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2022年GWの京都 酒。読書。観劇。それだけ

2022年、3年ぶりの行動制限のないGW、私自身もこの時期の京都には3年ぶりの訪問となる。

1日目 2022年4月29日金曜日・昭和の日

12:00 映画『A』@東京・国立映画アーカイブ

東京駅から徒歩圏内にある国立映画アーカイブで「1990年代日本映画」の特集上映をやっていて、ちょうどこの日『A』(森達也監督、1997年)の上映回だったので、京都に行く前に観ていくことにする(ずっと観たいと思っていたのだが機会に恵まれなかった)。

GW初日雨の中だったが8割程度の入りで関心の高さが伺える。1990年代映画だからというわけではなく、このドキュメンタリー映画の被写体からだと思うが、年配の方が多いようである。
映画およびその被写体については、現在まで4半世紀以上、色々と検証されてきたので今更何か語ろうとは思わないが、1点だけ。
被写体たちが語ることは全く理解できないし、一切擁護・弁護する気もない。
しかし、「私(と私のクルー)は撮影していないが、もし撮影されていたらそれを(放送に)使っていいか?」と日本語になっていない言葉を当たり前に使ったり、他の報道機関に宛てた書類を持ち出して他の報道機関が「許可が取れているから我々にも取材させろ」と堂々とイチャモンをつけるマスコミ。
「私たちに迷惑を掛けたのだから謝罪しなさい」と直接被害に遭ったわけでもないのに国民の代表面して説教を垂れる一般市民(被害者の会の会長が被写体たちに掛けた優しい言葉とは正反対だ)。
被写体たちに対して執拗な職質をして少し体が接触しただけで派手に倒れて足を痛めたような演技(?)をして公務執行妨害で逮捕してしまう警察(被写体と警察のやりとりのビデオが証拠として提出されると、即刻釈放してしまうし……。なお、このビデオの提出についての逡巡も映画に収められている)。
これらの人たちだって、その組織や団体に「洗脳」されているのではないか?
普通の若者だった被写体たちがそれらに真摯に対応するのを見て、どちらが「批難される組織」なのか、まったくわからなくなってしまった。
そんなモヤモヤを抱えながら、東京駅に向かう。

15:00 東京駅

GW初日、新幹線のホームはそれなりに混雑している。
新幹線の指定席は、3列シートの真ん中が空席になっている程度の込み具合ではあるが、きっと自由席は結構な混雑になっているに違いない。
前日にブックオフの110円コーナーで買った、北杜夫著『船乗りクプクプの冒険』を一気に読破する。

外の雨は強まったり弱まったりしている。

17:15 京都駅

雨は上がっている。
市バスに乗ってホテルに向かう。

R&Bホテル京都四条河原町

荷物を置いて、早速出発。
18時前の四条河原町。人通りが激しく不安になる。
案の定、目指すお店「京家きよみず木屋町」はお店の外に「本日は御予約で満席です」と札が……。ドアも開けさせてくれない。
もとより、全く予約をしない私のせいだということは重々承知しているので、少し凹みながらも次のお店を探す。

18:00 和鉄板ぞろんぱ

今日は1滴もお酒を飲んでいないので、早く飲みたい私は結局、知っているお店を頼ることにする。
六角柳馬場の「和鉄板ぞろんぱ」に行くと、幸いにカウンター1席空きが。
早速生ビールを注文。

「素面って初めて見た気がします」
「失礼な。1軒目で来た事もある」
「でも、いつも昼から飲んではるじゃないですか」
……確かに……

ビールの次は日本酒。「裏篠峯」を注文。

「裏篠峯」だから、ラベルの文字も裏返っている

日本酒には「なめろう」が合う。

「和鉄板ぞろんぱ」の「なめろう」

隣の父娘は、コロナ禍を機に2匹の雌猫を飼い始めたそうで、その2匹が娘には素っ気ない態度をとるのに、父親にはデレデレで奪い合いをするのだそう。
株取引のために購入したタブレットは、今や猫たちのアルバムになってしまったというようなことを、実際に写真を私に見せながら嬉しそうに語ってくれる。
父娘から幸福のお裾分けをいただき、私も幸せな気分でお店を出る。

