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第六章:日本の未来に向けて

*この記事は、約10年ほど前に父が書いた全6章で構成されている原稿を順番に公開しています。 この章においては、二十一世紀の持続可能な文明に必須の精神性である、縄文の叡智、日本文化の根幹に流れる事事無碍法界の境地、華厳の思想について、そして、今世紀における日本文化の重要性について記述したいと思う。 一、日本文化と二十一世紀の世界仏教研究で名高い、故 鎌田茂雄氏の書いた「禅とは何か」の中に、欧米に「禅」の世界を紹介し広めた事で名高い鈴木大拙氏が、昭和二二~二三年ごろに鎌倉の東

    • 第五章:倭国崩壊と日本誕生②

      *この記事は、約10年ほど前に父が書いた全6章で構成されている原稿を順番に公開しています。 四、驕りから目覚めない大和朝廷中国においては、古い族長王国連邦形式の統治方法が、秦の始皇帝によって打破された後、漢、魏、隋、唐と数百年を経て、洗練された皇帝親政の政治体制へと進化し、中央集権の律令国家体制が形成されていった。その中央集権体制の根幹である律令制度は、「唐」において、高い完成度のものとなり、その下での秩序安定が、経済、文化の興隆を生みだしていた。 紀元六〇八年、推古天皇

      • 第五章:倭国崩壊と日本誕生①

        *この記事は、約10年ほど前に父が書いた全6章で構成されている原稿を順番に公開しています。 古代の北東アジアの国々の、正しく修正された国域を見つめると、倭人・倭種の人々が、紀元前千余年以上の昔から、日本列島、朝鮮半島、遼東半島南岸、楽浪海及び帯方南東海域の島々に亘る広大な地域で、幾つもの邑国を形成し、倭人と言う民族意識を持って、それぞれに生活を営んでいた永い歴史があった、と改めて認識させられる。この事と、Y染色体D系の平和志向の男達の、膨張と縮小の歴史とを重ね合わせて考える

        • 第四章:倭国の勢力圏②

          *この記事は、約10年ほど前に父が書いた全6章で構成されている原稿を順番に公開しています。 二、新羅と半島倭人諸国(一)倭系の国新羅 一般に伝えられている、「新羅は斯盧と呼ばれる辰韓の一邑国が成長して新羅となった」と言う伝承は、十二世紀半ば「三国史記」が編纂される際、韓系の王朝とするため挿入された後付けの説話と考えられる。十二世紀には、既に辰韓がどこに在ったか、半島に興った高麗国において分からなくなっていたのだ。また、以下に記述するように、新羅本紀には、新羅を名乗った王家

        第六章:日本の未来に向けて

          第四章:倭国の勢力圏①

          *この記事は、約10年ほど前に父が書いた全6章で構成されている原稿を順番に公開しています。 前章まで、縄文倭人が日本列島にいつ頃、どこから来たのか、そしてどう展開したか、またその活動範囲がどこまで及んでいたかを、人のDNA分析、遺跡の出土物等のC⒕法による年代分析、中国史書・古典の文献分析、甲骨文字・卜辞・金文の分析等により、明らかとなった事柄を拠り所に、そこから導かれる仮説を展開して来た。 前章までの記述の中で少なくとも言える事は、日本の義務教育で教わる所の、北東アジア

          第四章:倭国の勢力圏①

          第三章:縄文時代の倭人②

          *この記事は、約10年ほど前に父が書いた全6章で構成されている原稿を順番に公開しています。 三、朝鮮半島から山東半島そして黄河へ日本海への暖流の流入は、八千年前から徐々に始まり、かつての日本海湖南西部沿岸一帯に二千~三千年の歳月をかけて、大きな植生の変化をもたらした。ウルム氷期最盛期以降五千年前まで、人類の気配を感じさせなかった朝鮮半島にも、五千年前の新石器時代の遺跡がようやく現れてくる。 六千年前の縄文文化の最盛期は、ウルム氷期後の温暖化のピークに当たり、豊富な食糧状態

          第三章:縄文時代の倭人②

          第三章:縄文時代の倭人①

          *この記事は、約10年ほど前に父が書いた全6章で構成されている原稿を順番に公開しています。 一、日本列島形成前後約七万年前、現生人類がアフリカを出て世界に拡散し始めた頃から、ウルム氷期は徐々に進行し、約二万年前から一万八千年前の最盛期には、海水面は現在の海水面から百メートル~百四十メートルも低くなって、日本列島と大陸はつながった状態にあった。 この時期、現在の日本列島に、旧石器文化を持った現生人類が渡って来た。(図12参照)彼らは、南下するマンモスゾウや、野牛、ナキウサギ

