〜 星の溢れる夜 Vol.2〜
物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには1つずつ物語があります
手に取って下さった方が、楽しく笑顔で続きの物語を作っていけるよう心を込めて作っています
ストーリーは、一つではなくどんどん増えていくもの、これからのストーリーを作るのは、あなた
あなただけのストーリーを楽しんで行って下さい♡
こちらでは、リボンの物語を紹介しています楽しんでもらえたら嬉しいです♪
〜 星の溢れる夜 Vol.2 〜
冬の寒さが、どんなものだったのか、すっかり忘れてしまう程の陽気な日
暖かな陽射しは、ゆったりとした気持ちにさせてくれる
心地よい風が、ふわっと吹いて、私を包み込む
広い草原に二人、近くの木にもたれ掛かりながら、小さな敷物を敷いて並んで座る
隣に座るイチカと出逢ったのは、ちょうど桜が咲く頃
右を向くと、持ってきた焼き菓子を崩し、野うさぎに食べさせているところだった
春の香りに混じって、イチカの香りが私の鼻をくすぐる
自然と口角があがる私は、イチカの肩へ頭を乗せる
『なに?』
『イチカといると、すごく落ち着くの』
『ありがとうございます、姫さん。ふふ』
『姫さん?久々に、イチカの口から聞いたわ』
『はは。そうだな。・・・ラナ?』
『なぁに?』
『ラナといると安心する。大好きだよ』
『私も、イチカが好きよ』
イチカは、優しく私をギュッと抱き締めてくれる
·
イチカは、私の事を『姫様』だと思わずに、初めて接してくれた『友達』だった
そして、私とイチカの出逢いの場所は、ここ
街では夏に『星祭り』がある
私は毎年、春になる前から星祭りの舞や、儀式等の段取り、練習、勉強が忙しく始まる
連日練習が続くので合間に、こっそりここへ来て、少し休憩をするのが日課になっていた
ある日、私がいつものように敷物を敷き、持ってきた焼菓子を食べていると声を掛けてきたのがイチカだった
『いつもここで何、食べてんの?』
『え?これ?』
『そう、それ。いつも城を抜け出して食べてるだろ?城で食べると怒られんのか?』
『・・・食べたいのかしら?』
『いや?姫さんが食べてるもん、もらうとかダメだろ』
『私の事を、知っててそのような振る舞いは、いかがなもの?』
『だって、姫さん・・・』
『何かしら?』
『いつも野うさぎに、焼菓子あげながら話をしてる時に言うだろ?普通に話せる友達が欲しいって』
『っっっ!!』
私は、真っ赤になる顔を手で覆い隠し、イチカに背を向けた
『・・・わりぃ。最近、何度か見かけるようになってさ。でも周りを見ても、いつも姫さん一人だし危ないだろ。だから、話しかけようと近くに来たことがあったんだ。そん時に聞いちゃって。いや!でも!ストーカーとかそゆんじゃなくて、その、ほら。ダメかと思ったけど、その悲しそうな顔を見たくないって思ってしまってだな。あのさ・・・俺じゃ友達になれないかな?と』
恥ずかしさのあまり俯向いていた私は、少し顔をあげ、後ろをゆっくり振り返る
すると、間の悪そうな顔をし、右手で頬をかくイチカと目が合った
·
あれから3年
何度も会ううちに、いつしか私とイチカは、お互いに特別な想いを持ち始め、たくさんの出来事が起こった
まず1番大きな事と言えば、イチカが、私の父、そう国王を護る護衛の中でも特化された精鋭部隊の隊長だと言う事を知るところから始まる
世間でいう許されない恋といえば分かりやすい
今では公認の仲である私達だが、隠れて会う私達に気が付いた父の怒りは相当なものであった
しかし有能であったイチカは、父からの信頼を得ていたの事あり、次第に私達を認めるようになってくれたのだった
他にも、隣国の王子と婚約させられそうになったり、姫の仕事を放棄した私に『姫だろ?!しっかりしろよ!大丈夫、必ず俺がいるから』と助けられたり怒られたり
まぁ、色々あった3年だったわけである
そんな事を思い出して、くすりと笑う私にイチカは首をかしげる
『どうした?』
『私ね、イチカが一番好き。話をするのも、抱き締めてくれるのも全部全部、イチカがいい。そばにいてくれるだけで幸せよ』
『いきなりなんだ?・・・俺もラナが一番好きだよ』
イチカが愛おしそうな目をして、私の頬を手でなぞるので、思わず私はイチカを抱きしめる
そして目をつむり、安堵した
ずっとそばにいたい、大好き
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桜の花びらがひらひらと、一枚
優しく二人を見守り、舞いを踊る
·
終
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