ここで止めておけばいいのに、幸せな気分に浸っている私は、ホテルとは反対方向に歩き始めてしまう。

20:30 五黄の寅

着いたところは「五黄の寅」。
このお店も賑やかだ。
幸い1席だけ空いていたカウンターに案内される。

お酒選びに迷っていた私を見て、店長のアカリさんが、「特別に飲み比べにしましょか?」と提案してくれる。

今度こそホテルに帰れば良いものを、またしてもハシゴしてしまう。

22:30 カプリ食堂

最近入った「できる子」と私が呼んでいる男性とアルバイト女性がいる。
「できる子」はあまり話したことがないので、黙ってビールを飲む。
無言でビールを飲んでいる目が座ったオジサン、さぞかし怖かったに違いない。


2日目 2022年4月30日土曜日

07:30 安井金比羅宮~八坂神社~知恩院

オジサンは朝が早い。
とりあえず、近くの神社などを巡ることにする。

安井金比羅宮
八坂神社


知恩院

ホテルに帰ってまったり過ごす。

11:30 ミュンヘン

木屋町から四条通を上がって1筋目の細い路地を西に入ると、ビアホール「ミュンヘン」がある。
カウンターに座り、本日1杯目のビール(中ジョッキ630ml)を。

「つきだし」はポップコーン

細い路地には若いカップルやら、大きなカメラをさげて色々歩きまわっている観光客らしき年配男性など、様々な人が通る。
そういう人たちを眺めながらのんびりビールを飲む。
ふと、外国人の男性3人組が目に入る。
彼らは、ちょんまげこそ結っていないが、明らかに武士の格好をしている。刀(もちろんオモチャ)を差している人までいる。
観光客なのかわからないが、ああいう格好をさせてくれるサービスもどこかにきっとあるのだろう。

12:15 モトイギョーザ

「ミュンヘン」を後にして、四条通を西に歩いていると、刀は差していないが武士の格好をした日本人を見かける(カップルの女性の方は着物姿)。

天気は良い。
こういう時は、ギョーザにビールがぴったりだ。
モトイギョーザ」に入る。

今度は四条通を東に向かい、朝来た八坂神社を再訪。
朝よりは断然人が増えている。
誰かの結婚式が行われている。
(朝のお参りが効いたのか)何だか幸せをお裾分けしてもらったような気持ちでウキウキしながら石塀小路へ。

13:30 しぇりークラブ

(小路の中は撮影禁止)

ここを入ってすぐのところにシェリー酒を扱う「しぇりークラブ」がある。
シェリー酒が飲めるところは珍しく、このお店は貴重な存在。
3種類の飲み比べセットをお願いする。

シートにはシェリー酒の特徴のチャートが書かれている

一度ホテルに帰って少し休憩した後、またもや出かける。

15:30 ひっとぽいんと

(毎度の使い回し写真)

マスター安原さん、何だかハイテンション。
「今日、俺、誕生日やねん」
なるほど……しかし、それだけではなさそうなハイテンション。
「今日、俺、彼女と別れてん」
(元)彼女さんには、私も何度かお会いしたことがある。
前回に訪れた時には、「営業自粛に伴う給付金が入ったら同棲する」とも聞いていたのに(実際2人で内見も済ませていたそうだ)……

誕生日と失恋祝い(?)に1杯ご馳走し、乾杯する。

17:40 大八寿司

本日ここまで、まったくもって、ちゃんとしたモノを食べていない。
お寿司でも食べようかと「大八寿司」に寄る。
「時間掛かるけどいい?」
大将の今宿さんが、忙しく手を動かしながら言う。
カウンターで1席空いていた「Reserved」の席に案内される。
「予約のお客さん、いいの?」
「これ以上回らないから」
つまり、お客さんを断る口実としての「Reserved」らしい。
「俺はいいの?」
申し訳ない気持ちで聞くと、「常連さんはOK」と嬉しいお言葉。
とはいえ、接客担当の奥様と2人でやっているお店は、確かに回っていない。これでは、手の込んだものは注文しづらい。
「手が空いたらでいいんで、巻物を」
できるまで、「つきだし」とお酒を楽しむ。

2杯目のお酒を飲んでいるところで、巻物が出てきて、それをつまみにお酒を飲み干し、これ以上気を遣わせるのは申し訳ないので、お店を出る。

まだ時間が早いので、もう1軒、近くの「一政」に行ってみることにする。
換気のために開けられているドアから中を覗くと、私に気づいたオーナーシェフの篠さんが、「ごめん、今日パンパン。明日か明後日来て!」と申し訳なさそうに言う。
明日は良いとして、明後日月曜日は定休日のはず……と首をひねりながらも、次のお店を探す。