          第三章:縄文時代の倭人①

          第二章:中国古代文献に見る③

          *この記事は、約10年ほど前に父が書いた全6章で構成されている原稿を順番に公開しています。 四、百済はどこにあったか百済は、馬韓の一属邦的存在と伝えられ、また台頭の地は「帯方郡」の一角であったと伝えられている。定説によると、その所在は図3および4に示された位置であった。 帯方郡は、後漢の終わり頃、遼東の公孫氏が楽浪郡を制し、さらに遼東半島を手中にして楽浪郡に編入した時、広大化した楽浪二十五県中、南部都尉統括下の六県と新設一県の計七県を楽浪郡から分割して帯方郡として設置した

          第二章:中国古代文献に見る③

          第二章:中国古代文献に見る②

          *この記事は、約10年ほど前に父が書いた全6章で構成されている原稿を順番に公開しています。 二、古朝鮮のあった地域古朝鮮とは、周代に殷王朝の王族箕子の興した国である。前漢の初め衛氏に王権を簒奪され、それ以降を衛氏朝鮮と歴史家は呼んでいる。 山形氏や、吉林大学の林教授らの研究によれば、中国歴代王朝の中で朝鮮半島まで遠征して、統治領域を拡大した王朝は、蒙古族の元王朝と、満州族の清王朝だけとのことである。 唐王朝も現在の鴨緑江を越え韓半島深く進行していなかったことが判明してい

          第二章:中国古代文献に見る②

          第二章:中国古代文献に見る①

          *この記事は、約10年ほど前に父が書いた全6章で構成されている原稿を順番に公開しています。 北東アジア諸国の地理上の配置孤高の民間歴史研究家に、山形明郷氏と言う人がいた。 彼は、中国「正史」二十四史と清史稿四十八冊五百二十九巻を含め、総数二百八十九冊三千六百六十八巻に加え、これらの注釈本や地理系の文献などの大量の中国原書を収集し、かつ気の遠くなるような時間と根気をもってこれらを読破し、本章で紹介する古代北東アジアの国々の正しい位置関係をつきとめた。 白川静氏が、殷・周初

          第二章:中国古代文献に見る①

          第一章 : 倭人の起源 ②

          *この記事は、約10年ほど前に父が書いた全6章で構成されている原稿を順番に公開しています。 <過去記事> 『日本誕生』 はじめに 第一章 : 倭人の起源 ① 参考文献・資料 三、Y染色体ハプログループの研究結果現生人類の男達の生存競争、闘争と協調の面から、日本に居住する男達の、生い立ちを辿ろうとする試みに、Y染色体ハプログループの分析がある。 ハプログループとは、生物の持っている単一の染色体の遺伝的なDNAの配列型の集団を言う。Y染色体ハプログループの研究は、相当詳細な

          第一章 : 倭人の起源 ②

          第一章 : 倭人の起源 ①

          *この記事は、約10年ほど前に父が書いた全6章で構成されている原稿を順番に公開しています。 一、血清中の免疫グロブリンGの研究結果遺伝子分析を使って、明確かつ大胆に日本人の源流とその展開を論じたものに、大阪医科大学名誉教授であった、松本秀雄氏の研究論文がある。 松本氏は、血清中の免疫グロブリンG(以下Gm)の標識遺伝子の中に、人種や民族によって明確に偏在するものがある事に着目し、白色系人種、黄色系人種、黒色系人種、それぞれの系統のGm標識遺伝子の分布について研究した。

          第一章 : 倭人の起源 ①

          『日本誕生』 はじめに

          *この記事は、約10年ほど前に父が書いた全6章で構成されている原稿を順番に公開しています。 日本誕生 古代東アジア神聖王の正統な系譜を自覚して、匈奴出身の隋に向かい、日出る所の天子と宣し文明の独自性を示した人々 倭人という民族意識を持った人々のルーツと太陽信仰ネットワーク 日本のなりたちを知りたいという気持ちは、日本人なら多くの人が持ち合わせている気持ちではないだろうか。 建国の日が、一応決められているとは言え、それが神話に基づく不確かな根拠によるものであったり、日本

          『日本誕生』 はじめに

          『日本誕生』 参考文献・資料

          *約10年ほど前に父が書いた全6章で構成されている原稿を順番に公開しています。原稿を書くうえで、参考にした文献や資料をここに記載します。 ▪️ 宇治谷孟 現代語訳「日本書紀」上、下(講談社学術文庫・1988年)▪️ 山形明郷 著 「卑弥呼の正体」(三五館・2010年)▪️ 崎谷満著「DNAでたどる日本人10万年の旅」(昭和堂・2008年)▪️ 佐藤洋一郎 著「DNA考古学」(東洋書店・1999年)▪️ 伊藤利幸氏Web「日本人の源流を探して」・黒曜石を運んだミラクルな古代

          『日本誕生』 参考文献・資料