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駅近暮らしのススメ 【ユーモア】

我が家は幸いにも都内のとある駅から徒歩5分。今日はそれがなぜ「さいわい」なのかを検証してみたい。

考えてみると「徒歩5分」という表現は非常に重要で、何をするにも「徒歩5分ほどですのでどうぞお立ち寄りください」、といったお誘いが誰にでも気軽に可能となる。「徒歩5分ほどですがもし道に迷われたらお電話ください」といったセリフを発するも本当に「迷いました。どうやって行くの?」という電話はまずかかってこない。しかしこれがもし徒歩10分だったらどうだろう?単純に言えば徒歩5分の距離を歩いた後、踵(きびす)を返して出発地点に戻るまでの距離が徒歩10分だ。その距離を考えると初めて招くお客さんが途中で迷ってしまう確率は高まる気がする。絶対迷わないとは言い切れない距離になってしまうということだ。

徒歩10分は様々なリスクを抱えている。例えば家を出て5分経過したのちに「家にマスクを置いてきてしまった」ことに気がついたとする。おそらくここで、もうほぼ自動的にあなたは少し先にあるコンビニで買うしかないな、と考える。あいにくコンビニには国産立体マスク5枚入り(香り付き)880円+税 しか売っていなかった。明らかにオーバースペックじゃないか、、あぁでもマスクなしで電車には乗れないし、取りに戻っている暇はない。買うか。。そうしてあなたは深夜料金のタクシーでひと駅移動できるほどの金額を、うっかりマスクを家に置いてきてしまったばかりに支払うことになる。

しかしそのような解決ができないのがおそらく財布やケータイといった類だろう。これらは絶対になくてはならないが、家を出る時、絶対一緒についてきてくれるとは限らない。先ほどと同様、家を出た5分後にこれらの忘れ物に気がついたということにしてみよう。あなたは5分かけて家に戻り、5分30秒ほどかけて忘れ物に気がついた地点まで戻らなくてはならない。そして駅までさらに5分歩く。すると驚くことに、駅までの移動にかかる往復分の時間をなんと片道で消費してしまった!駅までの移動時間を合計すると30分30秒も移動だけに時間を取られていることになる(30分のウォーキングは非常に健康的ではあるが、僕が問題とするのは歩いているあなたのその時の精神的健康の具合だ)。

仕事上電車移動の必要がある方は、一人暮らしであれ家族で暮らしているのであれ、同じ駅を使うならば極力近いところに住むと、うっかりしたミスを挽回しやすい。例えば先ほどと同じ問題が駅まで徒歩5分の場所に自宅がある人間の身に起こったとしよう。

まず、相対的に考えるならば、駅まで徒歩10分かかる人(A)が5分歩いた地点で忘れ物に気がついた場合、駅から徒歩5分の場所に住んでいる人間(B)がハッとマスクを忘れたことに気づくのは、彼にとって実は出発後2分30秒のところではない。なんと彼は、まだ玄関口にいる状態でそのことに気がつけるのである。そしてもし彼が本当に駅まで半分歩いた地点で初めて忘れ物に気づいた場合、比較対象となる徒歩10分の自宅から出発した人はなんと駅までの距離の実に75%を歩き終えていなくてはいけないことになる。Aがここで引き返した場合、同じ地点に再び戻ってこられるのはなんと15分後である。一方Bが忘れ物を取りに行った場合、同じ地点に戻ってくるまでにかかる時間はたったの5分、Aが必要とする時間のわずか33%だ。

住まいを選ぶ際は「そんなこと言っても、駅近は少し離れたところよりも家賃が高いからなぁ。。。」、なんて額面だけを考えて結論を出さないでほしい。駅近にはあらゆるウッカリを致命傷にしてしまわず、スマートにリカバーできる頼もしい保険が掛かっているのである。

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