が見えない役というのは、ちょっと説得力に欠けた感があり。特に最初の方では、メイクばっちりしてるのだが、目が見える私でもあんなに完璧にアイラインとアイシャドウを引くことができないのに、これってどーよ?と突っ込みたくなるくらいのメイクであった。これが唯一の減点ポイント。

ストーリー、シーンはほぼ完璧に忠実だったが、いくつか違いを挙げながら、このリメイク版の特徴を見てみたい。

年齢設定の違い

韓国版はボクサーの方が10歳近く年上という設定だが、トルコ版ははっきりした言及がないものの、ボクサーは30歳で、年齢差はほぼない印象。
だからか、より“大人な恋愛”な雰囲気で、二人の幸せな時期がよりラブラブに描写されている。もちろんこれは文化の違いもあるかもしれない。

「目(瞳)」のフォーカスの違い

日本版は未視聴だが、タイトルは『きみのが問いかけている』。これは韓国版でも出てくる文で、『ロミオとジュリエット』に出てくるロミオのセリフ(らしい、昔読んだが記憶なし、汗)。

「彼女の目が問いかけている、僕は答えなければ」

「目」が見える見えないに関わらず、二人の気持ちを確かめ合う重要な手段となっているのだ。

一方、トルコ版ではそこまで「目」にフォーカスされていない。むしろこの部分はスルーされており、その代わりに「空気」を使っている。

「君は僕の空気」「あなたも私の空気」
 (You are the air I breath)

生きていく上で必要な呼吸、つまり空気なので、あなたは私の人生にとって必要なもの、ということなのだろう。
タイトルのトルコ語も「あなただけ」という意味のようで、韓国版のタイトルそのままで、空気としたのは、これはこれで良かったと思う。

違法クラブファイト

ボクサーは彼女の角膜手術の資金を集めるために、違法クラブファイトのファイターになる。そしてそのクラブファイトが行われるのが海外なのだが、韓国版ではタイ、トルコ版はどこになるのかなと思っていたら、なんとブルガリアであった。それぞれ中国マネー、ロシアマネーが流れてきていそうな設定である。

「人生にやる気を無くした無法者と、眼が見えない少女」というこの設定は、チャップリンの有名な1931年の映画『街の灯』からきているらしい。当時は著作権などが曖昧だったため、なんと日本の歌舞伎の作品でもモチーフとして使われているようである(Wikipediaより)。ラブストーリーとしては、どこの国であろうと、いつの時代であろうと成り立つ、永遠の組み合わせのひとつかもしれない。
いつか日本版も観るのが楽しみである。

こちらが韓国版の予告編。私はAmazonでレンタルしてしまったが、いろいろなサービスで配信されている。

こちらがトルコリメイクの予告編。YouTubeのサイトでこの予告編を見ると、必ずおすすめ動画に本編が出てくると思われる。スペルミスが多い英語字幕付きだが、そんなに難しくないし、英語が得意でなくても、韓国版か日本版を観た方なら問題なく楽しめると思う。


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