薪ストーブを焚く
犬と一緒に森を散歩していたら倒木を発見した。薄暗くなってきていたので、簡単に周囲を確認するだけにとどめた。
倒木の長さは5メートルほど、直径は20センチあるかないか。そういった木が倒れたのか、老木の太い枝が落ちたのか、詳細はわからなかった。いずれにせよ、明日チェーンソーを持ってきて片付けてしまおう。
僕の住む山の森では、まれに木が倒れる。嵐のあとや、大雪が積もったときなどがほとんどだ。枯れた木や虫が入ってしまった木は、危険な状態になる前に切り倒してしまう。その後、倒木は適切な長さにカットされ、割られ、薪になる。
倒れた衝撃によって適切なサイズに折れ、割れながら宙を舞い、僕の薪小屋にストンと着地する。といったようなこともいずれ起こるかもしれない。
薪ストーブに火をいれる
翌日は雨天であった。冷たい秋の雨が、僕の住む山をしとしとと濡らしていた。件の倒木の始末は、晴れた日に変更することとした。とくに急いでもいないし、雨の日に慌てて仕事をすると怪我をする。
秋も終盤にむかっているようで、こういった天気になると終日気温が上がらない。猫たちはひとのベッドにもぐりこんで、スヤスヤと寝ている。試し焚きもかねて、そろそろ薪ストーブに火を入れてみようか。
ナラなどの堅くよい薪は高い温度を長い時間保ってくれる。しかし、まだ真冬ではないので、この時期は主にクズ薪や太めの枝などを使用する。それでもしっかりと部屋を暖めてくれる。
よい薪は薪ストーブの温度を200度以上で維持してくれる。しっかり燃やしてやると、薪ストーブの炉内や煙突内にススが付着しにくい。ただ、やたらに温度を上げればよいというわけでもない。薪ストーブごとに適温が設定されている場合がほとんどである。
クズ薪や太めの枝などでも温度は上がるが、長い時間は持たない。けれど、この時期ならちょうどよいくらいだ。
冬が近づく
薪ストーブは煮込み料理にはとてもよい。鍋をかけてほうっておけば、そのうち勝手にできあがる。すね肉やかた肉を、カブ、タマネギ、イモなどと一緒に煮込んでシチューにするとおいしい。冬のあいだはなにかしらの鍋が、薪ストーブの上を占拠し続ける。
猫たちがベッドから起きてきて、薪ストーブの前で寝転んでいる。猫がいるととてもよい。どの季節でも、彼らは一番すごしやすい場所を知っているからだ。彼らについてゆけば、すごしやすい場所を教えてくれる。
たまに屋根の上に出て寝ている。ひとには真似できないので、「うらやましいな」と思いながら僕は彼らを眺めている。
薪ストーブにのせておいたマキネッタが「コポポポ」といっている。コーヒーが沸いたようなので、少し休憩にしよう。