銭湯で3人のおばあに話しかけられた話
朝起きてトイレに向かったら、シンクに置いておいたお気に入りの中華鉢を落として割ってしまった。
あーあ。と思ったが拾わずにそのままトイレに入り用を足した。
キッチンに戻ってこの惨状をどうしようかと2分ほど考え込んだが、
どうしようも何も片付けるしかないだろ。と思い、指を切らないようにそっと新聞紙に包んでゴミ袋に捨てた。
文鳥を飼っているとこういう時に役立つんだなあと思った。
文鳥を飼っていなかったら、わざわざこのネット社会で新聞紙を買う事もなかっただろうなあ。と思いながら急いで服を着替えた。
実は2分も考え事をしてる場合ではなくて、既に起きる予定の時刻から1時間過ぎていた。寝坊だ。
梅田で北新地キャバクラ元ナンバーワン嬢と、月収500万大富豪とお茶をする予定があるにも関わらず完全に遅刻していた。
元ナンバーワンキャバ嬢と月収500万を1時間も梅田のキーフェルで待たせている。確実に社会的地位は私の方が下なのに。気持ちいいぜ。嘘。
かなり焦ってニットのよくわからないワンピースをかぶり、すっぴんのまま駅まで駆け抜けた。
梅田のキーフェルに到着し、大富豪に「寝坊でしょ?逆に潔良いです!」とお褒めの言葉を頂き、平謝りしながらミックスジュースを頼んだ。この大富豪は私より3つも歳下なのにとても優しくて明るくて頭が良い。いつもすごいなあと感心する。
私は喫茶店に行くと90%の確率でミックスジュースを頼む。
コーヒーも紅茶も味が嫌いで飲めないし、カフェオレはかろうじて飲めるけど結局コーヒーの味がするから嫌。関西の喫茶店、それも大阪なら必ずと言っていいほどミックスジュースが置いてある。私は関東の喫茶店に必ずと言っていいほどミックスジュースが置いていないのを知っているので、ミックスジュースを頼む。せっかくだしね。
ああどうでもいいことばっかり書いてしまう。
ミックスジュースのことはどうでもよくて、今日もたくさん私が知らない話や面白い話をしてもらった。
ランチは元ナンバーワンキャバ嬢とご一緒させて頂いたのだが、私が適当に選んだ蛤入りのだし巻き定食屋さんがなんとも言えない味だった。当たりかハズレかで言ったら確実にハズレだった。申し訳ない。
そもそもだし巻き卵なんて味がはっきりしない物をご飯のお供にするべきじゃない。定食にしても大して美味しくない食べ物ランキング2位くらいかもしれない。1位は湯豆腐。湯豆腐定食なんてないでしょ。と思われるかもしれないが、私は湯豆腐定食に出会ったことがある。
まあそれもかなりどうでもいい話なので割愛。割愛できてないか。
15時に家に戻り、なんだかさっぱりしないなあと思い銭湯に行くことにした。
丁度15時間くらい前に同じ銭湯に入ったばかりなのに、また足を運んでしまった。また来たよこの人って番頭さんに思われてる。たぶん。
私はかなりお婆さんに話しかけられるタイプなのだが、今回はなんと三人のおばあに話かけられた。
そしてお風呂から上がる前に一人のおばあに話しかけた。
今日銭湯で話したおばあは四人だ。本日4おばあ。
しかも話しかけてきたおばあはそれぞれ違う場所で一人ずつ話しかけてきた。
なかなかおばあイベントが乱立していて大変だった。
話しかけてきたうちの一人のおばあはずっと肌身離さず水筒を持っていた。この水筒おばあは最初はジェット風呂で話しかけてきて、銭湯おばあにありがちな「あんたどこから来たん。」と言う話出しで話しかけてきた。
こういうおばあはだいたいこの銭湯の近所に住んでいて、歩いて来れる距離に住んでいる。
”自分がどれだけこの銭湯から近いところに住んでいるかマウント”を取ってくるが、私もそれなりに近いところに住んでいるので毎回「なんやこいつやるやん」とさも言いたげな空気になる。そのあと「私毎日来てるんや。」と言ってくるのが定石だが、なんと私も毎日来ているので先ほどと同じ空気になってしまう。
まあそんないつものやり取りをしていたのだが、おばあはサウナでも私の左隣に座って話しかけてきた。雑談をした後、水筒を逆さにして氷を取り出し、私の方に氷を持った手を差し出して「はい!」と言った。
