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魚の庭

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桜並木と梅の花 ~花咲きのとき~

桜並木と梅の花 ~花咲きのとき~

川沿いの桜並木は、まだ寒々しい景色。

だんまりの蕾たちは、

“花咲きのとき”に向かって静かな準備を重ねているのだろう。

ひと足早く“とき”を迎えた梅は、日ごと華やかさを増している。

季節が桜に舞台を移す前に、梅の華やぎに春を見る。

≪🐠130301📒240301≫

後ろ姿

後ろ姿

踏切の音には、わりと敏感なほう。
遠くで鳴っているのが耳に届いて「ちっ!」と思うのは、その場に駆けつけられないから。

今日は近くを歩いていたので、慌てて走った。
なぜ、慌てるのか……、何で。

せっかくなら、会いたいから。

私は“テツ”ではないが、鉄道車両を見ると興奮する。
とくにディーゼルが好きだ。

走ったけど、
やや興奮していたのもあってカメラを出すのが遅かった。

遠ざかるディーゼルの

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青い宝石とのひととき

青い宝石とのひととき

ウォーキングで川沿いを歩いていると、
輝く青いものが視界に入った。
カワセミだ。
  
幾度かカワセミが飛んでいるのを見たことがある。
ただ、あの鳥はすばしっこくて、
すぐに竹藪や木々に茂みに飛び込んでいなくなってしまう。
なのに、この日は、
枝に留まったまま逃げもしないでいてくれるではないか。
  
すごいシャッターチャンスをくれたというのに、
「わ、カワセミ、カワセミ……」
興奮してカメラを持

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道端マリアージュ

道端マリアージュ

都心では、
鉢植えやプランターの花や緑を、店先や建物に沿って置いている光景をよく見かける。
道幅の狭い路地裏に入ると、道の両側が鉢植えだらけ。
人は植物を欲するものなのだなあ、とつくづく思う。

コスモスでさえ鉢植えの都心と違って、ほどよく田舎の“町”では、鉢植えやプランター植えは駅周辺ぐらいのもの。ほとんど見かけない。
空き地では勝手に生えて育ってるし、植えようと思えば土に植えられる。

そんな

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秋の眩しさ

秋の眩しさ

11月の陽射しは一段と眩しく、
視界を独特な輝きに映す、
秋。

緩く柔らかい波長の中で、
緑も花も色を鎮め、
さわさわ動く瞬間を、
スローモーションに変えて記憶に焼き付ける。

カメラで切り撮った瞬間が、
いつか懐かしく、愛しい記憶になるのかと思うと、
寂しさの影に取り込まれそうになるけれど、
陽射しの眩しさが、陥りそうな気持ちを救い上げ、
温かさの中に呼び戻す。

秋の眩しさ、独特の輝きは、

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千日紅

千日紅

花を見て、「美味しそう」と思うことがよくある。
食欲をそそられる「美味しそう」とはちょっと違う。
可愛かったり、きれいだったり、生身の生きてる姿が美味しそうなのだ。
きれいなケーキやお料理を見て思う「美味しそう」に近いかも。

散歩で見つけた千日紅。

寄り添って咲く姿が、また、美味しそう。

≪🐡12*0813📒230813≫

龍が出た沼?

龍が出た沼?

「龍が出た沼がある公園で蓮がいっぱい咲いてるよ」。
汗ダルな暑い中、
息を弾ませて、友人が教えてくれた。

すぐに行って見て!
と、言わんばかりなので撮ってきた。

たぶん、ここは、沼じゃなくて池だと思う。
龍が出たかどうかは、分からない。

この辺りで「龍が出たらしい」という話をある人から聞いて、
その話を友人にしたのは私。
ここが「龍が出た沼」かどうかは……微妙。
でも、通じたよ。

≪🐟2

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涼しく咲く

涼しく咲く

朝方、郵便局へ行った帰りに河原に寄ると、
土と草の温かい匂いが湧き上がり、
辺り一面を夏の空気が覆っていた。

朝から晩まで、やたら汗だくの湿った季節。

けれど、
なのに、
草花の姿は涼しげ。

涼しく咲く赤詰草を暫く眺めて立ち去ろうとしたら、
「撮って」と言われた気がして。

帰り着いた部屋の、窓から入ってくる微かな風すら熱い。
汗ペタ、暑さ負けの身に、
涼しく咲く草花の姿がうらめしい。

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夏の蕾

夏の蕾

小学2~3年の頃、
夏の間、家の小さな庭に朝顔とダリアが咲いていた。
その朝顔とダリアの花びらをくちゅくちゅに潰して、
色水遊びをした記憶がある。

ウォーキングで見つけたダリアの蕾。

色水遊びに使ったダリアの花は憶えているが、
蕾は初めて見た気がする。

花が大きいから、蕾も大きい。
かぶりついたら、
らっきょうを噛んだときの「カリッ、コリッ」とした音がしそう。

美味しそうな夏の蕾が、子ども

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都心 靖国の森

都心 靖国の森

車が行き交う大通りの塀の内側は、まるで空気が違う。
通り沿いの南門を入り、左手に向かう遊歩道に点々と並ぶベンチ。

茶室のある神池に出る道筋が、おそらく、境内の中で一番静かに過ごせる場所だろう。
昼食時は、ここでお弁当タイムを過ごすサラリーマンや参拝の人を見かけるけれど、昼前の午前中はほとんどひと気がない。

ベンチで独り、腰を落ち着けると気分は森の中。
湿気を帯びた土の匂いと、木々が発する青渋い

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どっしりダリア

どっしりダリア

雨上りの合間を狙ってウォーキングに出る。

地面から上がる湿った熱気は、
草混じり、夏の匂い。

雨上がり、
シャワー上がりの真っ赤なダリア。

花に水滴を残し、
鮮やかに、どっしり咲く姿は、
梅雨明けなど待たず、
すでに全開、夏を開いてる。

≪🐟14*06*26📒230626≫

秋模様

秋模様

惜しむ夏の名残はいつの間にやら消え去り、
空気はすっかり秋の感触。

靖国さんの神池の前は、
黄色づいた桜の葉が、小石の地面の所々を飾る。

ベンチに降りた黄色の葉をそのままに、
ふっと一息、隣に座る。

緩くなった陽射しは、秋模様の始まり。
彩りの時が、足を早めてやって来る気配。

《10》≪🐡10*1001📒221001≫
 

飛翔

飛翔

高校時代、創作ダンスの部活をやっていた。
年に一度の文化祭がメインの発表の場で、新入生歓迎会や卒業生を送る会など、年に3回は舞台があった。

あれは文化祭だったか、
コーチが振り付けした作品で「飛翔」というのをやった憶えがある。
白のレオタードをブルーのグラデーションに染めて、白いシフォンのロングスカートをつけて、20人ぐらいで踊る作品。

気持ちは「飛翔」。なんだけど、それぞれがジャンプして着地

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道端アナベル

道端アナベル

緑が深まる六月。
道端の白いアナベルに目を奪われる。

一度は車で通り過ぎ行きかけたけれど、
白い花に引き留められて車を降りた。

夕方の、湿気を含む濃厚な緑の中で、
強烈に浮かぶ白。

植えた人は、こんな光景になることを知っていただろうか……。

静かな風景に、白い華やぎが、
緑の中の音をくれた帰り道。

≪🐟18P17*06*28📒220627≫