21:00 カプリ食堂

辿り着いたのは、結局昨日と同じ「カプリ食堂」。
昨日の2人+よく知っている男性店員(彼は私に「神様」というあだ名を付けた)。
このお店も忙しそうだ。
「(忙しいので)残業しますよ」と言うアルバイト女性を、「うちはホワイト企業やから」と(経営者でもないのに)気遣う。
バイト上がりの女性をカウンターの私の隣の席に座らせ、お疲れビールをご馳走する。
「他のバイトの子が『神様にご試走してもらった』って言ってたんで、お会いしたかったんですよ」
嬉しい事を言ってくれる。
営業時間が終わり、男性店員2人にもビールをご馳走し、機嫌良くホテルに帰る。


3日目 2022年5月1日日曜日

雨。
とりあえず洗濯する。洗剤は備え付けのものがあり助かる(柔軟剤もある)。

洗濯30分200円、乾燥30分200円

洗濯が終わるのを待っている間に、映画の予約をする。

11:15 映画『ツユクサ』@UPLINK京都

毎月1日は全国の映画館が割引料金になる。
この機会を逃すわけにはいかない。
雨が降る中、公開されたばかりの映画『ツユクサ』(平山秀幸監督、2022年)を観に行く。

UPLINK京都(写真は前回の使い回し)

73席のシアターは、ほぼ満席。中年以上(と言うと失礼かもしれないが)の女性が多いように見受けられる。
約100分、キュンとなったり、切なくなったり、映画を堪能する。

13:30 カプリ食堂

映画を観ている間に雨は上がったようで、烏丸通を南下して「カプリ食堂」までランチを食べに行く。
昨日の男性店員2人で営業。子ども連れのお客さんなどでテーブル席は満席。
「ビールですよね?」
注文する前に店員さんが察してくれる。
ランチを注文。

チキン南蛮ランチ

「ランチなんて珍しいですね……あっ、『昼飲み』メニューがなくなったんだ」
一人ボケ・一人ツッコミで状況を理解する店員さん。
そう、「昼飲み」メニューがなくなったのは、ショックな出来事だった。

普段は15時までのランチタイムから17時からのディナーまでの間は営業していないが、GWのお客さんの入りが予想以上になっているため試しに通しで営業してみることになったそう。
「どうなるんでしょうね?」
期待と不安が入り交じった表情をしている2人に「頑張って!」と激励の言葉をかけて、お店を後にする。

15:30 ひっとぽいんと

久しぶりにおつまみ以外のものを食べたので、胃がビックリしたのか安心したのかはわからないが、なんとなく急に調子が悪くなったような気がする。
不安な気持ちを抑えつつ、「ひっとぽいんと」に向かう。
やはり、「気がする」だけでなく、本当に調子が悪いようだ。
ビールが喉を通らない。
誕生日と失恋が重なった安原さんは前日、お祝いと慰め、というか絶対に面白がっているとしか思えないお客さんたちからシャンパンをご馳走になったらしく、私と同じく調子が悪そうだが、私より先にビール(もちろん私がご馳走した)を飲み干し、何故か勝ち誇った表情を浮かべる。
調子が悪すぎて、悔しがる気力すら起こらない。
素直に負けを認め、ビール1杯でスゴスゴとホテルに帰る。
途中、念のため、「きよみず」の前を通ってみるが、やはり今日も「御予約で満席」の札が掛かっている。

20:15 串鉄板ぞろんぱ

ホテルで仮眠を取って、少し回復した(気になった)ので、20時前にホテルを出る。
木屋町ではなく、柳馬場にある「きよみず」本店に行ってみる。
外から様子を伺うと、1階のカウンター席に空きがあるように見える。
期待を込めてドアを開けてみるが、やはり満席とのこと。

そのまま西に向かい、烏丸通を越え、「串鉄板ぞろんぱ」に行ってみる。
ドアを開けて中に入ると、カウンター席は大賑わいで、店員さんも私に気づかないほど忙しそう。
無理かなと諦めかけるも、何とか入れてもらう。
「メガネね」
お酒を注いだ女性店員さんは、私の左隣に座っている観光客らしい年配ご夫婦の前に『萩の鶴 メガネ専用』の一升瓶を置く。
「このお酒は眼鏡を掛けた蔵人さんたちだけで作ってるんですよ」

「だから私はこのお酒を飲む権利があるんです」
私が口添えすると、ご婦人が「じゃあ私も」と応えてくれる。「私もだよ」と旦那さんが言って2人で微笑む。

「来てくれはって、ありがとうございます」
オーナーの東さんがご挨拶に来てくれる。
「こちらこそ、ありがとうございます。どこのお店も満席で入れなかったんで、助かりました」
「何かウチの店が暇みたいやないですか。たまたま直前にお客さんが帰らはってタイミングが良かっただけですよ」
東さんが異議を唱える。
「いや本当に助かってる。この前の六角(系列の和鉄板ぞろんぱ)も断わらずに入れてくれたし」
「ますますウチだけが暇みたいやないですか」
更に怒る東さんが「なめろう」を作り始める。
「六角のなめろうと違うの?」
「作り方は一緒なんですけど使こてる魚が違うんですよ」
なるほど、と思っているところに串鉄板が届く。

