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私が自己顕示欲に負けた話

私は、ネット上での情報の発受に苦手意識を持っている。

情報の取捨選択が下手ゆえに、情報を取りすぎてしまうからだ。
また、他人よりもネットの情報に酔いやすく、疲れやすいタチでもある。
まずこれが、今までネットで発信できなかった理由の1つだ。

2つ目の理由は、自分が何かを発信すること自体におこがましさを感じるからである。一億総発信者時代のこのご時世に何を言っているのかという話だが、なんとなく気楽に発信することができないのだ。

では、現実世界では積極的に意見を発信しているのか
と問われると、そんなこともない。

それどころか、子どもの頃よりそのスキルが後退しているとも言える。

幼少期の私は人付き合いこそ消極的だったが、やりたいことをやりたいと言える人間だった。

おかげで幼稚園の発表会では、学年代表として父母の前であいさつをすることができたし、小学校ではクラス委員になることもできた。

しかし、歳を重ねるにつれやりたいことをやれるのは、優秀な人間や人望が厚い人だけの特権なのだと思い知ることになる。

小学校1年生の秋、私はいつものようにやりたいという理由だけで、運動会のリレーの選手に立候補した。すると個人面談時に母が担任の先生からこんな言葉をかけられたのである。

「月尾さんはクラスで1番足が遅いのにリレーの選手に立候補してね……困ってるんですよ」

困っている、という言葉はいかがなものかと捉えた母は、
「オリンピックだって参加することに意義があると言うではないですか」
と言い返したそうだ。

しかし、その話を家で聞かされた私は、小さいながらも自分がクラスのお荷物になっていることがよくわかり、ただただ悲しかったのを覚えている。

また、小学校4年生当時、私は勉強が好きでも得意でもなかったが、毎回授業で手を上げるというマイルールを自ら課していた。

それにも関わらず、全く指名してもらえない。

不思議に思った私はある日、挙手をやめ先生を観察することにした。

すると、どんな問題でも同じ子しか当たっていないではないか。

ああ、勉強のできる子しか回答権をもらえないんだな。
そう悟った私は、次の日から授業で手を挙げることはなくなった。

今となって理解できるのは、先生たちは余計な手間を省くために優秀な子だけを選びたかった。ただそれだけの話だ。

大人にとっての良い子はいつだって「都合の良い子」だし、それはこれから先も多分変わらないだろう。

その辺りのことを早々と学習してしまった私は、努力することに意味も希望も見いだせないまま成長してしまった。

なにくそ、と負けん気を出せる子どもならよかったのだが、残念ながら私はそういうタイプではなかった。それゆえに、どこか冷めた目で世界を見るようになってしまったのだ。

だからこの歳になっても「自分が何をしたいか」「何者になりたいのか」答えられないのである。自分がそう考えることにすらどこか図々しさを感じてしまうのだ。

ところが、どんなに自分の自己顕示欲に気づかないフリをして生きていても、三つ子の魂百までということわざ通り、私の根底にあるものは変わらない。

それに気づいた時、自己顕示欲が強いくせに何もしていない自分がクソダサく感じた。また、それと同時に、そんなうんこにまみれているような人生をこれからも歩み続けるのは嫌だな、とも思い直したのである。

そこで、自分の自己顕示欲を満たせるものはなにか?
と考えた結果、行き着いたのはあれほど苦手意識を持っていたネット社会だった。

とは言え、一体何から始めたらいいのかわからない。
そこでまずは、他の人のブログを読もうと思い立ち、noteに登録することにした。

noteには、さまざまな人がいた。
日常生活を面白おかしく書くことのできる人、自分の体験から確固とした意見を述べる人、有意義な情報を与えてくれる人、詩や小説を創作している人……

みんなnote上でそれぞれ自分らしく生きているんだな、ととてつもなくうらやましくなった。

そんなある日、ルミネの広告などを手がけている尾形真理子さんのキャッチコピーを引用しているnoteが目に止まった。

とても素敵な言葉なのでここでも紹介しておこう。

"わたしにはわたしを素敵にする責任がある"

ルミネの広告のターゲット層は、恐らく新宿などを中心とした東京圏のキラキラ女子たちであろう。

しかし、キラキラ輝く新宿の女の子たちだけでなく、うんこまみれの人生を歩んできた私にも自分の人生を素敵にする責任がある。そういう意味では、私も新宿女子と同等なのだ。だから、新宿女子のように私も努力できるはずだ。

そう勝手に解釈した途端、前向きな気持ちがあふれてきた。

もちろん、すべての問題が解決したわけではない。
しかし、自分のペースでゆっくりやっていこう。

背中を押してくれた、尾形真理子さんのこの言葉を胸に、これからnoteで自分らしく発信していければいいな、と思う。

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