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浮気の境界線(自慢話じゃありません)

昨日の記事でチラッと「浮気はしちゃいかん」というお話を書いたのですが。本日は永遠の課題、浮気の境界線のお話をお一つ。

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去年の暮れのこと。とある忘年会がございまして。15人くらいだったと思います。取引先が半分くらいで、いわゆる仕事の関係でございました。

その時にある女性と一緒のテーブルになりまして。

その女性は仕事ではいつも顔を合わせているのですが、ゆっくり話すのは初めてなので、いろいろと話し込んだのですが。

だいぶお酒も進んできたところで「ねぇ、あなたってさ、浮気とかしたことあるの?」と聞かれました。

どうやら、真面目で浮気なんてしないタイプだと思われていたようです。過大評価ですが高評価。

そこで、僕も正直に「まあ、過去には…」と話したのですが反応は予想以上に大きかった。

「えええ!浮気した事あるの!ひどーい!」
とけっこうな声量でなじられました。
しかし、非難されて当たり前。過去とはいえ悪い事をしたのは僕。この状況は受け入れなければ。

「ねぇ、なんて言って口説いたの?ねぇ!どうせ、今は夫婦間がうまくいってなくて、とか、結婚しようとか言ったんでしょ!ねぇ!ねぇってば!」

こういう話、興味があるのでしょうか。嫌な気持ちになるなら聞かなきゃいいのに、なんて思いながらこれまた僕も正直に答えます。

「いえ、僕からいったわけじゃないですよ。向こうから… 」

途中でしまったと思ったのですが、遅かった。

「なにそれ!自慢話?モテるって言いたいの?」

「いえ、自慢話とかじゃなくて。きっかけを聞かれたから答えただけで…」

「いやいやいや。向こうから来たって、断ればいいでしょ?それを女性側のせいにして。その感覚がもうダメでしょ」

「はい、わかってます。よくない事ですよ。悪い事ですよ、浮気なんて。反省してます」

しかし上がり続けるボルテージは止まらない。過去になんかイヤな思い出でもあったのかな。

「そんな言い訳するけどさ。あなたがそういう状況を作ったんじゃないの?二人で飲みに行くとか」

「あ、二人で飲みに行くのはありましたよ」

「えええーーー!信じられなーい。二人で飲みに行ったら浮気じゃん」

「え?僕、今でも女性と二人で飲みに行く事はけっこうありますよ」

「うわー、浮気男ー。私の中では 二人で飲んだらその時点で浮気。それが浮気の境界線

「いや、飲みに行ったくらいで、そんな… 普通の同性の友だちと感覚は同じですよ」

「そんなことないでしょ。どうせ狙ってるんでしょ」

「狙ってませんって!僕にとっては女性と二人で飲み行くのは普通のことで、そこに特別な感情なんて入れてませんよ。向こうも男性としてなんて見てませんよ。僕の立ち位置はIKKOさんみたいなもんですから。」

「ふぅ~ん」


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先週のこと、その彼女と仕事で会う機会がありました。

「そういえばさ、覚えてる?去年の 忘年会で私がデミグラスソースの美味しい店教えてよって言ったの」

「ああ、覚えてますよ」

「へぇー、口だけかと思ってた。ちゃんと覚えてるんだ。しっかりしてるんだね。で、知ってるの?」

「はい。千葉ならいくつかお店は浮かびますね」

「そう。じゃあ、ちょっと落ち着いてきたし。そろそろ飲みに行こっか」

「あ、はい。あの… 二人で?」

「そう」

視線をパソコンに向けたまま、彼女は答えた。



これはいったい…

僕の説得が効き浮気の境界線を変えていただけたのでしょうか、

あるいは… 

どうしたらいいのか、少し悩んでいます。


あ、すいません。

自慢話じゃありません。


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