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外資ITから転職して失敗するパターン

※注意※
これは自分自身の失敗ストーリーです。そしてかなり具体的な内容が書いてありますので部分的にフィクションを混ぜてあります。誤解なきよう。むしろフィクションじゃないか?ぐらいで読んでもらえると嬉しいです。

私は2016年にSalesforce.comからビズリーチへ転職しました。転職するまでの約1年半、業務終了後のプライベートな時間を使って外部から支援する”草ベンチャー”と呼ばれていた期間を経ての入社でしたので社内の人々の顔はもちろん、ある程度の性格や現状の課題も理解していました。それでも大きな失敗から逃れることはできず、自分の無力さに打ちひしがれる日々を過ごすことになります。

大きな失敗① SFA定着化での大混乱

私が入社した2016年はすでにSalesforceのSFAが導入済みでした。しかし、自身がSalesforec.comで経験したものとは乖離がある運用になっており、このままインサイドセールスを拡大するよりも一度Salesforce流の使い方をインストールし直してからの方が効果が大きくなると考え、入社から1ヶ月程度経った日の経営合宿に70ページを超える資料を作成し改善案を持ち込みました。会議では概ね承認され、いよいよ着手することになったのですが、結果として現場に大混乱を巻き起こしました。それは私の影響範囲の見積もりが甘く、あるべき論だけで突っ走ったことが原因であり、営業部門だけではなく受注後の処理を担当する部門や、日々の数値をモニタリングしている企画部門など本当に多くの人たちに迷惑をかけてしまいました。

まずは迷惑をかけた各部門に謝罪と現状把握のためにミーティングをはしごし、一方営業部門の定着化のためにマネージャー会議や専門のミーティングを設けては”ここはこう使ってください”と説明する日々でした。そんな日々が2ヶ月ほど続いたのち、ようやく光明が見え始めます。それまでは本当に辛く厳しい毎日でしたがそれを乗り越えたれたのは信じてくれた経営陣と助けてくれた部門長、マネージャー陣、そしてSalesforceのカスタマイズや業務設計を一緒に担ってくれたBPRの皆さんのおかげです。

ここでの学び

・Salesforce.comでSalesforceを活用できていたのは長年に渡って築き上げれてきた業務フローと文化があってのこと。表層的な活用のTipsだけでは役に立たない。そして自社の業務についてもっと深い理解が必要。
・TodoではなくTobeを合意することの大切さとその解像度の高さ、そしてそれたに関する認識のズレの少なさが重要。大きな障壁をいくつも超えなければならないがここの握りが十分であればクリアできる。
・仲間がたくさんいないと難しい。思いに賛同してくれる人をどれだけ見つけられるか、その人たちとどれだけ意思疎通できるが重要。自分ひとりでどうにかできるなんておこがましい。基本できない。

大きな失敗② 商談予算の大幅な未達

2017年にSalesforceの再定着化がゴールに差し掛かってくると同時にインサイドセールスの大幅な拡張計画を実行に移しました。当時は保有する事業のほぼすべてをひとつのマーケティング組織とインサイドセールス組織で担うことで、獲得したリードの効果を最大化させる狙いがあり、不相応ながらも自分が任せていただけることになりました。スタート当初、10名に満たないインサイドセールス組織で成果を追い求めたところ、すぐに成果につながりましたがおそらくここで気が緩んだのだと思います。「Salesforceで学んだやり方を再現できた、このまま拡大していこう」と。その後のことは書籍にも書いてありますが、大きくなった組織と予算に対して私の能力がまったく追いついていませんでした。小さな数字のズレからはじまり、やがてそれは大幅な未達を引き起こすことになります。その時点では打ち手を打つどころか課題の特定すらままならず、文字通り思考停止していたと思います。

そんな中、取締役を筆頭に事業責任者クラス5名に呼び出されます。いまでもこのカレンダーが飛んできた瞬間を鮮明に覚えています。「あぁ、これでお役御免だな... 期待に応えられず申し訳ない。とりあえず謝罪して身を引こう。」そんなことを考えていました。そしてその時間になり、痛む胃を押さえながら会議室に向かいドアをあけます、すると「お、きたきたw 今日は茂野さんを助ける時間だから!まずは現状を教えてくれますか?この人数が集まったのはこの人達がいればほとんどのことをこの場で決裁できるからですよ?ビビった?w」「さっそく現状をみんなで見つめて人、時間、予算のなにが必要か考えましょう!」

え?

なにがおこったの?

意識失って夢みてんの??

