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【SDGs目標5】ジェンダー平等の社会に歩み寄る社会イノベーターの小さな一歩

メディアで連日報道されるニュースによると、タリバンが再びアフガニスタンを掌握した後、アフガニスタンの女性は恐怖に怯えているという。女性の社会参加を制限したり移動の自由まで奪うなど、女性の人権を抑圧する政策をとってきたからだ。世界の労働市場においても女性は依然として、良質の仕事に就く機会が男性よりも少なく、教育のチャンスさえ与えてもらえない不平等の社会構造にさらされている。今回は、アジアのソーシャル・イノベーション団体の中から、UN SDGs 目標5「ジェンダー平等を実現しよう(Gender Equality)」に関連し、 女性により良い暮らしを提供し、不平等をなくすために努力している団体を紹介する。

*この記事は、韓国語記事からの翻訳記事です。(韓国語は、こちらから。)

ベトナム女性の希望を配達する弁当会社 HOPE BOX (ベトナム)

最近UNFPAが発表した報告書によると、ベトナム既婚女性3人中2人が家庭内暴力を経験し、精神的・身体的虐待に悩まされているとのことだ。ベトナムの農村に住む女性は就職が困難なため経済的に夫に依存し、逃げ場所さえ見つけられない日常に堪えながら暮らしている。

HopeBoxは家庭内暴力から逃れるため農村からハノイ(都心)へと移住した女性にお弁当の製造業務を通して働き口を提供している。主に会社員を中心にお弁当の販売を行い、ケータリングサービス、それにケーキやクッキーといったベーカリー業まで手掛けている。女性は安定した収入を通して経済的に自立し、社会の一員として堂々と一歩を踏み出す。さらに暴力のない環境の下で子どもを育てながら、適切な水準の教育を受けることができるようにサポートする。HopeBoxはお弁当に使用される使い捨て用品を減らすことで、環境に与える影響を最小化し、地元の農場で生産される新鮮なオーガニックの食材を使用している。

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(出典 : HopeBox https://www.facebook.com/hopeboxvn/photos/2088818054697016 )

女性職人の歳月が仕立て上げた服を販売する団体、SUKKHACITTA (インドネシア)

インドネシアを始めとした低所得国の多くの女性は社会的に生産的な労働をしても、それ相応の賃金をもらえず、安値で労働力を搾取されている。

Sukkhacittaは農村の女性職人が作製した製品の販売収益金で正当な労働の代価を支払い、彼女らの家族が貧しさから抜け出すためのサポートをしている。収益金の一部は若い女性のための工芸学校の奨学基金として使われ、失われつつある伝統工芸を復興させ、長く続いた文化を受け継ぐことができるようにサポートしている。

また、Sukkhacittaは女性の家庭を守る丈夫な垣根の役割だけでなく地球環境の保護にも取り組んでいる。製品を生産する時に使用される化学物質を減らすため、天然染料を使い、地元の女性農家と一緒に綿花の周りに多様な種子を植え付けることで、生態系を保護するなどサスティナブル(持続可能)で倫理的な方法により服を作製している。2020年は新型コロナの影響で衣料の生産や需給に大きな打撃を受けたが、手作りマスクの製作と新しいデザインのための天然染色技法の開発に力を入れている。

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(出典 : sukkhacitta ホームページ https://www.sukkhacitta.com/pages/from-the-founder)

体系的な経済教育により移住女性の自立をサポートする、AIDHA (シンガポール)

シンガポールには25万人を超える外国人労働者が居住していて、フィリピン、インドネシア、ミャンマーといった近隣の国々からの移住民がほとんどである。家族に生活費を送るため数年間、他国で苦労をしながら働くが、経済教育の不在によりほとんど手ぶらで本国に戻ってしまい、経済的困難に直面する女性が多い。

Aidhaは女性が貧困の連鎖から抜け出せるように、貯蓄と投資による資金の管理方法とデジタルリテラシーの教育などをサポートする。Aidhaの自社統計によると教育を修了した教育生の貯蓄率が約80%増加し、2006年に事業を立ち上げて以来、約4万5千名の女性とその家族がAidha教育の恩恵を受けた。移住した女性は多様な教育により、自信を持って継続的に安定した収入を生み出すことで、経済的な自立の基盤を固めている。

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(出典 : aidha フェイスブックhttps://www.facebook.com/aidha.org/photos/a.10158640325548514/10158640329993514/)

アジアにおける女性労働の現状はいまだに劣悪で貧しいが、その中で女性が自ら自分の人生を開拓し変化させている。主に男性がリードしている資本主義体制において女性が潜在的な能力を発揮できるソーシャルイノベーション団体が、女性の権利と利益を促進するための活動を続けている。性別にとらわれず様々な分野でより多くの女性が自分の能力を思う存分に発揮できる世の中になることを願ってやまない。

<個別ホームページリンク>

1.HOPE BOX : https://hopeboxvn.com/
2.SUKKHACITTA : https://sukkhacitta.com/
3.AIDHA : https://www.aidha.org/

著者:パク・ミラン。好奇心旺盛な「ヒトカゲ」。 現在、ソウルイノベーションセンター・事業開発チームでより良い世界を築く、市民たちの社会革新アイデアを発掘・支援している。
発行:IRO(代表・上前万由子)
後援:ソウル特別市青年庁・2021年青年プロジェクト(후원 : 서울특별시 청년청 '2021년 청년프로젝트)

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