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#389 誰かを頼れる力の大切さ

 学習の自立とは、長い人生における多種多様な学び続けることができるスキルを身につけることだと言える。逆説的に思えるかもしれませんが、自立するための第一歩は「誰かに頼れること」です。人は決して一人では生きていくことはできません。自分ができないこと・苦手なことを乗り越える上で、誰かの力を借りることは当然だと言えるでしょう。

 教科・科目の学習の困難を解決するために誰かを頼る行為として、最も一般的なのは「質問」です。児童・生徒の質問を通じて、授業担当者は、彼らの学びの段階と問題点を把握し、その解決を支援することができます。

『教育の弊害?日本人が圧倒的に苦手な「質問力」』という記事を見つけました。

記事を書いた心理学者ダニエル・T・ウィリンガム氏の意見には共感できない部分もありますが、スキルを身につける事で質問がしやすくなることには賛成です。

 しかし、質問スキルを向上させることは結構大変。質問が上手な児童・生徒は自身の学習情報を適切に把握できる自己分析の力と、それを教員に伝える言語化能力が必要です。さらに、記事の中でも言及されているように、人には羞恥心がある。例え質問することが悪い事ではないと分かっていても、迷惑をかけたくない」、頭が悪いと思われたくない、恥ずかしい、というメンタリティでは質問をしにくくなる。つまり、そこに環境要因まで必要になってくるのです。

 日本の学校教育では、間違うことを(本質的に)肯定しないという異様な空気感が今でも悶々と漂う中、頼ること(質問する)ことに抵抗感があることも多いのではないでしょうか。

 学習状況の分析スキルも、言語化スキルも、質問を繰り返し、そこに教員側の適切な対応があれば徐々に形成されてきます。しかし、質問にこなければ、その力を育てることは非常に難しくなる。

 だからこそ、その第一歩は質問することを恐れない、つまり誰かを頼れるスキルを獲得すること。そのためには、様々な場面での児童・生徒の質問をアクノレッジ(承認)し、頼ることは悪い事ではないという感覚を育む事であるのです。


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