『うさぎと亀』あなたならどう書きますか?
たまに仕事の相談に乗る事があるのですが、それは僕が優れているからではありません。
成功体験に基づく話ならその辺にいくらでも転がっていますが、これだけ失敗を繰り返しても”どっこい生きてる”僕の話は説得力が違います。僕が相談相手に選ばれるのは、僕の話が悩める人に勇気を与えられるからです。キッパリ!(自慢にならない)
軽い愚痴から、履歴書を見せてもらうレベルのものまであるのですが、その中でも真剣な相談の場合は「自分を知る」意味で、文章を書いてもらうことがあります。
ここでいう『文章』とは、小説のようなものではなく 報告書のような基礎的な文章だと思ってください。noteを書いている人は全員できているレベルです。
『文章を書く』とは、まず自分が理解し、次にそれを論理的にまとめあげ、さらに読む相手に伝わるように書く客観的な視点が必要になる作業です。
学力なんてものではないと思っていますが、
文章には、自分の得意、不得意がわかりやすく出るのだと思います。
営業社員の研修をやっていた時にもこの方法を使ったことがありました。
『うさぎと亀チャレンジ』
うさぎと亀の話、知ってますよね? それを今から書いてください。文字数、書き方、全て自由です。ただし絵は無しで。言葉だけでお願いします。
たったこれだけのことなのですが、これが書き始めると意外なほど個性が出るものなのです。
観察していると序盤はだいたい3タイプにわかれます。いきなり書き始めるタイプ、頭で考えてるタイプ、メモから作るタイプ。
やがて全員が書き始めるのですが、そこから出来上がるまでの時間がまた全然違う。数分で書き上げてしまう人もいれば、30分たってもまだ書いてる人もいる。
性格も出るのだと思います。物語として完璧に書きたいと思う人もいれば、要点を伝えればいいからと箇条書きで書く人もいます。うさぎを主役にする人もいれば、俯瞰した視点で書く人もいます。
そして完成するのですが・・・
残念ながら、時間をかけた方がいい出来だとは限らない。何を言ってるのか全然伝わらない、ただ言葉数が多い文になってる人もいます。
世の中って理不尽ですね。努力と結果には案外乖離があるものです。
聞いた話をパッとまとめて相手に伝えるという作業は、仕事の中でも基本中の基本です。報告、プレゼン、営業、あらゆる場面でこのスキルが必要とされます。
「書くのが苦手でして… 話せば伝わると思うのですが」
という人がいますが、実際には書くより話す方が難しいはずです。
ただ、話す場合は相手の顔色を見ながら話しを行ったり来たりできること、そして相手の持つ聞き手のスキルによって上手く話せているような気になっているだけです。
台本無しのアドリブの方がうまくできるなんて人はほとんど見たことがありません。
僕のこれまでの経験では『書けない人=話せない人』でした。
子供のころ宿題で「読書感想文」がありました。なんでこんなことをさせるのか全く意味が解りませんでしたが。
あれは感想文としての芸術性ではなく、読んだ情報を自分の中に取り入れて相手にわかりやすく伝えるというインプット&アウトプット、受信と送信、伝達能力のスキル向上を狙っていたのだなと、今なら理解できます。
あの時、ちゃんとやっておけば・・・
そんな基礎的な文章力ですが。
才能ではなく、成長するものです。
ある部下がいました。彼に最初に文章を書かせた時には「なんだこれ?全く言ってる意味がわからん」と僕は切り捨てました。
しかし、1年後。全く同じ課題に対し、彼は、亀視点のとても面白い文章を作り上げました。見事でした。
台本ができているのですから、あとはそれを話せばいいだけ。彼は話もうまくなっていました。
話せない人は、書くことから始めてみるのもいいかもしれませんね。
さて、今夜は2年ほど前に、この『うさぎと亀チャレンジ』をしてもらった人と食事をしてきます。
今仕事で悩んでいるらしいのですが、どう成長しているのかとても楽しみです。
みなさんなら『うさぎと亀』どう書きますか?
ちなみにこちらは僕が”ある童話”を書いてみた記事です。
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