一瞬面食らったが、私の右隣のおばあにも氷を差し出していて、そのおばあが氷を口に含んだのを見て、(あ、食べろってことかあ。)と気づいた。
人にもらった物は食べれないといった神経質な面は持ち合わせていないし、コロナ禍だから人の手からもらった食べ物を食べるのはいかがなものかというような考えもその時は思いつかなかったので、普通に食べた。
氷、気持ちいい。
ガリガリと歯で氷を削る度に口内で小さな氷の破片が生まれ溶けていく。110度に設定されたドライサウナの室温と私の口内の温度は真逆で、そのギャップに刺激された頭もひんやりした口内もとろけそうなほど気持ち良かった。
小さな氷は溶けて水になるのも早い。
おばあからもらった貴重な氷は1分もたたずになくなってしまった。
「食べちゃった。」と言うと、おばあはまた氷をくれようとしたが、かなりサウナに入っていたので「もう暑くなっちゃったから出るね。」と言い水風呂へ向かった。
サウナのドアを開ける時に「氷ありがとう。」と言うと、「そんなもんええんやあ。」とおばあはニコニコしていた。
なんだか良いおばあだったなあ。と思いながら水風呂に浸かり、洗い場に人がほとんどいなかったので洗い場で”ととのう”ことにした。しばらく目を瞑って座っていたのだが、目を開けると隣に新しいおばあが座っていた。
なんでこのおばあは他にも空いているところがあるのに私の隣に座ったんだろう。と不思議だったが、それよりも不思議な物をおばあは持っていた。
それは真っ黄色の液体で、内科で子供が風邪を引いた時にもらう、飲み薬の入れ物のような容器に入っていた。
こんなやつ。
なぜかめちゃくちゃに興味をそそられ、それを見てすぐに「ねえおばちゃんこれ何?」とおばあに聞くと、おばあは少しびっくりしたような顔でこちらを向き、「これなあ、亀岡から送ってくるんやあ。」と言ってプラスチックの容器を私に差し出した。
どうやら京都の亀岡に住む友人から送ってもらっているらしい。
聞きたいのはどこから送ってくるかじゃなかったんだけどなあ。と思いながらも「これは何に使うの?」と聞くと、「ほらほら。」と言いながら私の手に出してきた。
銭湯のおばあはすぐ手に出そうとする。
水筒おばあも氷をすぐ手に出してきたし、先週の木曜に行った違う銭湯でも、隣に座ったおばあが何も聞いていないのに「これは新潟から送られてくる炭のやつでなあ、べっぴんさんになるで!まああんたには要らんやろうけどな!」とユーモアとお世辞を含めながら私の手にその”炭のやつ”を出してきた。
なんかこの前もこんなことがあったな…
と思いながらそれを体に塗った。
体にだけ塗っていたら、「顔に塗らんでどうするん!」と言われ追加で黄色い液体をもらった。
その黄色い液体は、さらさらとした水ではなく、少し粘土があり、中に砂のようなじゃりじゃりした物が含まれていた。
なるほど。スクラブのようなものか。と思い言われた通り一瞬顔にも塗ったが、スクラブの粒があまりにも大きく、(これは顔に塗るにはかなりでかい…刺激が強いタイプのスクラブだぜ…危険だ…)
と考え直し、顔に塗ったふりをしてまた足に塗った。ごめんなスクラブおばあ。
スクラブをお湯で流した後、おばあが「ツルツルになったやろ?」とニコニコしながら聞いてきた。
確かにちょっと手触りが違うような気もした。
でも私が使っている酒粕のマスクやSABONの泥パックの方がツルツルになるなあとも思った。
「そやなあ。ツルツルや。ありがとう。」
とお礼を言った。
スクラブおばあは毎日16時ごろにこの銭湯に来ているらしいので、今度会った時はSABONの泥パックを使わせてあげようと思った。
おばあびっくりして泣いちゃうかもしれない。
ちなみにそれはこれ。回し者じゃないよ。
チャリで帰宅し、ご飯を食べ、ゲームをしたりして、暇になったので久しぶりにnoteでも書くか。となり日記を書いてみた。
今日は割とおばあ関連のイベントが多かった。
そんな感じの一日だった。おしまい。
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