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奴隷のように扱われ、夜逃げした日

私が19歳の頃、長野県南佐久郡川上村にあるレタス農家の元で住み込みのアルバイトをすることになった。季節は5月だったか・・・
インターネットの求人サイトで三食付きで寮費無料という特典に魅力を感じ、電話で軽く話をして、面接もなく採用が決まった。
当時の私はいつか独立して農業という仕事をしたい、誰からも命令されず、自分一人で自由に自然の中でのびのびと暮らしたいと考えていた。
中古で買った40万円のミラジーノに作業着や着替えを入れたボストンバックを積み込み、ナビを頼りに初めて県外の長野へと向かう。
伝統的な立派な日本家屋の一軒家に到着し経営者夫婦と軽く面談をする。
そして、すぐ近くの寮に案内されたが汚さに驚いた。
6畳くらいの個室だが、壁に隙間がかなり空いていて、隣に住んでいる中国人実習生の声や明かりが漏れてくる。
布団も湿っていてカビ臭く、畳には砂埃があちこちにある。
更に階段の電球がなく、なんで電球がないのかと日本人の同僚に尋ねると誰かが電気をつけっぱなしにして、怒った経営者が電球を取り外してしまったとのこと。
仕事が始まる前から嫌な予感がしたが、もう後戻りはできないと覚悟を決めて早めに就寝した。
※写真はイメージです

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