見出し画像

葉桜の季節に君を想うということ、葡萄が目にしみる、ぼくは勉強ができない

大学卒業が確定し、新居も落ち着いたので最近読んだ3つの本について語ります。

1. 歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』
この本は、ミステリー好きの男性が薦めてくれました。タイトルが恋愛ものっぽいけどミステリー。
これは、ものすごく騙された。
一冊にいつくもの小説が入ってる感じがした。本当に質の高いミステリーだった。
ちょっと推理してみたんだけど、それを遥かに上回る結末。思いもしなかった。
全体的に面白かった。
人によってはキツい場面があるかもですが、オススメです。
この本をお勧めしてくれた彼に感謝です。

2. 山田詠美『ぼくは勉強ができない』
この本は軽いものかと思って読んでたら、思ったより奥が深いものでした。
主人公の秀美くんは、成績は悪いけどイケメンでモテる。いわゆる陽キャの男子高校生。
年上の彼女がいて、派手な母親と祖父の三人暮らし。
クラスメートのガリ勉に「おまえ、モテないだろ」なんて言っちゃうような変わった子。
勉強よりも大切なことがあると思ってる。それに、ちょっとひねくれてる。
ここまでだと秀美くんヤバい奴っぽいけど、でも優しくて素直で自由でよくものごとを考えてる子なんだと思う。
同級生や先生、サッカー部の友達、恋人、家族などの魅力的な人たちとかかわりあい、成長していく。
短編集だから連ドラみたいな感じでテンポ良く読めた。
最後の番外編まで読み終わると、秀美がどうしてこういう子になったのかとか色々考えさせられた。
まぶしい青春。
大人こそ読むべき小説だと思う。

3.林真理子『葡萄が目にしみる』
この本は、この3冊の中でも一番しんどかった。そして、一番お気に入り。
山梨の葡萄農家の娘の乃里子が主人公。
乃里子はぽっちゃりしててダサくてどんくさい女の子。
色々な経験を経て成長していくんだけど、本当にキツい。何でかって言うと、乃里子って私なんじゃないかってくらい分かってしまうの。本当に嫌悪感抱くぐらいに分かってしまった。
すごい天才だと思った。リアルすぎる。
最後の大人になった場面は好きだけど、別物って感じ。
わたしみたいな、キラキラしてなかった中高時代だった女の子は絶対にハマると思う。
思春期の多感さって、どうしてこんなに苦悩を生むのだろうって思った。
この小説と出会えて良かった。

三つはどれも面白かったけど、自分の中では『葡萄が目にしみる』が一番かなと思う。だって、こんなに自分にリンクした物語は滅多にないもん。
人に薦めるならどの作品もいいと思うけど、男性なら『葉桜…』で、女性なら『葡萄…』かな。とか思うけど、全部オススメです。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?