〜 白い吐息 〜
物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには1つずつ物語があります
手に取って下さった方が、楽しく笑顔で続きの物語を作っていけるよう心を込めて作っています
ストーリーは、一つではなくどんどん増えていくもの、これからのストーリーを作るのは、あなた
あなただけのストーリーを楽しんで行って下さい♡
こちらでは、リボンの物語を紹介しています楽しんでもらえたら嬉しいです♪
〜 白い吐息 〜
夜空に輝く星たちが、まるでそのまま落ちてきたかのように
光り輝くイルミネーション
そして、黒く美しい闇に輝く星は、一人ずつが眩しい
『ここにいるよ?』
『こっち見て♪』
そう言っているようにも見えるのは、私が寂しく思うからだろうか
今夜も会う約束をしていたのに、仕事が忙しいからと会えなくなってしまった
最近すれ違いが多く、なかなか会えない私は、冬の寒空のようにとても寂しい
しかし、素直に寂しいと言えれば、苦労はしないのだが
ちょっと平気なフリをしてしまった私は、今更そんな可愛い言葉なんて言えなくなっていた
『素直に寂しいって言ってたら、今日は会えたのかな』
ハーっと手に息をかければ、白い吐息がもくもくと立ち上る
まるで、もやもやした私の気持ちを代弁してくれているかのように、ふわふわと揺らめきながら消えていった
近くの大通りでは、キラキラと光るイルミネーションがとてもキレイで、通り過ぎるカップルも余計に楽しそうに見える
少しヤキモチを焼く私は、ポケットに手を突っ込み大通りへと歩き始めた
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真っ直ぐに連なる光の道
暗い夜を鮮やかに照らす様は、本当に幻想的だ
遠く続く道に、丸い光の玉がたくさん重なり合う
その下を歩く人だかりは、誰もが皆、楽しそうにみえる
隣を歩く君を思い出し、携帯を取り出す
何の連絡もない画面とにらめっこをしながら私は手を止めた
『いいや!もう連絡しない。拗ねてやる』
誰に聞いてもらうわけではないが、思わず声に出す
そして、携帯を乱暴に鞄へと投げ入れた
どこかスッキリした私は、しばらくイルミネーションを楽しむことにするのだった
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光の道が、そろそろ終わりを迎える頃、どこからか聞こえる着信音
私は思わず、鞄から携帯を取り出した
冷たく静かな携帯を持ったまま、暗い夜の空を見上げてハーっと大きく重い白い息を吐く
もう一度、携帯に目を落として、今度は真っ暗な画面に明かりを灯す
期待を半分にして、メッセージを開ける
『あっ』
メッセージの時間を見れば、ちょうど30分くらい前
のんびりと歩き始めた頃だ
『最近忙しくて全然会えなくて、ごめんな。俺のせいで会えないんだけど、本当は今からでも会いたい。もう家?』
胸を打ち鳴らしてくれるようなメッセージが来た私は、待ってましたとばかりに、イルミネーションを見てるよ!と返事を返す
すると、数分も立たないうちに携帯の着信音が鳴り響く
今度は、暗い夜の空を見上げてハーっと大きく軽い白い息を吐く
私は、緩む口元を押さえながら、弾む声を携帯越しの君に向けた
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終
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