マガジンのカバー画像

書評

98
運営しているクリエイター

2022年1月の記事一覧

【読書】二十一時の渋谷で

【読書】二十一時の渋谷で



多分どの年代の人が読んでも、色々考えさせられる小説。
舞台は東証一部上場の映画配給会社。そもそもそんな業種の会社があるとかよく分かっていないのだが、海外で上映されている映画で日本にまだ紹介されてなく、多分これなら日本でも人気が出るだろう…というような映画を見つけ出し、契約して日本で上映する権利を得て、その後映画館に交渉して日本中に映画を広げるような仕事をしている会社なのだろう。

そもそも映画

もっとみる
【読書】コロナ後の世界 内田 樹

【読書】コロナ後の世界 内田 樹



この人はリベラルというか左である。
で、最近立憲が資金提供して話題になっているCLPを絶賛したりしていたから、最近はあまり出てこれなくなっているのかもしれないが…(笑)

ただしこの本は私は相当共感しながら読んだ。
コロナが始まってからの日本社会の変遷を的確に分析し今後の展開を予測している。
ただ予測に関してはどうなるかはわからないが、現状の分析に関しては、もう「さすが内田さん」と敬服するレベ

もっとみる
【読書】ドミノ  恩田陸

【読書】ドミノ  恩田陸



さて、恩田陸である。恩田陸といえば、蜜蜂と遠雷である。(くじら姫は、果たして蜜蜂と遠雷を読んでしまったのであろうか…)
音楽に全くセンスのない私をピアノのコンクールの駆け引きで虜にしてしまった蜜蜂と遠雷の作者である。その恩田陸が書いた「ドミノ」果たして今度はどんな感動をもたらせてくれるのだろうか…。

この小説、なんと主人公が27人と一匹もいる。それぞれが主人公でドラマがあり、最初から順番に色

もっとみる
【読書】水俣 天地への祈り

【読書】水俣 天地への祈り

私の変な正義感の源は「水俣病」にある。
たまたま大学の研究室が、水俣病の社会学研究では第一人者だった丸山定巳先生だったからである。先生の授業で、水俣病について学び、水俣の人たちを思う気持ちが、今の不条理な政治への反感につながっていたのだが…

この本はなぜ今頃出版されたかというと、昨年の秋にジョニーデップが主演して話題になるはずだった「MINAMATA」が公開されたからだ。あの映画結局私は見ること

もっとみる