正直この感じでしばらく時間が止まってました。そして正気に戻り、説明をはじめます。そして40分ほどが経過したころには、立て直しのプラン提出までの時間の確保、必要な人員のアサイン計画などが決まっていきました。それから1週間後に中間報告し、2週間後には再建計画が実行されることになったのです。そこからはメンバーが必死にがんばってくれたおかげで数字が少しずつ数字が回復していきました。それでも当初の計画とは違うものになってしまいましたので、事業部の皆さんには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

ここでの学び

・Salesforce.comで数字がうまく回っていたのでは完成された環境の中だったから。サラリー、ブランド、プロダクトなど意識する必要が低かったもの、見えていなかったものの上で成り立っていたが、スタートに成功して過信した。
・ネガティブな状況を感知し、相談するのが遅れた。前職時代は数字の小さな変化に気がつくことができたが、まだまだオペレーションの練度、精度が低かった。数字が大きくなることでそこに配慮できていなかった。急拡大、急な変化は未経験だったにもかかわらず。
・とにかく圧倒的な能力不足。外資系では”部分的に”切り取った仕事のプロフェッショナルになっていたことを忘れてしまったのかもしれない。

大きな失敗③ 営業部門の責任者としての失敗

迷惑をかけながらもなんとか走りきった1年を終えようかというころ、異動が宣告されます。「来期からはSaaS事業の営業部門長です。インサイドセールスは他の人にまかせて新しい場所で成果だしてください。」一息もつけないこの感じもベンチャーですね。もしかするとこのスピード感や変化も外資からの転職におけるクリアしなければいけない課題なのかもしれません。

さて、話を戻します。そんあ経緯で営業部門へ異動になったわけですが、また同じことを繰り返します。「出だし好調なので上方修正します」と。出だしの数字は前任の部門長が作ってくれた遺産だったのですが、また「やはり営業はSalesforce式だな、成果につながった。」といういま思えばよく意味のわからない妄想にかられていました。そのすぐ後ろでは死のカウントダウンがはじまります。

上方修正の影響でまず圧倒的にPipelineが不足しはじめます。そこで大量のPipelineを補充しようとするのですが、あまりにも急に供給したために営業を逼迫させ生産性の低下を招きます。急遽チームをわけて対応にあたるのですが、うまくいかない。そうこうしているうちに受注の分析や勝ち筋を探ることを忘れ、とにかく量をこなすことになり営業も疲弊していきます。この頃、社内で尊敬する営業部門長や企画系の長にとにかく相談させてもらっていたのですが、追い込まれれば追い込まれるほど「打ち手の精度が低すぎる」というコメントをもらうようになりました。思考停止状態です。このときもまた人に助けてもらいます。いつもの取締役はもちろん、上司であった事業長は24時間いつでも相談に乗ってくれましたし、影で守ってくれたおかげで数字を作ることに集中することができました。結果、事業は成長したもの満足する結果を残すことはできませんでした。支えてくれたチームメンバーやマネージャーには一生頭があがりませんが、共に走りきった期間はかけがえのない経験でした。

ここでの学び

・Salesforce式の営業手法は知ってはいた。だが知っていただけ。そしてそれをルールの違う国で実践することは想像の10倍の難易度だった。
・営業部長の仕事の大きな一つである戦略策定、勝ち筋を見出して優先順位をつけることをサボった。あげく中期的な人材育成に投資できなかった。短期業績は重要であるが、とくにベンチャー企業にとって人材の育成と学習サイクルを回すことは圧倒的に優先度が高い。これの両立が必要。
・ベンチャーの営業部長でプロダクト開発に関与できないのは致命的。当時はまったく干渉できなかった。これも圧倒的な知識、経験不足だった。

まとめ

外資系IT企業とは本当に世界が違う。優劣の問題ではなく、種類が違う。プロダクトを作りながら、P/LやB/S考えながら走る。採用も全力でやるし、自らSNSで人も募集する。変化が大きくて本当に早い。そもそもの基礎的な環境が整っていないこともあるので考えること、直面する課題が多種多様。ストレスのかかり方も違います。その違いを強く認識することが重要で、それすら楽しめる人には最高の環境です。もし外資からベンチャーに転職するときにはそのあたりももう一度考えて”強く”意思決定して欲しいです。

ベンチャーの経営陣の皆様へ

私がここまでこの会社で生き残ってこれたのは経営陣の尋常じゃない手厚い支援と優しさのおかげです。ぜひ立ち上がろうとしている人にはもう一度環境を提供してあげてください。「そんなことはおまえに言われなくてもわかっとるわ!」って感じですよね。そうですよね。でも言いたかったので。

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