『招徳 もち四段』名前もラベルも謎だらけ

お酒とつまみの減り具合を見て、東さん。
「まだ帰らないですよね。なめろう頼んではらへんし」
話を振った手前、仕方ない。

「串鉄板ぞろんぱ」の「なめろう」とお酒

隣の年配ご夫婦もご機嫌で帰られた……とすぐに新しいお客さんが入店してくる。
間違いなく、お店は忙しい。

4日目 2022年5月2日月曜日

ちゃんと眠れたので、昨日よりは調子が良さそうに思える。
何故か突然「朝カレー」を思いつき、ファミリーマートでカレーを購入。

朝カレー

PCとテレビをHDMIでつなぎ、持参した映画『イン・ザ・ハイツ』のビデオを流しつつ、この原稿を書き始める。

気づくと10時が近い。
法律の関係だか何だかで4連泊以上の場合、1回は室内清掃に入る必要があるとのことで、仕方なく部屋を出る。
天気も良いので、久しぶりに伏見に行くことにする。

京阪電車の祇園四条駅から中書島駅まで各駅停車(一応「準急」だけど…)でノンビリ過ごす。

中書島駅にはこんな看板が
「京都伏見」といえばこんなイメージ
月桂冠酒造
黄桜酒造

フラフラ歩いているとやがて、伏見桃山駅から続く商店街に辿り着く。
この商店街では何店か昼から開いている居酒屋がある。
どのお店の前にも、11時30分の開店を待ちわびる人々(老老男女)が群がっている。嬉しくなって、私もその群れに交じる。

11:30 屋台居酒屋・大阪満マル 伏見桃山店

(2018年撮影)

このお店にはランチメニューもあるが、私を含めほとんどの人は生ビールとおつまみを注文。
お昼から、少人数のグループでニコニコ幸せそうにお酒を楽しむ人たちに交じって飲む私もとても幸せ。

ソース二度づけ禁止

折角伏見に来たのだから、「蒼空」という有名な日本酒を醸している藤岡酒造に寄る。

13:00 えん(藤岡酒造)

有料で「蒼空」を試飲できる。
ここでしか飲めないような限定酒などもあるが、3種類の飲み比べセットを注文する。

14:30 ひっとぽいんと

京阪電車で三条まで戻り、日課となった「ひっとぽいんと」へ。
ビールを2杯飲み、安原さんにも1杯ご馳走して、馬鹿話に花を咲かせる。

一旦ホテルに戻り、30分程仮眠を取り、再び出発。

「きよみず」のドアに「御予約で満席」の札がない!
期待を込めてドアを開けるが、やはり「これから御予約のお客様で満席になります」と断られてしまう。


18:00 和ダイニング一政

和ダイニング一政」は月曜日が定休日のはずだが、今日は開いている。
オーナーシェフの篠さん曰く「あまりにお客さんが来るので開けることにした」とのこと。
メニューを見ると「平政祭」とある。
煮付けだったか何だかを注文すると、篠さんが「えーっ」と異議の声を上げる。
「最初はやっぱり生でしょう」
ということで、お造りを注文。

そして「最強の西京焼き」と篠さんが胸を張る、平政の西京焼きを注文。

とここまでは記憶あるのだが、気づいたら着替えもせずホテルのベッドで寝ていた。
たぶん、一旦休憩のつもりだったのだろうが、連日の飲み疲れでガッツリ寝てしまったようだ。
もうこの時間に開いているお店はないし、あってももう起きられない。
結局そのまま着替えもせず朝まで寝る。


5日目 2022年5月3日火曜日・憲法記念日

昨日早く寝たので、5時過ぎに目覚めてしまう(というか、オジサンは朝が早い)。

6時過ぎにチェックアウトして、歩いて京都駅に向かう。
これから、『広島県ではないがその近隣』の実家へ帰省。
京都駅で新幹線特急券を買うが、朝7時前後の指定券(のぞみ号・ひかり号とも)が満席になっていて、軽く眩暈を覚える。
ホーム上の自由席車両ドアに並ぶ人の列にクラクラする。

……ここからはただの帰省なので、本稿はここでお終い……



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