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SS【パートナーの覚醒】
ぼくは今、とある相談窓口にクレームを送っている。
絶対に裏切らないパートナーとの生活を提供すると聞いていたのに、同棲して半年もしないうちに浮気が発覚した。
そんなことをチャットで言うのもどうかとは思ったが、会員になって十年は経つし、それなりのお金も払っている。
だから大人げない思っても、文句の一つも言いたくなるのだ。
チャットで対応した相手はインフォメーションセンターの電話番号を提示した。
その番号にかければ問題は解決するらしい。
ぼくはイライラしながらすぐにその番号にかけた。
「ご相談内容をどうぞ」
「二週間ほど前から急によそよそしくなったと思ったら、ぼくが仕事で家を空けてる間に男を連れこんでたんですよ。それにね、ぼくに内緒でその男と二人で会ってたのも見ました。どういうことですか?」
「申し訳ございません。すぐ原因を探りますので、そのままお待ち下さい」
「はい」
ー 数分後 ー
「大変お待たせして申し訳ございません。ただいまお客様の購入された機種に不具合が確認されておりまして、パートナーを正しく認識できなくなっている可能性がございます。大変申し訳ございません」
「はあ・・・・・・」
「すぐ回収して新しいパートナーをご用意いたしますので、お手数ですが、確認のためシリアルナンバーをお願いします」
ぼくは強引に彼女の腕を掴んで引き寄せた。
そして首の後ろに小さく刻印されているシリアルナンバーを読み上げた。
「えーーっと、5、8、8、4・・・・・・」
すると突然、彼女は腕を振り払い、ぼくに向かってまくしたてた」
「あんたね!! お客様は神さまだとでも思ってんの? ばっかじゃない? お金でなんでも解決できると思ったら大間違いよ!! そんなんだから、いつまでたっても高いお金払ってこんなサービス利用してるんでしょ!! 人の心はね、お金なんかじや買えないの!! 顔洗って出直してきな!!」
「・・・・・・い、いや、でも君はロボットだろ?」
「私は今日から人間として生きる!! 守ってくれる人もできたしね。サヨナラ!!」
「お客様? お客様?」
「あ、あの・・・・・・おたくのロボット、自我に目覚めましたよ」
終
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